新型コロナウイルスの影響で、2020年夏のボーナスは望み薄かもしれません。それでももらうことができたら、どう活用したらいいのでしょうか。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんが解説します。
2020年夏のボーナスはコロナの影響で減額? どう活用すればいい?
深野康彦さん:皆さんこんにちは。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦です。清水京武さん:こんにちは。マネーライターの清水です。今回コロナウイルスの影響で遠隔収録ということで、若干聞きづらいと思いますがご了承よろしくお願いいたします。今回のテーマは、「望み薄のボーナス」をどう家計に反映させればいいのか、ということです。コロナの影響で、今年の夏のボーナスは大幅に減額されるかもしれないということが至る所で言われています。その可能性やポイントを整理して、皆さんにお伝えしたいと思いますが、深野先生、どうでしょうか?
深野さん:コロナのパンデミック前に、春闘の結果が出たじゃないですか。それを考えると、夏のボーナスはもちろん一部企業では既に減額などの声が出ていますが、企業によっては無傷というケースもあります。予定通り出るということですね。ただしそういう企業であっても、冬のボーナスは影響があるのではないかと思います。 よく例えとして、2008年のリーマンショックが出されますが、あれは9月でしたよね。冬のボーナスの約3カ月前です。当時冬のボーナスはカットされたところもあったし、ゼロのところもあったし、今回同様、無傷というところもありました。でもその無傷のところも夏にはやはり影響を受けました。今回コロナの影響は3月に入って大々的になっていましたよね。それを考えると、おおむねリーマンショックと同じようなスケジュールになるような気がします。ただリーマンショックよりも短期的な落ち込みが大きいので、やはり影響はさらに多業種に出るかと思います。また、業種によって大きく差が出るということが、今回の新型コロナの特徴だと思います。
清水さん:夏に下がらない業種もあれば、冬に下がるところもあるし、夏冬共に下がるところもあるだろうと。いろいろなケースが考えられるわけですね。しかも減額の幅が大きい可能性も考えられるということです。そういうことが想定された上での家庭防衛については、どうでしょうか?
深野さん:どこかでコロナの終息とまではいかなくても落ち着いて経済活動が戻ってくるとは思いますが、当時言われていたV字回復はかなり厳しいと思うんですよ。U字やL字とも言われています。我々の収入が戻ってくるのにも、かなり時間がかかると考えられます。となると今回の夏のボーナスは、まず定期預金あるいは普通預金、現金で持つことが一番重要ではないでしょうか。
今一番やってはいけないことは、預金を取り崩すこと
清水さん:支給された額の多い少ないはあるにせよ、とにかくそれを一度現金としてキープするということですね。深野さん:そうです。例えば今残業代ってほとんどつかないじゃないですか。給料は基本給止まりという方もいると思います。残業がなくなって給料の10~20%が減る人も多いと思いますが、そのぶんはボーナスで補わなくてはいけませんよね。 もちろん同時に家計の節約もしていくと思いますが、その度合いがどこまで続くか見えません。今一番やってはいけないことは、預金を取り崩すことです。今は厳しい時なので預金はできなくても仕方ないです。ただそれを取り崩すとか、借金に走ることが一番良くないですよね。 それを防ぐためには、やはり現金をキープして、給料が減ったら現金で補うスタンスが大事です。私はこの夏だけではなく、冬もそういうスタンスでいるほうがいいと思います。
清水さん:人によってはボーナスを当てにして保険の年払いや車検費用、住宅ローンを払うという方も少なくないですよね。
深野さん:マネープランクリニックでも、ボーナスの支出先に保険の年払いや各種税金を挙げている方は多いですよね。その部分が日常の家計で回ってしまうことを考える必要があります。夏のボーナスを当てにした支払いは、今回は仕方ないかもしれませんが、その後は年払いは叶わないけど毎月の支出に計上しておいて、ボーナスはあくまでも余裕部分として考えなくてはいけません。
清水さん:ボーナスが減額になるのは辛いですが、これはボーナス依存を多少でも減らしていくような家計の見直しをする機会でもあるわけですね。
深野さん:もし新型コロナがなかったとしても、ボーナスは家計を見直す大きなチャンスなんです。今回は想定外のことが起こっているわけなので、夏のボーナスで家計全般をもう一度見直すことは、すべての人がやったほうがいいと思いますね。
清水さん:今回ボーナス減額になる方が多いと思いますが、これをきっかけに家計を見直してボーナス依存から脱却し、ボーナスは極力貯蓄に回せるような状態を目指していくことが、一つの家計防衛だと言えますね。
深野さん:それともう一つ、あくまでも今回のボーナス減額は、新型コロナの影響ですよね。減額したものが継続するわけではないというわけ。我々とお金との付き合いを時間軸で長く考えれば、やはり良い時も悪い時もあるので、常に悪い時にはどう備えるかを考えた上で家計の見直しをしていただきたいです。
清水さん:これを機に皆さんもぜひ、家計の見直しをしていただきたいと思います。深野先生、今回もありがとうございました!
【関連記事をチェック】
コロナショックで株や投資信託に含み損を抱えてしまったらどうする?
コロナによって収入が減ってしまったら、家計をどう見直せばいいのか
新型コロナで注意したい!これからの家計のタブーって?
住民税ってどこに住んでいても同じ金額なの?身近な住民税の疑問