亀山早苗の恋愛コラム

結婚に意味があると思えない…独身でいることを決めた女性たち

少子化の原因は晩婚化と非婚化だという。結婚しなくても子どもをもつことはできるので、シングルマザーへの支援の問題が大きいと考えられる。そんななか、「結婚も子どもも不要」と言いきる女性たちが増えているように思う。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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結婚に意味があると思えない……独身でいることを決めた女性

結婚したくない

少子化の原因は晩婚化と非婚化だという。もちろん結婚しなくても子どもをもつことはできるので、シングルマザーへの支援の問題が大きいと考えられる。現状では結婚して子どもをもったほうが世間の目も含めて、何かと便利ではある。そんなことも考え合わせながら、「結婚も子どもも不要」と言いきる女性たちが増えているように思う。

 

結婚は私には不要

「結婚する意味って何でしょうね」

会社員のミドリさん(37歳)はのっけからそう言った。

「パートナーがいると心穏やかに暮らせるんでしょうか。むしろストレスがたまりますよね。私、同棲した経験があるんですが、相手への理解や愛情が深まることはありませんでした。週末などは、ひとりの時間がほしいとずっと思ってた。半年足らずで同棲を解消したとき、心からリラックスして穏やかな気持ちになったんです(笑)」

子どもがほしいと思ったことはあるが、よく考えるとサボテンさえ枯らしてしまう。生きた人間を育てるなんて、畏れ多くてできないと悟ったそうだ。

「自分の遺伝子を遺したいという欲求がないんです。両親の仲が悪い家庭に育ったので、家庭とか家族とかが信用できない。ひとりの人間同士がたとえ一緒に住んでも、それはやはりひとりの人間同士だと思うんです。いきなり“家族”とくくられるのが結婚で、どうもその感覚がわからないし、はっきりいうと気持ちが悪い」

結婚や家族に憧れを抱く人がいる一方で、自らの経験から嫌悪する人もいるのである。自分の育ち方や家庭に不満があっても、おそらくかつては「結婚するのが普通だから」「結婚はするものだから」と自分を曲げても世間と足並みを揃えようとしただろう。だが、今はどう生きてもいい多様性の時代。結婚は「すべきもの」ではなく、生きていく上でのひとつの選択肢に過ぎない。そんな考え方が一般的になってきている。

「それでもやたらと『私は結婚しない』と宣言して歩いているわけではありません。結婚しないのと聞かれれば、いい人がいればなんて笑って答える。それが世間というものかなと認識しているので」

世間とむやみに闘おうと思っているわけではない。自分らしく生きたいだけだとミドリさんは言う。

 

親との生活を優先すると決めて

結婚を先延ばししているうちに同居している親の介護問題が発生、結婚をあきらめた女性もいる。

「結婚をあきらめたというより、親の介護をしなくてはならないと世間も思ってくれるのでラッキーだと思っています。結婚したくなかったから」

そう言うのはアリサさん(40歳)だ。30歳のころ、つきあっている彼からプロポーズされた。その気になって、いざ結婚準備を始めると、相手は「実家を建て直しているんだ。きみも一緒に住めるよ」と言って彼女を驚かせた。彼は彼女に黙ってローンを組んでいた。これではふたりで新居を借りることもできない。考えた末、彼女は結婚をやめた。彼には罵倒されたが、「そもそも何の相談もなく実家を建てかえてローンを組むほうが、よっぽどひどい」と言い返したという。

「それきり結婚する気をなくしました。その後、妹が結婚して遠方に行ってしまったので、私は実家で両親と同居。妹は親を押しつけてごめんねと言ったけど、結婚相手の親のめんどうをみるより実の親のほうがいい。会社員をしながら親と住むのも悪くないと思うようになったんです」

4年前、父親が倒れた。回復はしたものの右半身に麻痺が残っている。日常生活でも若干の手助けが必要だ。母ががんばっていたが、2年前には疲労骨折で入院した。

「仕事をやめて全面的に介護をしようとも思ったんですが、会社の先輩に相談したら、精神的にきつくなるし経済的な問題も起こるから、とにかく仕事は続けていたほうがいいって言われて。父は今、デイサービスに週3日行ってます。母にはその間、のんびりしてもらっている感じ。無理するとまた疲労骨折すると言われているので気をつけないといけないんです」

食事はアリサさんが週末、作り置きをしておく。解凍したり温めたりすればいいようにして母親に託している。冷凍食品などもうまく使うコツを覚えたと彼女は言う。

「寝たきりというわけではないので、介護といってもラクなほうですよね。実の親だし、ふたりともわりと明るく暮らしているので、私もなるべく気を遣わず、母の調子がよければ友人と食事に行ったりもしています」

コロナ禍の自粛生活のおりには、アリサさんは在宅勤務だったため、いつもより両親と密な時間が過ごせたという。

「ただ、デイサービスが中止になっていたので父はちょっとかわいそうでしたね。散歩に連れ出したりはしましたが、いつもの仲間にも会えず、気持ちも落ち込み気味でした」

こんなことではどんどん結婚が遠のいてしまうと、つい先日、母が嘆いた。アリサさんは、「私、結婚には興味ないから気にしないで」とはっきり言ったそうだ。

介護で結婚できなくなったわけではなく、結婚しないと思っているところに介護があったのだ。彼女にとっては渡りに船。夫という名の他人と暮らすより、実の親と暮らす生活を選んだのは彼女自身である。
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