亀山早苗の恋愛コラム

芋づる式に不倫発覚…4人(!)との関係を白状した夫の呆れた言い訳

女好きと定評のある男性が、結婚したとたんぴたりと女性への興味をなくし、家族一辺倒となる例がある。かと思うと、それまではまじめだったのに結婚してから急にタガがはずれたようになる男性もいる。何が彼らをそうさせているのかはよくわからない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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芋づる式に発覚した夫の不倫

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女好きと定評のある男性が、結婚したとたんぴたりと女性への興味をなくし、家族一辺倒となる例がある。かと思うと、それまではまじめだったのに結婚してから急にタガがはずれたようになる男性もいる。何が彼らをそうさせているのかはよくわからない。

 

スピード婚だけど楽しく暮らしていた

「一度、浮気が発覚したら芋づる式にどんどん浮気相手が出てきちゃって……。うちの夫には本当に呆れています」

吐き捨てるようにそう言うのは、コトミさん(44歳)だ。10歳年上の男性に激しく言い寄られて結婚してから17年になる。夫は芸術関係の仕事をしている“変わり者”らしい。

「27歳のとき、たまたま通りがかりに気になった絵がかかっていたので、その画廊に入ってみたら彼も来ていて。私が出たらあとをついてきて、どうしてもお茶をしたい、と。時間があったので喫茶店に入ったら猛烈に口説かれました」

不思議なことに、彼は連絡先を聞こうとはしなかった。とにかく次の週末もあの画廊に来てほしいと懇願された。

週末、画廊に行ってみると、オーナーが「彼を待ってるんでしょ。あの人、変わってるけど悪い人間じゃないですよ」と声をかけてきた。彼に言わされているのかと疑ったが、そうでもなさそうだ。そこへ彼が飛び込んできて、コトミさんにバラの花をプレゼントしてくれた。

「やることなすことキザなんですよ。だけど楽しかったのは確か。その次のデートで結婚してほしいと言われて、夢を見ているような気分でいいよと言ってしまったんです」

彼がどういう仕事をしていて、どんな経歴なのか、どこの出身なのか、そういった基本的なプロフィールも結婚を決めたあとに知った。

「ダメならいつでも離婚していい、きみが嫌だと思ったら僕はすぐに身を引くと彼は言いきったんです。それもなんだかおもしろいなと思って(笑)」

決して裕福ではなかったが、彼となら一緒にいるだけで楽しかった。コトミさんも仕事を続けていたから、食べられないほど困る状況にはならずにすんだ。そんなコトミさんを彼はいつも大事にしてくれた。結婚から3年、ひとり息子もさずかった。

 

いきなり女性から電話がかかってきて

4年ほど前のこと。ある女性から自宅に電話がかかってきた。

「彼女、いきなり『奥さん、お宅のダンナさん、浮気してますよ』と叫ぶんです。いったいどこの誰なのかもわからない。よく話を聞いてみると、その女性の友だちとうちの夫が浮気をしている、と。どうして私に電話をかけてきたのか聞いてみたら、『だってダンナさんとつきあっていたのは私だから』って。もうわけがわからなくなって、とにかく彼女に会うことにしたんです」

彼女Aさんは、結局、コトミさんの夫を友人Bさんに取られたのだという。そこでBさんも呼び出してみると、知り合いのCさんもコトミさんの夫と関係があると言っていると白状した。

「なんだか時期もダブったりしているし、いったいいつからそういうことになっていたのか……」

その晩、帰ってきた夫にその話をすると、夫は「なんだかややこしいな」と他人事のように言った。

「ややこしいってどういうことよと言ったら、とにかく悪気はなかったんだけど、女性たちに追われるようになって困っていると。追われているのはみんな制裁を加えたいからでしょと言ったら、そうなのかあと気の抜けた返事をするんですよね」

コトミさんが知らなかっただけで、息子が10歳になったころから夫は浮気を繰り返していた。

「それもどうして息子が10歳からなのと聞いたら、小さいときは息子が大人になるまで生きていられるのか心配でたまらなかったというんです。実は夫の弟が9歳のとき急死している。そのとき夫は12歳で、弟の死を受け止めきれず、今も恐怖感があるんだ、と。だから息子が10歳になったときにタガが外れたらしいです。もう、なんというか……そういう人なんですよね(笑)」

夫に、浮気されていてる私の身にもなってよと言ったら、夫は目に涙をためて「僕がいちばん好きなのはコトミだよ、コトミは僕の女神だから」と言ってのけた。

「私のことが好きなのにどうして浮気するのと責めると、『そこに女性がいたから』とつまらない言い訳をして」

だがコトミさんは、そんな夫を許してしまうのだ。結局、浮気が発覚した女性は4人いたのだが、彼女たちを集めて食事会をもよおし、ひとりひとりに頭を下げた。もちろん夫はその場にはいない。

「些少ですがと言って、商品券まで渡しましたよ。最後にはみなさん、私に同情してくれて。あの人じゃしょうがないけど、という声もありました。最初に電話をくれたAさんとは今も友人です。彼女は仕事でも夫に近いところにいるので、ときどき探偵ばりに夫を見張って連絡をくれるんです」

どうしてこんなヘンな夫婦になってしまったのか、とコトミさんは嘆くが、なぜか苦しんでいるようには見えない。もともと夫を変わり者だと思っていること、コトミさん自身がそんな夫をおもしろがっているところがあることなどが原因だろう。

「こんなヘンな人に関わってしまったのも私の人生。でも退屈するよりいいかもしれないと私自身もどこかで思っているんですよね。夫に毒されて、私までヘンな人間になってきているのかもしれません(笑)」

終始、楽しそうなコトミさん。夫は相変わらず、ときどき花を抱えて帰っては「コトミがいちばん好き」と臆面もなく囁くのだそうだ。
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