低音難聴とは何か……メカニズム・急性と慢性の違い
耳閉感や耳鳴り、めまいなどの症状を伴う低音難聴。20~40代の女性に多く、再発率も高い病気です
そもそも音が聞こえる仕組みは、空気の振動(波動)が鼓膜を振動させ、耳にある小骨(米粒半分くらいの大きさのものが3つあり、人の骨の中でもっとも小さい)から、内耳(蝸牛)の中にあるリンパ液がさらに振動することから始まります。リンパ液の振動により、蝸牛内にあるダンス細胞とも呼ばれる有毛細胞が膜とこすれあうことで、摩擦が起こり、電気を発生させます。有毛細胞の揺れは、海の中でわかめが揺れているような状態をイメージしていただければと思います。この電気信号が聴神経を通して脳に情報を伝えることで、初めて「音」として認識されるのです。
蝸牛は文字どおりカタツムリと同じ形をしており、二回転半しています。一番下の部分は高音が担当で、頂上にいくほど低い音、すなわち低周波数を担当しています。ちなみに1Hz(ヘルツ)とは1秒間に1回の振動を指し、低音部はおおむね500Hzまでを指すことになります。
通常「低音難聴」というと急性のものですが、急性低音障害型感音難聴が長引いた状態や繰り返したりする状態を「慢性低音難聴」と言います。
低音難聴が治るまでの期間の目安・再発頻度・好発年齢・性別
低音難聴が治るまでの期間ですが、概ね1~2週間で7割の方が治癒します。しかし再発も4割程度と多いため、再発率は高い病気と言えるでしょう。片耳に出ることが多いですが、まれに両耳に出ることもあります。20~40代の女性に多いです。好発時期としては、気圧の変化が多い梅雨時期や台風の時期、季節の変わり目に多くなります。時間帯としては、むくみが出やすくなる日中から夕方に多くなります。
低音難聴の初期症状・主な症状……耳閉感・耳鳴り・ふらつきなど
低音難聴の初期症状としては、片耳がつまった感じがする「閉塞感」、耳鳴り、音が響いて聞こえる、軽いめまい、ふらつきを訴えることが多いです。病名には「難聴」とついていますが、難聴の症状を訴える方は意外に少ないです。低音難聴の主な症状も、耳閉感、音が響く、耳鳴りです。低音難聴で受診された方のお話を聞いていると、日中から夕方にかけて突然なんとなく片耳の詰まった感じ(閉塞感)があり、耳掃除をしてみたが耳垢もなさそう、といった違和感から始まることが多いようです。痛みもないので、しばらくすれば自然に治るだろうと様子見をしているうちに、耳閉感に加えて耳鳴りや音や声が響く感じもしてきて、受診される方が少なくありません。
よくある症状の他、稀にむくみや動悸、疲れなどを訴える方もいます。上記のよくある訴えのパターンと初期は全く同じ耳閉感のみでも、そのうちに難聴や音や声が響く感じを伴い、頭痛や回転性めまいから吐いてしまったという方もいます。
低音難聴の原因となる生活習慣……ストレス、睡眠不足、自律神経の乱れなども影響
低音難聴は、原因として考えられる生活習慣も様々です。以下のような習慣も関係すると考えられています。- 精神的ストレス
- 過労
- 台風、低気圧などの天候
- 自律神経異常を指摘された
- カフェインを含む飲み物
- 喫煙
- 化学薬品や農薬、ペンキなどの有機溶剤
- 毛染め、ヘアーマニキュア
- 騒音下の環境(イヤホンで大音量で音楽などを聞くことが多いなど)
- 不眠、不規則な生活
- 夜間のいびき、無呼吸
- 歯ぎしり、顎がガクガクする
- 水分を摂らずに寝る
- ふくらはぎにむくみがある
- 食べてすぐに寝る習慣
- 熱い風呂に長く入る習慣
- 低血圧症
- 風邪(ウイルス)
- アレルギー
- 便秘
- 更年期などのホルモン異常