「男の子なんだから」生まれ順発言や性別発言、子供はどう感じる?
きょうだいがいると言ってしまいがちな「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」発言、子供はどう受け止めてる?
子供が自分では選べない”生まれ順”や”性別”、これらを含んだ発言を私たち大人は知らず知らずのうちにしてしまうものです。
このような言葉は子供にどう響くのでしょうか。それによる弊害はあるのか、また上手な用い方はあるのか。生まれ順、性別という2つの切り口で見ていきたいと思います。
生まれ順で言いがちな発言「お兄ちゃん、お姉ちゃんなんだから」
一人っ子のご家庭よりも、きょうだいがいる場合に出やすい傾向がある「お兄ちゃんでしょ」「お姉ちゃんなんだから」という生まれ順を根拠にした発言。無意識に言ってしまうことも多く、たいがい上の子が拗ねてしまった、赤ちゃん返りを起こすようになった、このようなお悩みにつながることが多いものです。上の子からしたら、それまで親の愛情を一心に受けていたのに、下の子が生まれたら「お兄ちゃんなんだからちょっと待てるでしょ」「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」と言われるようになり、気持ちが収まらない。ならばちょっと気を引くことをしてみようと困った行動をしたり、泣くことが増えたり……、俗に言う赤ちゃん返りです。上の子にしたら、赤ちゃんでいることが親の愛情を受けやすいという理解になるので、そこに戻ってしまうのですね。
ただ、「お兄ちゃんなんだから」「お姉ちゃんなんだから」がいつもよくない展開をもたらすかというとそうでもなく、上の子がへそを曲げるのは、それに続く言葉が気にいらないから。お兄ちゃんお姉ちゃん発言自体が問題なのではなく、たいがいが叱られるような場面で用いられるので、受け入れ難くなってしまうだけなのです。言ってしまえば、「上の子って損だな」という響きを与えてしまうのですね。
たとえば、「さすがお兄ちゃん」「お姉ちゃんだから助かるよ」のような使い方をすると、子供はにっこりご機嫌になります。「お兄ちゃんだから」「お姉ちゃんだから」という生まれ順云々ではなく、それに続く言葉、それが用いられる場面が問題というわけです。
- ママの気を引きたい⇒赤ちゃん返りをする⇒お兄ちゃんでしょと怒られる
- お兄ちゃんだから頼りになるとほめられる⇒嬉しくなる⇒期待に応えようとする
大事なのは親の目線で、上の子がぐずりモードになる前に、まずは1つ「さすがお兄ちゃん(お姉ちゃん)」につながるお子さんの行動を拾うようにしてみましょう。ぐずってからではなくて、ぐずる前にです。自分で靴下をはけること、ごはんを1人で食べられること、ちょっと待てること、などなど、下の子より自立しているからこそできるたくさんの行動があるので、その1つ1つを口に出していくのはとてもおすすめです。
気分というのは連鎖しやすく、いったんいい気分になると、それがまた次のいい気分を呼び起こします。お兄ちゃんお姉ちゃん発言は用い方次第で両極端になるので、ほめやねぎらいの形で使っていくのがおすすめです。
性別で言いがちな発言「男の子なんだから」「女の子なんだから」
男の子だから、悲しくならない、辛くならないわけではない。感情は閉じ込めるものではなく、向き合って解消していく経験が大切
たとえば、
「男の子なんだから、もっとしっかりしなさい」
「男の子なんだから、メソメソしないの」
「男の子なんだから、強くなくちゃ」
男の子は成長過程で、感情を抑えることを求められることが女の子以上に多いように思います。もちろん、成長とともに、自分の感情を自分でコントロールする力を身につけていくことは大切です。でも、感情を持つこと自体を否定してしまうと、後々への影響が心配です。
自分の感情をセルフコントロールするのと、ただ単に感情を封印するのでは大きな違いがあります。セルフコントロールが上手な子は、コーピングスキル(負の状況を何とかやりくりするための能力)を色々と持ち合わせていて、感情を浄化するのが上手です。
一方、感情を閉じ込めてしまうやり方は、とりあえずふたをしてしまうだけ。解消できていないので、火種は内部にあるままで、何かの折に一気に感情が爆発ということも起こりうるのです。
一般的に、男女を比べると、女性の方が男性よりも感情の浄化が上手と言われています。これは、「男の子なんだから」発言に見られる“型はめ”が少なからず影響しているようにも思われます。とりあえずふたをしてしまうことで、向き合う機会が減ってしまうのです。
男の子だから、悲しくならない、辛くならないわけではありません。それを否定されてしまうと、その感情は行き場がなくなってしまいます。大事なのは、感情を出さないことではなく、感情を上手くなだめる力です。
先ほど、セルフコントロールが上手な人は、コーピングスキルが多いと書きましたが、一般的に女性の方が、弱音を吐いたり、おしゃべりしたり、ときに泣いたりして、悲しさや寂しさ、つらさなどの負の感情をうまく逃がしているものです。こういう”やりくりの術“もコーピングスキルの仲間です。もちろん、これはコミュニケーション好きという女性の特性もあるからなのですが、男だからこうあるべきという型にはめてしまうと、弱音を吐きたくても吐けないという状況に陥りがちです。
感情は閉じ込めるものではなく、その感情にいったん向き合って、解消していく経験が大事。それが重なって、コーピングスキルになっていきます。小さいうちはまだまだ1人で自分の感情をなだめられないことも多いので、その際は抱っこしたり、話を聞いてあげたりと寄り添いつつ、成長とともに、負の感情をやりくりする術を身につけていけるようサポートしくことも大切です。
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