2020年も数多くの食品や薬品などのパッケージがリニューアルされました。なかでも特にデザインが優れ印象に残った食品、菓子、市販薬の3点を、ジャンルを超えてデザインを考える「建築・インテリア」に強い専門家が新旧のパッケージを比較しながら紹介します。

 

ロゴやデザインの印象を変えずに「人に優しい」パッケージにリニューアル

ノザキコンビーフ新パッケージ

70年ぶりに大幅にパッケージを変更した「ノザキのコンビーフ」


食品や薬品などのパッケージデザインは商品の売り上げをも左右する重要な要素。ですが生産ラインの変更、商品そのもののコンセプトや方向性の変化、使用者のニーズに合わせた使いやすさ、などを反映して変化します。2020年も多くのパッケージデザインのリニューアルが行われました。

その中でも質の高いリニューアルが行われた「ノザキのコンビーフ」「明治ザ・チョコレート」「セデス錠」の3商品をピックアップして新旧パッケージを比較しながら紹介します。

 

ノザキのコンビーフ

牛の柄のパッケージで親しまれている「ノザキのコンビーフ」は1950年発売のコンビーフ缶詰です。この歴史あるコンビーフが発売から70年の時を経て、2020年3月に大幅にパッケージを変更しました。

スチール製の「枕缶」からプラキャップの「アルミック缶」へ
ノザキのコンビーフ

新旧パッケージ。左が「枕缶」の愛称で親しまれた旧パッケージで上部に開封用の「巻き取り鍵」がシールで貼り付けられている


今までの缶詰は「枕缶(まくらかん)」と呼ばれる台形のスチール製で、下の写真のように「巻き取り鍵」と呼ばれる金具を缶本体の突起に巻いて中身を出す仕組みになっていました。
ノザキのコンビーフノザキ。旧開けたところ

クルクルと巻きながらコンビーフを取り出す


このクラシカルな「枕缶」の製造ラインが限界になったためスチール製の缶詰の製造は中止され、2020年から同じ台形ながら、素材をアルミ製に変更した「アルミック缶」に切り替わりました。
ノザキのコンビーフ新。開けたところ

新パッケージ。透明の蓋を開けてシールを剥がすだけで取り出せる


新パッケージは、先代の台形の枕缶を踏襲したテーパーがついた形。牛の絵柄や欧文のロゴなどのグラフィックデザインも同じものが使われています。

レトロな雰囲気の枕缶がなくなっていくのは少し寂しい気もしますが、子供でも安全に開封できる素材や仕様で万人が使いやすい商品となりました。パッケージは変化し続けても、同じ味を保ちながらロングセラーを続けて欲しい商品です。

 

明治ザ・チョコレート

真ん中にカカオがあしらわれたデザインの、明治「ザ・チョコレート」は2014年に販売開始されました。発売当時は「こく苦カカオ」「香るカカオ」の2種類しかありませんでしたが、その後、一時は10種類までラインアップが増えていった人気商品です。

風味の変更に合わせてパッケージもリニューアル
ザ・チョコレート。新パッケージ

中身もパッケージもリニューアルされた


旧パッケージではカカオのまわりの余白に絵を描き混んだり、丈夫な紙製で鮮やかなデザインの箱を活かしたリメイクや工作などをする人が現れてSNSで話題になりましたね。
ザ・チョコレート。新パッケージと旧パッケージ

上段:新パッケージ。下段:旧パッケージの一部


2020年、製品が4種類に整理されたことに伴いパッケージも一新されました。ラインナップは「ベネズエラ」「ブラジル」「ペルー」「ドミニカ」の産地別シンプルな構成です。4つともカカオを70%を使っていて同じ条件で異なる味やフレーバーが楽しめます。

新しい箱は、地色が濃いブラウンで統一され、センターに配置されたカカオ形の中に産地にまつわる動物植物などがデザインされています。
ザ・チョコレート。新パッケージと旧パッケージ。開封

開封したところ。左:新パッケージ「ブラジル」。右:旧パッケージ「Sunny Milk」。箱のサイズやチョコレート本体の形状など基本コンセプトに変更はない


今までは欧文表記だけだった商品名はそれぞれに日本語表記も加わり、イメージを統一させながらも産地国をビビッドなカラーで色分けして誰にでも種類がすぐにわかるようにリニューアルされています。

 

解熱鎮痛薬「セデス」シリーズ

「痛くなったら、すぐセデス♪」というサウンドロゴでおなじみの解熱鎮痛薬のシリーズのパッケージがリニューアルされました。

「SDGs」に配慮したユニバーサル仕様
新セデス錠。新パッケージ

新セデス錠。右のピクトグラムで「どこに効くのか」が分かるデザインとなっている


セデスは1950 年の発売以来、日本の解熱鎮痛薬の代表的製品で、今回は「新セデス錠」「セデス・ハイ」「セデス・ハイG」の3製品のパッケージが大幅に変更されています。
新セデス錠。開封

新セデス錠。開け口がフロントになり取り出しがスムーズに。また、右のQR コードを読み取ると5言語対応の自動音声による読上げ機能で用量・用法の説明が受けられる


大きな変更点はボックス上部が大きく開く設計がなされていることです。これは市販薬では珍しいパッケージデザインで、何度も開け閉めしても箱が丈夫で壊れにくい構造になっています。

また開けた蓋の裏には写真のように大きな文字で用法・容量が印刷されています。これは高齢者や弱視の人にも優しいデザインですね。
セデス・ハイ。パッケージ新旧

セデス・ハイ。上:新パッケージ、下:旧パッケージ


写真(上)は「セデス・ハイ(10錠)」新旧パッケージの比較です。箱のサイズは同じですが、開け口が全く違います。下の従来のキャラメル箱のように小さい口から取り出すのではなく、前面が大きく開くので、薬のシートが取り出しやすい様子が分かります。
セデス・ハイ。新旧パッケージ開封

セデス・ハイの新旧パッケージを開けたところ


セデスシリーズの製造発売元のシオノギでは、今回のパッケージリニューアルを、近年のSDGs(※)への関心の高まりや、過剰に医療機関を受診することなく処方箋不要のOTC医薬品(ドラッグストアなどで購入できる市販薬)を自主服薬する「セルフメディケーション」への高い需要を受けたもの、としています。

そのため開封の方法や服薬の情報が視覚障がい者や外国人を含む「すべての人々」に伝わるようにデザインされた優れたパッケージデザインとなっています。



2020年に行われた3つの商品のパッケージデザインの変更を紹介しました。それぞれ、食品、菓子、薬品とフィールドは違うものの、傾向としては万人に優しいデザインを目指していてSDGsを意識した質の高いデザインになっていることがわかります。

スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどに行って買い物をするとき、デザインの面白さはもちろん、「いろんな人へ配慮の行き届いたデザインになっているかな?」という視点で商品を見ることは、これからの消費で大切になってくると思います。



※SDGs(エスディージーズ)とは…「持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals)」のことで17のグローバル目標と169の達成基準からなる。国連が定めたの持続可能な開発のための国際目標。

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