食用菊は刺身のツマとしても使われる

食用菊の栄養価と食べ方

食べられる菊とは?ツマにも使われる食用菊

一般的には観賞用の「菊」。菊は秋の花なので、食用菊も9~10月頃に旬を迎えます。食用菊は刺身のツマなどによく添えられていますが、「菊は見るもので食べるものではない」というイメージで、そのまま残している方も少なくないでしょう。実際、マグロの隣に盛り付けられた黄色い小菊に「きれい」「カワイイ」と感じても、「おいしそう!」という気持ちになる人はあまりいないかもしれません。お店の方に「食べられるんですよ」と説明を受けて、それではと食してみると、ほどよい苦みがあり、おいしいと思う人もいるかもしれない……というような味です。

また、小菊だけでなく、大輪の菊にも食用のものがあります。この場合は、花弁だけを食用に用います。苦味を感じるのは主に「花托」と呼ばれる、花弁がくっついている部分なので、花弁だけを食べる場合はさほど苦味はありません。
 

食用菊と普通の菊の違いは? 有名な品種は「延命楽」「カキノモト」など

「エディブルフラワー」という言葉が一般的になる前から、菊は食用とされていました。菊には毒はないため、どの菊だと食べられない、というわけではありませんが、苦味の強いものが多いので、苦味が少ない品種を選び「食用」としています。

有名な品種は「延命楽」でしょうか。「もってのほか」「もって菊」「カキノモト」など、地域で様々な呼び方をされるようですが、ピンク(紫)が鮮やかな品種です。ほかに黄色が鮮やかな「阿房宮」という品種の食用菊もあります。また、花の大きさから「小菊」という名称で販売されている食用菊もあります。
 

食用菊の効能・漢方的な歴史

『神農本草経』には「菊花」の項目があり、「味は苦平。風による頭眩や腫痛、目が脱けるように涙出するもの、死肌、悪風、湿痺を治し、久服すれば血気を利し、身を軽くし、老に耐え、年を延す。一名節華」とあります。風邪の時などの、解熱や鎮痛の作用があるとして漢方薬の成分として用いられています。

漢方薬としては、生の花を使うこともありますし、乾燥した花を使うこともあるようです。漢方薬の材料として使われるだけでなく、お茶として煎じて飲んだりしても、効果があると考えられています。刺身のツマとして使われるのは、菊に解毒作用があるためですが、菊の品種によって効果の違いがあるとの研究結果もありますので、過信しすぎないほうがよいかもしれません。
 

食用菊は生で食べてよい? おすすめの食べ方と注意点

ツマなどで菊そのものが添えられていると何となく抵抗がある人もいるかもしれませんが、食用菊は「食用」ですから、そのまま生で食べて構いません。刺身のツマについている菊は丸ごと食べるのではなく、花弁のみをちぎって刺身とともに醤油につけて食べるのが粋です。

大菊は花弁をあえ物や吸い物の具にして食べることもオススメ。秋らしく、見た目もきれいな一品になります。私が栄養士として勤務していた病院でも、年に一度は「秋の行事食」として菊を使ったあえ物を提供していました。

また、菊は大量に食べられるものでもないと思いますので、食べすぎなどの心配はないと思いますが、漢方では「体を冷やす」といわれています。冷え性の方は念のため注意されたほうがいいかもしれませんね。漢方的な考えでは、冷え性の方が菊を食べるときにはクコの実などと一緒に食べるとよいとされているようです。
 

食用菊の栄養価……ビタミンE、ポリフェノールなど研究段階

食用菊は東北の一部地域を除き、頻繁に食卓に上る食材ではないので、栄養学的に大きな影響のある食材ではないと思います。あえて言うなら、ビタミンEが100gあたり4.6mg含まれていることでしょうか。「ビタミンEの宝庫」といわれるアーモンドでも3.0mgですので、たくさん食べられるのであれば有能なビタミンE源になります。

食品学の世界では菊の持つポリフェノールの効果なども研究されていますので、今後、何か新しいことが分かり、菊の栄養が注目を集める日がくるかもしれませんね。

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