新型コロナウイルス感染症と共存する新しい生活スタイル
ウイルスから身を守りながら暮らすには
このウイルスは、感染していても無症状や軽症であったりするため、知らないうちに人に感染させてしまう危険性があります。風邪の10~15%の原因である一般的なコロナウイルスのような面と、重症肺炎を起こしたり、多臓器不全などを起こしたりするSARSやMERSのような面を併せ持つため、ある程度の人がウイルスに対する免疫をつけて沈静化するまでは、今後も流行を繰り返すでしょう。
ウイルスからすれば、感染者が重症化したり死亡したりすると、ウイルス自身もそれ以上感染拡大できず減っていってしまいます。感染者を無症状・軽症に留められれば、より感染拡大しながら増え、長く残ることができるという側面もあります。これからしばらく続く「withコロナ」の期間は、日常生活の中で上手に感染対策を行っていくことが大切です。
「自分は感染者かもしれない」という意識で行動を
無症状・軽症の場合、人への感染拡大を起こしやすくなります。すべての人が軽症で済むのであれば、従来のコロナウイルス感染と同様に大きな問題にならないのですが、20%程度が重症化する可能性がある点を考えると、社会的な対策が必要な問題です。糖尿病などの基礎疾患がある方や高齢者の方はもちろん、重症化する可能性は誰にでもあります。大切なのは社会的な感染予防です。これに対しては、多くの人がウイルスを防ぐ抗体を持った状態である「集団免疫」しかありません。有効なワクチン開発が待たれていますが開発に時間がかかるため、その間、人から人の感染を防ぐために、「自分も感染しているかもしれない」という意識で、お互いに接触を避けたり、感染予防をしたりする必要があります。
極端に思われるかもしれませんが、人から人に感染するウイルスは、人との接触が全くなくなれば消えていきます。人同士の接触をゼロにすることは現実的に不可能ですが、その状態に少しでも近づけることを期待して、外出自粛制限などがされていました。まずは自分の体調に注意し、「感染していたとしても、人に感染させないための行動」が大切です。
感染対策の基本は「2つの感染経路を遮断すること」
新型コロナウイルスの主な感染経路は2つ。人のつばや痰などから感染する「飛沫感染」と、ウイルスが付着したものを触った手で口や鼻を触ることで感染する「接触感染」です。感染予防・対策のためには、まずこのことを理解した上で行動することが大切です。人から人、物から人に感染しますので、その経路を遮断すればよいのです。自分が感染しないように気を付けることは、他の人に感染拡大させないことにもつながります。
これら2つの感染経路を遮断する方法を考えていきましょう。
飛沫感染対策……社会的距離を保ち、感染しにくい環境を選ぶこと
そもそも人はそれぞれの「パーソナルスペース」を持っていますので、そのスペースに人が入ってくるのを快く思いません。その意味でも人との間隔を空けることは大切です。飛沫が飛散する距離は大体2mとされていますので、飛沫感染予防のためには、可能であればお互いに2m離れるのが良いでしょう(2mも空けるのは現実的に難しいと思われるかもしれませんが、実際には飛沫も重力で落ちていくので通常は2mも飛ばないかもしれません。それでもやはり最低1m程度は間隔を空けたいところです)。
換気が悪いと、飛沫が空中に留まりすくなるため、屋内の場合は換気をし、密閉を避ける必要があります。選べるのであれば、屋内より屋外の方が安全です。社会的距離が取りにくい密閉空間で感染者がいれば、感染拡大が起こってしまいます。会話ではどうしても飛沫が飛びますので、真正面に向かい合って話すのは避けた方が望ましいとされます。
接触感染対策……「こまめな手洗い」「顔を触らない」習慣を
何よりもまず重要なのは手洗いです。食事前はもちろん、人はつい無意識に自分の顔を触ってしまうこともあります。眼、鼻、口などの粘膜から手についたウイルスが侵入するので、なるべくこまめに手洗いをするようにしましょう。さらに身近なものへのウイルス付着を防ぐために、帰宅時はまず手洗いを習慣にしましょう。その他の具体的な注意点は、厚生労働省による「新しい生活様式」などをあわせて確認してください。緊急事態宣言の解除後も、集団免疫ができていない状況での自由な行動により、感染の再拡大はいつ起こるかわかりません。全て完璧に対策するのは難しくても、意識するのとしないのとでは大きな差が生まれます。自分を守ることと、自分から感染を拡げないという意識が社会全体を守ることにつながると考え、適切な習慣を作っていってください。