亀山早苗の恋愛コラム

不倫が男の妻にバレたけれど「泥沼」にはならなかった理由

不倫が相手の妻にバレてドロ沼という話はよく聞くが、そこからどうなるかといえば、多くの場合、不倫は破局、男性は妻のもとへ戻っていく。ところが強烈な妻のキャラにびびって、恋人である女性側が自ら逃げるような恋もある。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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強烈な妻にビビって、不倫の恋から降りた私

不倫バレ

不倫が相手の妻にバレてドロ沼という話はよく聞くが、そこからどうなるかといえば、多くの場合、不倫は破局、男性は妻のもとへ戻っていく。ところが強烈な妻のキャラにびびって、恋人である女性側が自ら逃げるような恋もある。
 

彼の自宅によく行っていた

ミホコさん(34歳)は、4歳年上の会社の上司と2年ほど不倫の関係に陥っていた。彼には5歳と2歳の子がいるが、不倫が始まったのは彼の妻が下の子を妊娠していたころ。

「その時点では私、奥さんが妊娠しているって知らなかったんです。うちは夫婦関係が破綻しているって彼は口癖のように言っていたし、とにかく好きになってしまったので自分の気持ちを抑制できなかった」

当時、彼の妻は上の子を連れて実家に戻っていたので、彼女は週に半分以上、彼の家に泊まっていたという。

「不倫なのに相手の家に泊まるなんて、と私も躊躇したんです。でも彼の家で仕事の話をしたり、いろいろ教わったりできるし、一緒に料理を作ったりするのも楽しくて」

半年ほどそんな状況が続いたころ、彼はようやく下の子が産まれたことを白状した。どうせ社内でわかる話だから、と。

「妻の妊娠中の慰みのために私を利用したのか、と非常にショックを受けました。でも彼はそうではない、僕が好きなのはミホコだけだって言ってくれたんです。これをきっかけに離婚するつもりだとも」

妻が帰宅したのは、それから数カ月がたってから。こんなに夫をひとりにしておくなら、彼が浮気してもしかたがないのではないかとミホコさんは戦闘的な気分になっていった。

「彼を自分だけのものにしたい。彼と結婚したい。だんだんそう思うようになっていきました。彼は『妻は実家が大好きで、すぐに帰ってしまう。だから結婚してからずっと寂しかった』と言っていました。奥さんの実家、遠いので一度帰ると月単位でいつづけるらしいんですよね。結婚しているのに実家ばかりに目が向くっておかしい。そう思っていました」

そして妻が帰ってきてからも、ミホコさんは彼と週に1、2度は会っていた。
 

妻になにもかも押しつけられて

それから1年ほど、ふたりは愛を育んでいった。彼は「妻には離婚の話をしたけど、なかなか応じてもらえない」と言っていた。

「私はそれを信じていました。その間も奥さんはときどき子連れで実家に帰っていたので、そのたびに私は彼の自宅に入り浸っていたんです。だから離婚話が進まなくても、それほど焦りはありませんでした。いつか成立するに違いないと信じていたから」

ふたりのつきあいが1年半ほど続いたころ、ミホコさんはまた彼の自宅にいた。妻はしばらくいないはずだった。

「ところが夜10時ごろだったかな、ソファで彼といちゃいちゃしていたら突然、奥さんが帰ってきたんですよ。もちろん子連れで。逃げようがなかった。ドアが開いて、彼と私が半裸でいるところを奥さんに見られたんです。上の子もぼんやり立ってこちらを見ていました」

妻は、ぐずっている下の子をミホコさんに押しつけた。上の子も夫のほうへ追いやった。そして淡々とミホコさんに向かって言ったのだ。

「あなた、この人と一緒になりたいんでしょ。だったら今日からここに住んでいいから。子どもたちは置いていくからあなたが母親になってやってちょうだい」

そして彼女は出て行ってしまった。上の子が「ママ」と泣き出し、下の子もつられて大泣きしはじめた。あっけにとられていたミホコさんだが、子どもたちのすさまじい泣き声に、どうしたらいいかわからなかった。彼もまた、どうしたらいいかわからなかったようだ。

「しかたないので、下の子をずっと抱っこしていました。すると彼が、『お腹がすいてるんじゃないか』と言い出して。上の子にごはんを食べたのかと聞くと食べてない、と。それから彼とふたりで子どもたちの食事の支度です。その晩はこちらが疲れ果ててぐっすり寝てしまいました」

翌朝起きても、妻はいない。子どもたちは相変わらず泣きじゃくる。彼は、どうしても大事な仕事があるからと会社へ行ってしまった。ミホコさんは有休をとって、子どもたちのめんどうを見るしかなかった。

「とはいえ、上の子はともかく、そのとき下の子はまだ1歳にならないんですよ。おむつだってどうしたらいいかわからない。しかたないので子どものいる友だちに連絡して来てもらいました」

このままでは翌日も会社に行けない。帰宅した彼は妻と連絡がとれず、いらいらしている。ふたりとも困り果てていた。彼はしかたなく、自分の母親に連絡をして翌日から来てもらう手はずを整えた。

「私はやっと解放されて、彼の自宅から親と住む家に戻りました。帰る途中で、ひとりで居酒屋に寄りましたよ。こんな目にあうとは思わなかった。それにしても奥さん、よく子どもを放り出して2日間も行方不明になれるなあと思いました。まあ、そういうことをさせた彼と私がいけないんですけど」

妻の居場所がわかり、彼が平身低頭して戻ってきてもらったのは1週間後だった。彼の母親も息子の行状をひたすら妻に詫びたという。

「その後、会社に彼の妻が訪ねてきて私、呼び出されました。今、受付は人がいなくて内線で呼び出せるようになっているんです。エントランスに行くと、奥さんが立っていて。会うなりビンタされてよろけたところを馬乗りになって殴ったり蹴ったりされました。たまたま通りかかった社員が助けてくれたんですが、打撲がひどくて3日ほど入院しました」

夫のことを会社に言うと、社内評価が下がる。それは困る。だがミホコさんのことは痛めつけたい。妻はそう思ったのだろう。

「それでも結局、そういう話は止められないので、彼と私の不倫は会社の知るところとなりました。彼は100万円くれて、仕事を紹介するからと言ったんですが、もう関わりたくなかった。だけど100万円はもらいました。会社を辞めて、今年から転職したところです」

あの強烈な妻とやっていくのは彼も大変だろうと思ったが、だからといって不倫をしていいわけではない。やはり自分は「彼の逃げ場」にすぎなかったのではないかと今のミホコさんは感じている。
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