アドバイス1 まずは契約社員になって収入アップを目指す
ご相談、拝見しました。お金を使われ、借金まで背負わされて、これまで大変なご苦労があったこと、今もそれが続いていることを思えば、本当よく頑張ってこられました。ご自身、「親のすねかじり」と言われていますが、それも仕方がないことですし、今できることを懸命にされていると思います。しかし、現状がすぐに改善するかといえば、それは難しいでしょう。ただし、改善の余地はあると考えます。そのための重要なポイントとして、まずは赤いリボンの猫さんが契約社員になれるかどうか。これが収入面ではカギだと言ってもいいでしょう。
契約社員になれば、収入が額面で16万円、ボーナス2カ月分ということですから、年収ベースで224万円、手取りで190万円(給与14万円、ボーナス年間26、27万円ほど)くらいでしょうか。結果、児童扶養手当の「一部支給」の所得制限限度額を超えてしまう可能性がありますが、それでも給与収入が手取りで年間70万円前後増えるわけですから、当然、契約社員を目指すべきです。
アドバイス2 実家を出ないのも選択肢のひとつ
実際、契約社員となった場合の家計ですが、多少は親御さんの負担を軽くする(例えば、ガソリン代、スマホ代は自身で負担する。あるいは生活費としていくらか家に入れる)ということをされても、月5万円の貯蓄は可能でしょう。加えて、ボーナスからは年間で20万円は貯蓄したいところ。これで年間80万円。2年間で160万円となります。親元を離れ、お子さんとの二人暮らしを始めるのであれば、貯蓄としてはこのくらいは必要と考えてください。家賃や引っ越し、生活用品を揃えるなどのコストに50万~60万円。それでも手元に100万円が残ります。
ただ、すぐに契約社員になれればいいですが、それが先送りになれば、その分、資金が貯まる時期も遅くなります。小さいお子さんがいて、資金もないまま家を出ることはやはりリスクをともないます。ご両親には負担を掛けるでしょうが、実家にいることが賢明だと思います。
もうひとつ、実家を出れば、当然ですが家賃が発生し、水道光熱費や食費など、生活費全般がアップします。ご相談者の収入は給与+児童手当で月15万円ほど。加えて、現在と同額ではないにしろ、児童扶養手当が再び受給できる可能性もあります。しかし、おそらくクルマも不可欠でしょうから、そのコストも考慮すると、毎月の給与からの貯蓄はきびしいと考えられます。
したがって、かかる生活費によっては、貯蓄の額に関わらず、可能な限り実家で暮らすことも選択肢のひとつ。お父さんが年金生活になった場合、現在支援してもらっている生活費を赤いリボンの猫さんが負担したとしても、家賃は浮きます。ご自身が願っている「子どものための貯蓄」を増やすためにも、有効の方法です。
アドバイス3 5年間でまとまった貯蓄をつくる
仮にすぐに契約社員になれたとします。2年後、先の試算どおり貯蓄ができ、自宅を出られ、その後は貯蓄が年間20万円程度(ボーナス分だけ)とすれば、5年後に貯蓄は170万円ほど。実家に住み続ければ、300万円超にはなっている可能性もあります。また、5年後は元夫の借金の返済と弁護士費用の分割払いがともに完済となり、その分、貯蓄を増やす余裕が出ます。ともあれ、家計が落ち着き、継続的に貯蓄を増やし、ある程度まとまった額に達するには5年は必要と考えます。その間、まだご苦労もあるかと思いますが、着実に増やしていくこと。焦る必要はありません。時期によって、貯蓄額が前後することは仕方がないこと。大切なのは、金額に関わらず、継続して貯めていくこと。それが、ご自身の強みだと思ってください。
保険については、保険料等から判断して、死亡保障は必要額を確保されていると思います。持病をお待ちということで、医療保障もまず現状のままでいいでしょう。ただ、こども共済はその必要性は低いのでは。保険料は月2000円でも、年間では2万4000円。決して小さな金額ではありません。
また、ご存知だと思いますが、母子家庭の支援制度は国にも自治体にもあります。とくに、お子さんが成長するにつれ、該当する修学支援は各種ありますので、利用できるものは積極的に利用しましょう。
相談者「赤いリボンの猫」さんから寄せられた感想
父に年金生活は2人だけならなんとかなるけど、私たちがいると無理と言われていて、出て行ってなんとかするしかないと思っていました。家を出て行かないことで、焦らず貯蓄できることが分かったので、子どもの将来のために増やしていこうと思います。●マネープランクリニックのラジオ番組を始めました!
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/清水京武
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