第一反抗期と第二反抗期の間で向かえる「中間反抗期」とは
昨今、「中間反抗期」という言葉を耳にすることが増えました。2歳前後の自我が芽生える第一反抗期、いわゆるイヤイヤ期と、アイデンティティが確立される思春期の第二反抗期の間に向かえる中間反抗期。小学校生活にも慣れ、子育ても少し楽になるだろうと思われる中学年頃にやってきます。
中間反抗期はどのような特徴があり、親は子どもとどう関わったらよいのでしょうか。
中間反抗期を向かえる頃の子どもの発達特徴
中間反抗期の期間や表れ方には個人差があり、早いと低学年頃から始まる子もいますが、一般的には中学年頃にその特徴が顕著に出てくることが多いです。
また小学校3、4年生頃は「ギャングエイジ」とも言われ、仲間同士の絆が強くなり、友達との付き合いを優先して、親への反発が増えるという特徴がみられます。親の言うことに口答えしたり、無視したりと、反抗が激しくなり親は戸惑うことが増えてきます(*1)。この時期の子どもの発達の特徴として、次のようなものも見られます。
- 友達との遊びを通した身体的な能力の発達
- 学校での習得学習による読み書きや計算能力の発達
- 仲間の中で自分を主張することや自己抑制することの習得
- 社会的集団の理解や個人としての人格独立性の達成 など
仲間や集団の中でこれらを習得し達成する過程で様々な葛藤が起こり、親への反抗という形で表出してくるのが中間反抗期ですが、それは順調な心の発達の証しだと思ってください。
中間反抗期に男の子と女の子の違いってあるの?
「仲間意識が高まり、親に対して反発する」という発達段階は同じであるものの、元来、生物学的な性差があるため、同じように反抗期を向かえても、男の子と女の子ではその表れ方に違いが見られる傾向があります。例えば、言語を司る脳の部位の発達の違いから、女の子は口が達者になって言葉で言い返えすことが多い一方、男の子は言葉で返すより先に手が出たり、物に当たったりする傾向が強いといったようなことです(*3)。
このような生物学的な性差だけでなく、個人差もあるため、一概には言えませんが、中間反抗期の特徴として男の子と女の子には次のような傾向があります。
男の子の中間反抗期の特徴、関わり方や対応法
■特徴男の子は、自分の気持ちや物事の説明を言葉で言い表すより、いきなり手が出たり、物に当たったりと体を使った攻撃が女の子に比べて多くみられます。そして、少々叱っても、親の話を右から左へと聞き流す傾向が強いのは男の子の方です。
■関わり方
この時期の男の子は、勉強でも遊びでも何かに取り組むと、とことん熱中することが多く、没頭しているときに親が中断させるような言葉をかけると、反抗心が強まります。「今は、こういう時期」と子どもを理解し、臨機応変な対応をし、納得いくまでやらせてあげましょう。
言うことを聞かず反抗的な態度をとってきたときは、数字などを用いたり、現実を見せてその因果関係を話してみましょう。
例えば、「宿題は学校から帰ったら直ぐにしなさい」という親に対し、「うるさいな!」と言って無視するような場合、「20分で宿題を済ませたら、寝るまでの〇時間は好きなことをして過ごせるよ」というような説明の仕方をすれば、案外行動に出ることがあります。
言葉で上手に伝えられないことも多いため、普段から、子どもが何かを話そうとしているときは、じっくり耳を傾け、黙って気長に聴いてあげることも大切です。「親は自分の気持ちを分かってくれている」などの意思の疎通を普段から行っておくと、反抗的な態度を取った時も、比較的穏やかにその時期を通り過ぎることが多いです。
女の子の中間反抗期の特徴、関わり方や対応法
■特徴女の子は友達とおしゃべりしながら、作業をしたりすることを好むようになる時期です。そして親には、言葉での言い返しが激しくなります。いわゆる口答えや屁理屈、また親の言葉の揚げ足を取ったりすることが増えるでしょう。そして周囲の評価が気になり始めるのも、男の子より、女の子の特徴に表れることが多いでしょう。
■対応法
「宿題は学校から帰ったら、直ぐにしなさい」という親に対して、「お母さんこそ、先に夕飯の買い物、行ってくれば!」など言い返してくるのは、女の子でしょう。
この場合、「お母さん、あなたが先に宿題を済ませてくれると嬉しいんだけどな」「あなただったら、直ぐにできるわよ、頑張って先に片づけちゃおう!」というように励ましたり、親の気持ちを伝える言い方すれば、女の子は受け入れてくれることが多いでしょう。
注意したい中間反抗期の接し方
中間反抗期は仲間との関係を優先して大切にする時期であるため、友達に関して色々と意見を言ったり、付き合い方への口出しをするのはできるだけ控えましょう。また、個人の発達の差が顕著に出始める時期であるため、自分と他者を比べ、劣等感を抱くことも出てきます。そのため、子ども自身を否定するような言葉や、人と比較するような言葉は止めましょう。 仲間や集団の中で社会のルールや人との関わりを学び、自立に向けて葛藤を抱くこの時期、親はイライラしたり、不安に思うことも増えてきますが、子どもに任せることは信頼して任せ、順調に成長していることを喜びましょう。そして、子どもの揺れ動く複雑な心の心の内を温かく見守ってあげましょう。
【参考情報】
- *1:子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題(文部科学省)
- *2:子どもの発達と発達課題(日本学校教育相談会 西村輝雄)
- *3:脳の性差は いかに決定されるか(新井康允氏 人間総合科学大学教授/順天堂大学名誉教授)