亀山早苗の恋愛コラム

強烈に惹かれるけど最低な元彼が、今彼の知り合いで…迷う未婚35歳

世間は意外と狭いもの。ある日、偶然知り合った人と話していたら、その人と共通の人物がいたなどということはよくある。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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サイテー男が、今彼の知り合いだった……

ダメ男に引っかかりやすい

世間は意外と狭いもの。ある日、偶然知り合った人と話していたら、その人と共通の人物がいたなどということはよくある。

 

自己評価の低かった私が出会った「素」でいられる相手

「学生時代から、あまりいい恋愛はしてこなかった。そもそもダメ男に惹かれてしまうんですよね。尽くしては捨てられるの繰り返しだった」

マオさん(35歳)は苦笑しながらそう言った。大学卒業後、就職した会社では既婚者と大恋愛、会社で問題になって退職させられたこともある。

「20代最後には、婚約者のいる人と恋に落ちて。私は最後まで、彼に婚約者がいるとは知らなかった。婚約者から連絡が来て初めて知ったんです。やさしくて楽しくてすごく気が合うと思っていただけにショックでした。婚約者は彼を訴えたようで、彼女からあなたも訴えなさいよと言われたんですが、やはり好きだった人に制裁を加える気にはなれませんでした」

だがこの件はショックが大きく、彼女は心身の調子を崩してしまう。心療内科に通い、カウンセラーに話を聞いてもらったりもした。

「やっぱりダメ男にのめり込んでしまう私にも問題があるとわかりました。私、自己肯定感が低いんですよ。親が厳しくて、どんなにテストでいい点をとっても100点ではない限り認めてもらえない。100点をとると、次もねとプレッシャーをかけられる。社会人になってやっと実家を飛び出して、合い鍵を渡せという親と連絡を絶ってやっと自立できたんです。でも自分の中に子どものころから植えつけられた『私はダメなヤツ』というのがどうしても抜けない。だからダメ男と接すると感情移入しちゃうのかもしれません」

ダメ男に入れ込んで、この人には私がいなければと思うことで、自分の存在意義を感じることができる。それでやっと自分を認めるのだ。そうではなく、いいところも悪いところも含めて、自分を認め、自分とつきあっていかなければならないと、少しずつ実感することができるようになった。別れてから3年もかかったという。

そして33歳のとき、今の彼・ヨウタさんに巡り会った。

 

彼と出会って、気持ちが変わったのに

ヨウタさんとは、女友だちに連れていってもらったバーで知り合った。そこは女友だちの親戚が経営しており、ヨウタさんはバーテンダーとして勤務していたのだ。

「彼の物腰、しゃべり方などが礼儀正しくて、でも情があって。他のお客さんと話しているのを聞くと博識だし、すごい人がいるなあと感心していたんです。私より4歳も年下なのに」

彼のことが気になって、ときどき友人と、あるいはひとりでバーへ行くようになった。そしてあるとき、代休で昼間、映画を観に行って彼とばったり会ったのだという。

「彼は夜の仕事だから、映画は昼間しか観られない、と。そのあと遅めのランチを一緒にとって、いろいろ話したんです。本当に楽しい時間でした」

それをきっかけに、彼から交際を申し込まれた。彼みたいにきちんとした人とつきあっていけるだろうかと迷ったが、心惹かれていたのでマオさんは彼とつきあうことに決めた。

「最初はちょっと気持ちがぎくしゃくしたんです。私、それまでの恋愛では恋人を最優先させていたから、ヨウタに『どう思う?』と聞かれても答えられないんですよ。あなたはどうなのってすぐ言っちゃう。ヨウタはそのたびに『あなたの意見を聞いてるんだよ、ちゃんと言って』って。それが続いて、ああ、自分の意見を言うのはこんなに気持ちのいいことだったのかと初めて知りました」

ヨウタさんとの関係は、着実に深くてしっかりしたものになっていった。そんなとき、ヨウタさんが勤めるバーで再会したのが、20代後半につきあっていた婚約者のいた彼だった。

「まさか、と思いました。あっちも目が点になっていた。どうしてと言ったら、なんと彼はヨウタの元家庭教師だったんですって。最近になって共通の知り合いからヨウタのことを聞いて来てみたんだ、と。彼に再会したとき、私の心臓がバクバクと音をたてました。恋という意味では、やはり私は強烈に彼に惹かれていたんですよね……」

彼も独身のままだった。ヨウタさんの視線を感じたので、その日、マオさんは早々に店を出た。するとすぐに彼が追いかけてきたという。

「もう一軒行こうよと彼がしつこくて……。でも私も彼ともう少し話したかったのは確かで。もう一軒行って、彼としばらく話していたら、あの頃の自分に戻っていくのがわかりました。やっぱり彼には私がいたほうがいいんじゃないか、と。彼も『オレたち、やり直す運命だったんだよ』なんて言い出して、もう少しでホテルに行っちゃいそうだった。でもそのとき、はっと気づいたんです。この人と一緒にいたら、私はまた彼優先の日々を送ることになる。あのころの私、自分でもあまり好きじゃなかったと感じました」

彼女は彼を振り切り、ひとりで家へ帰った。帰り着いて、まだ働いているヨウタさんに「お疲れ-。今度の休み、どこか遊びに行こうよ」とメッセージを送った。店が閉まるころ、ヨウタさんから、「マオちゃんはどこへ行きたい?」と返事が来た。

ヨウタさんはまったく彼女を疑っていなかった。信じてもらっているとマオさんも感じた。それ以来、マオさんの心は落ち着いている。

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