耳管開放症が疑われる場合の検査法・診断基準

耳管開放症の検査・診断基準・治療法

耳管開放症の検査法や審査基準とは

耳管開放症の検査方法は、以下の通りです。
  • 体位による症状変化の有無……診察椅子に座って前かがみの体勢で症状の変化を確認する 
  • 鼓膜の呼吸性動揺……患者さん自身の指で検査反対側鼻腔を塞いでもらい検査側鼻腔から大きく深呼吸し、鼓膜が動くか確認する
  •  話し声の聴取……患者さんの耳と医師の耳とを聴診チューブでつなぎ、患者の話し声を聴取する。患者さんの発生音、特に「な・に・ぬ・ね・の」というナ行、あるいはマ行を聴くと耳管が開いている場合は大きく響いて聴こえる
  •  聴力検査……難聴の程度を確認する
  •  耳管機能検査……検査側の耳に耳栓をし、鼻の片側にスピーカーを当てつばを飲み込んでもらう。鼻から入れたスピーカーの音を耳で検出し波形を確認する
  •  CTによる画像診断……耳管開放症は寝た状態で無症状という特徴があるため、座った状態で撮影し、耳管の状態を確認する
■耳管開放症の診断基準 (耳管開放症診断基準案2016)
少し専門的ですが、以下の項目をチェックします。

1.   自覚症状がある
   自声強聴、耳閉感、呼吸音聴取の1つ以上
2.   耳管閉塞処置(AまたはB)で症状が明らかに改善する
    A.   臥位・前屈位などの体位変化
    B.   耳管咽頭口閉塞処置(綿棒、ジェルなど)
3.   開放耳管の他覚的所見がある(以下の1つ以上)
    A.   鼓膜の呼吸性動揺
    B.   鼻咽腔圧に同期した外耳道圧変動
    C.   音響法にて①提示音圧100dB未満または②開放プラトー型

1~3までの全てを満たす場合は耳管開放症と診断できる「確実例」。1に加えて2か3のどちらかが当てはまる場合は、耳管開放症の可能性がある「疑い例」と考えます。
 

耳管開放症と症状が似ていて間違いやすい病気……突発性難聴・中耳炎など

耳管開放症の症状と間違いやすい病気は以下のようなものがあります。
  • 耳管狭窄症
  • 突発性難聴(片側の低音障害型感音難聴)
  • 中耳炎
  • 耳垢塞栓
  • 顎関節症
 

 耳管開放症の主な治療法・それぞれのメリットとデメリット

■スカーフ療法
突然に症状が出たときに首に巻いているスカーフやハイネックのセーター、男性はネクタイを少し締めることで耳管周囲にむくみを生じさせ、症状を軽減することができます。
  • メリット:急に症状が出たときに対処法として有効
  • デメリット:突然の症状を軽減させるだけであり、締めすぎにも注意が必要

■内服薬
自律神経調節薬、昇圧剤、アデノシン三リン酸、加味帰脾湯などを処方し、症状を改善します。
  • メリット:服用するだけなので負担が少ない
  • デメリット:局所には届きにくい
 
■Bスポット療法
鼻からまたは口から口蓋垂(のどちんこ)の裏側のやや上の上咽頭部分に塩化亜鉛という薬液を浸した綿棒を挿入し塗布する治療法です。
  • メリット:特に鼻咽腔炎を伴う場合に高い効果が期待できる(ただしきちんと診断された場合)
  • デメリット:ヒリヒリとした痛みを伴う
 
■生理食塩水点鼻
仰向けに寝るか座って後ろにのけぞり、かつ患側を下にして点鼻する方法です。
  • メリット:的確に点鼻が行われれば点鼻直後から症状軽減を自覚できる
  • デメリット:普通の点鼻薬と同様の点鼻方法では全く効果は得られない
 
■経鼓膜換気チューブ留置
鼓膜を切開し、鼓膜換気チューブを挿入します。
  • メリット:鼻すすりをしても鼓膜がへこまなくなり真珠腫性中耳炎への進行を防いだり、耳の圧迫感軽減になる
  • デメリット:鼓膜チューブが外れた後も鼓膜に穴が残存してしまう場合がある

■鼓膜パッチ
鼓膜にテープを張り、呼吸時に鼓膜が振動するのを制限します。
  • メリット:鼓膜の振動を抑えることで耳のつまった感じや不快な音を軽減させることができる
  • デメリット:重症例では効果がない
 
■耳管ピン留置術
保存的治療が無効の場合に適応となる外科的治療法。耳管腔内にピンを挿入し充填する治療法です。
  • メリット:8割以上の症例に効果を認める(ただしきちんと診断された場合)
  • デメリット:耳管ピンは保険収載だがまだ限られた施設でしか行われていない
 

耳管開放症は治らない? 耳管開放症の症状が出たら

当然ですが、耳管開放症の症状はありふれたものです。耳管開放症と診断されないことも多々あります。検査は簡易で侵襲もないので、気になる症状がある場合は、まず耳鼻科で耳管機能検査を受けて下さい。段階的に進めば、不快な症状もほとんどが軽快します。

■参考
耳管開放症診断基準案2016(日本耳科協会)
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