節約/通信費の節約

携帯電話の学校持ち込み禁止で何が変わる?

ついに文部科学省が小中学校への携帯電話の持ち込みを禁止する方針を固めました。持ち込み禁止によって果たして問題が解決するのでしょうか?長年携帯電話業界に携わるガイドが解説します。

執筆者:大串 明弘

ついに文部科学省が小中学校への携帯電話の持ち込みを禁止する方針を固めました。持ち込み禁止によって果たして問題が解決するのでしょうか?長年携帯電話業界に携わるガイドが解説します。

なぜ携帯電話がいけないのか?

携帯電話が学校持ち込み禁止に至った背景にはいくつかの問題があります。出会い系サイト等の有害サイトへのアクセスによる被害が増えている、学校裏サイト等によるネット上のいじめが増え、自殺にまで追い込むケースがある、学業に支障が出る等です。

“おもちゃ化”する情報機器

携帯電話が普及する前、「ポケベル」が大ブレイクした時代がありました。元々、外出しがちなビジネスマン等と連絡が取れるようにという用途で販売されていたものですが、費用の下落にともない、学生の間でコミュニケーションツールとしてブレイクしました。家庭との連絡など有意義な使い方も一部に見られましたが、“おもちゃ”のような利用方法も多々見られたことも事実です。「おはよう」「今日も良い天気だね」「元気?」などという他愛もないメッセージを1日何十回も送信していた学生も珍しくありませんでした。

携帯電話も価格の下落により急速に普及し、現在に至っています。学生はポケベルから携帯電話へ移行し、ポケベルの代わりにメールでコミュニケーションを取るようになりました。1日100通以上ものメールを送受信する学生も珍しくなくなりました。

パケット定額制がおもちゃ化に拍車

初期の頃は、通話料も高く、パケット通信も従量制だったため、通信料が安いメールが多用されていました。子どものサイト閲覧等による莫大なパケット通信料が社会問題となり、一定金額で使い放題になる「パケット定額制」が登場し、携帯電話が完全な“おもちゃ”となりました。

子どもたちはパケット定額制で料金を気にすることなく(親にとがめられることもなく)、携帯電話をおもちゃとして使い始め、危険地帯へと足を踏み入れたわけです。

インターネットは危険な情報繁華街

十分な社会経験も知識もない子どもにとって、インターネットは非常に危険な場所です。最近になってその危険性が声高に言われ始めましたが、昔からインターネットは今と変わらず危険な場所でした。たかが情報とはいえ、自殺する方法、爆弾を作る方法、犯罪に関係する方法など、情報の取捨選択ができない子どもが知るべきでない情報が山のようにあります。善意を持った人もいれば悪意を持った人もたくさんいます。言ってみれば、情報の繁華街に、無防備で無理な子どもが一人で放り込まれたわけです。

好奇心旺盛で常識にとらわれない子どもが、そこで何をするかは、今でなくても想像に難くなかったであろうと思います。

悪意を持った大人が集まる「出会い系サイト」に、危険がわからず興味本位で登録してしまい、その結果、犯罪に巻き込まれてしまうケースが多発しています。

メールやネット接続ができる携帯電話が、いじめのツールとして利用されるようになったのも必然でしょう。

メールでのいじめはもちろん、学校裏サイトなる匿名掲示板等で実名をあげて誹謗中傷などが書き込まれ、24時間どこでもいじめができるようになり、いじめがより攻撃的かつ陰湿化してきました。学校のみならず、時間や場所に関係なく、いじめが横行しているのです。被害者のダメージは想像を遙かに超えるものがあるでしょう。

持ち込み禁止で何が変わるのか?

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