人任せではなく、自分の身は自分で守ろうとするのがオーストリア人の常であり、この5G導入をきっかけに喚起された彼らの「5G・電磁波対策法」を、皆さんにもぜひご紹介したいと思います。
5Gや電磁波はなぜオーストリアで不安視されるのか
5G導入を憂慮するオーストリア全国紙の記事(クローネ紙2019年5月5日付)
5Gとは「第5世代移動通信システム」(5th Generation)のことで、「高速大容量」「低遅延通信」「多数同時接続」の3柱が謳われています。日本でも今春からサービスが開始されたので、すでにご存知の方も多いのではないでしょうか。5Gでは4Gよりも通信速度が100倍速くなるとも言われ、格段に向上した次世代の通信インフラとして、社会に大きな技術革新をもたらすと期待されています。
しかし、メリットが大きい一方、5Gの特性を生かすには、「身体に影響を及ぼす恐れがある」とされる、強い電磁波を発する中継基地数をより増やす必要があるなど、オーストリアでは5Gのデメリットに難色を示す人々も少なくないようです。(身体への影響は科学的なエビデンスはありません)
今年初頭に、ベルギーで約200人の科学者が、5G導入中止を求めた抗議デモのほか、隣国のドイツやスイスなどでも環境団体や市民が、健康や環境耐性のテストなしに5G導入することに断固反対したニュースが流れました。こうしたヨーロッパ周辺諸国の動向も、オーストリア人の5Gへの不信感に繋がっていることは間違いなさそうです。
オーストリアで取り入れられている「5G・電磁波対策」
それでは、健康志向のオーストリア人たちは、どのような5G・電磁波対策を採っているのでしょうか? 実際に効果があるかはここでは論じませんが、オーストリアに住むガイドの友人・同僚、知り合いの医師などに聞き取り調査をし、日常生活で工夫している話を聞いてみました。1. アーシング
銀メッキナイロン糸が折り込まれたベッドシーツと、パソコンや足などに敷く導電性ゴムマットは、コンセントに接続して使用する放電グッズ
5Gや家電などから日常的に受ける電磁波で、体にたまった電気を放電させようというのが、そのアイディアです。家の内と外を清浄と不浄に明確に分け、穢れが付くとされる屋外では、ほぼ必ず靴を履く日本人から見ると驚くような光景ですが、オーストリアではこのような理由から、公園や河原だけでなく、街中でさえも素足で歩く人々を見かけたりします。
ただし、仕事中や冬場など、TPOによってはアーシングを行うのが困難であるのも事実。そのような場合には、就寝中や勤務時間を利用しながら屋内でも放電できるアーシンググッズ(上写真)を用いて、身体の帯電を放出しているのだそうです。
2. 電磁波対策グッズ
ヨーロッパではさまざまなメーカーから発売されている電磁波対策グッズ
実際に科学的効果があるのかはまだ実証されていないようですが、オーストリアでは電磁波過敏症や健康マニアの間などで、カルト的人気を誇っていると聞きます。
3. 家や体の電磁波を積極的にシャットアウト
就寝中には寝室の電気ブレーカーをオフに。これも電磁波対策のひとつ
・就寝中にWi-Fiのスイッチと寝室のブレーカーを落とす
・スマホを寝室に置いて寝ない
・使用していない家電のコンセントは抜く
・携帯電話での通話時はイヤフォンを使用する
・金属製アクセサリーはなるべく身に着けない
・歯のインプラントはチタン製ではなくセラミック製を選択し、銀歯も避ける
・強力な電磁波を出すIHクッキングヒーター、電子レンジをそもそも持たない
5Gや電磁波が人体にどのような影響をもたらし、どの対策にどれほどの効果があるのかを明言することは未だできません。しかし、オーストリアではこれらに対し危機感をもち、対策を採っている人も増えつつある状況をお伝えしたく、今回筆を執りました。
もし、頭痛や睡眠障害、めまい、そのほかの不定愁訴で悩んでいらっしゃる方や、携帯基地局のそばにお住まいで不安な方がいらっしゃれば、オーストリアで流行っているような対策を、一度ご自身で詳しく調べてみるのも良いかも知れませんね。