元カレとセクシーメッセージで盛り上がって
家にこもることが多い今、誰もがストレスを抱えている。そんなとき、熱愛していた元カレとSNSで再会、実際に会ってはいないもののセクシーなメッセージのやりとりで非日常を味わっている女性がいる。
元カレから急にメッセージが来て
家にいながら時間を持て余しているとき、突然やってきた元カレからのメッセージに驚いたというのは、マオさん(45歳)。結婚して15年、中学生の息子と同い年の夫と3人暮らしで、現在は夫も彼女も基本的に在宅勤務。出社は週に1回ほどだ。
「仕事量が減ったわけではないけど、やはり出勤時間がなくなったりする分、時間はありますね。それでついつい気分転換も含めてSNSばかりやっちゃうんですよ。ある日、20代のころ大恋愛した元カレからメッセージが来て、本当にびっくりしました。でもうれしかった」
その元カレは大学時代の同級生。卒業してから結婚しようという約束をしていたのに、マオさんが転勤したり彼が海外駐在になったりしてすれ違いが続き、あげく彼が仕事を辞めて遠方の実家に帰ってしまったこともあって8年続いた関係に幕を閉じた。
「どちらが別れたいと思ったわけでもない。今思えば、すれ違いに冷静に対処できなかったんだと思います。若すぎたんでしょうね。彼と別れて1年くらいで今の夫と結婚したんですが、そのときもそれからも彼のことを忘れたときはありませんでした」
夫は穏やかないい人で、マオさんの仕事も尊重してくれる。だから結婚したことを後悔はしていない。それでも、思い出すのだ、あの若い情熱的な日々を。
「彼とは当時の思い出話をやりとりしていました。だけどしばらくたったら、なんだか話がエッチな方向にいくようになっちゃったんですよね」
若い時代の楽しい話のひとつに、ふたりとも初めてだったセックスの思い出がある。
試行錯誤した日々が懐かしい
ふたりとも初めてだったから、なかなかうまくいかず試行錯誤した。そこからふたりだけで身も心もどっぷりと浸った。学生で時間もたっぷりあった。「そんな話も懐かしくて。そこから、今はどうなのという話になって。彼も既婚者で子どもがふたりいるそうです。でも家では完全にセックスレスだよって。うちもそうだから、配偶者とはそういうことがないほうが平和なんじゃないの、なんてやりとりも」
深夜、どうしてもお互いに声を聞きたくなり、電話をすることも増えていく。テレビ電話にして顔を見ながら、エッチな会話を楽しむようにもなった。
「文字だけのエッチなやりとり、顔を見ながらのやりとり。顔を見ながらのときは私はトイレにこもっていましたが、彼はバスルームだったそうです。電話しているときはいいんだけど、終わると急に虚しくなったりするんですよね。それで私も少し感情が不安定になりました」
これは遊びだ、当時を懐かしんで遊んでいるだけだと割り切っているつもりだったが、気持ちが少し先走ってしまうのだろう。実際には会えないからこそ、安心して疑似不倫を楽しんでいるだけのはずなのに……。
「ある日、彼が『オレ、やっぱりマオと結婚すればよかった。最近、つくづくそう思う。人生、間違えたんだ』と言い始めたんです。私だって彼と結婚すればどんな人生になっていただろうと思うことはありましたけど、それを言ったらますます気持ちが揺らいでしまう。今さら人生をやり直すことはできないんですから」
それでも彼はたびたび、オレのパートナーはマオしかいないと伝えてくる。そのたびに彼女は揺れる。
「自粛の世の中だけど、いっそ会ってしまったら気持ちもすっきりするんじゃないかと思ったこともあります。でも彼、飛行機で行かなければならない遠い場所に住んでいるんですよ。それが歯止めになっている」
今になってこんなせつない思いをするのは幸せなのか不幸なのか、マオさんは毎日考えてしまうという。一方で、穏やかな夫は週に半分は夕食を作ってくれる。中学生の息子も父親が好きで、ときおり父と息子は夜遅くまで話し込んでいる。
「こんな大事な家庭を捨てるわけにはいかない。それだけははっきりしています。世の中が不安定だから私も不安定になっているだけ。そうやって自分を信じようとしています」
それでも……とマオさんは揺れる。電話で話を聞いたのだが、ときおり言葉に詰まっては、また懸命に言葉を探しているのが彼女の心を表しているようだった。