AI投資・ロボアドバイザー(ロボアド)とは?
本題へ移る前に、「AI投資」や「ロボアドバイザー(ロボアド)」という言葉を聞きなれない方もいるでしょう。そこでまず、この言葉の意味から解説します。「AI投資」「ロボアドバイザー(ロボアド)」とは、AI(人工知能、ロボット)に資産管理を任せるサービスのことをいいます。具体的には、預け入れた資産の配分をAIに決めてもらい、資産運用をお任せできるサービスです。
AI投資やロボットアドバイザーが運用する方がやっぱりお得?
「AI投資」「ロボアドバイザー(ロボアド)」の良いところは、「人手に頼らずに資産運用をお任せできる」ので、その道のプロにお金を預けるよりも低コストであるという点です。
僕の調べでは、「AI投資」「ロボアドバイザー(ロボアド)」の信託報酬は年率1%前後のようです。アクティブ型投資信託など、プロが運用する人手のかかる投信などでは、信託報酬は年率1.5%ほど。コスト面で見ると、ロボアドは年率0.5%ほど有利のようですね。
「資産運用を勉強したことがないけれど、お金を増やしたい」という、投資初心者の間で人気のようです。
AI投資・ロボアドバイザー(ロボアド)はお得なのか?
用語の説明が終わったところで、本題へ移りましょう。では「AI投資」「ロボアドバイザー(ロボアド)」はお得なのでしょうか?結論から言うと、「人間のプロに預けるよりはお得だけれど、自分で資産配分を決めるよりはお得じゃない」というのが僕の結論です。
以前、『確実に不労所得を増やす「投資信託」の選び方』という記事を書きました。この記事でも触れましたが、プリンストン大学の経済学教授バートン・マルキール氏によれば、投資信託のパフォーマンスは「手数料が安ければ安いほど良い」ことが確認されました(1)。
先にも触れたとおり、人間のプロに資産運用を任せるにはコストがかかります。アクティブ型投信でお金を運用してもらうには、年率1.5%ほど信託報酬がかかるでしょう。
対して、「AI投資」「ロボアドバイザー(ロボアド)」にかかる信託報酬はおよそ年率1%ほど。人間のプロに資産運用を任せるより、コストはかかりません。
とはいえ、「AI投資」「ロボアドバイザー(ロボアド)」よりも信託報酬が安い投資信託は他にもたくさんあります。最近は年0.1%を切るインデックス型投資信託もあります。AI投資と比べコストが10分の1ほどです。
よって、自分で資産配分を決めて、信託報酬の安いインデックス型投資信託にお金を預けるほうが、「AI投資」「ロボアドバイザー(ロボアド)」に預けるよりもコストが安く済ませられます。
まとめると、「AI投資」「ロボアドバイザー(ロボアド)」や人間のプロは、銘柄をとっかえひっかえすることでパフォーマンスを引き上げてくれそうなものですが、自分でしっかりと勉強することで、もっとお得に運用できる可能性が高いです。「理髪店にいくより、セルフカットした方が安く済む」のと同じですね。
自分で投資する際に押さえておきたい2つのコト
まず勉強しておきたいのが、資産配分の大切さです。ある論文(2)によると、資産運用のパフォーマンスの8~9割は、資産配分……つまり、「どんな投資商品に、いくら振り分けるか」で決まっていたことが分かりました。それこそ、月々100円を投資に回すのと、月々1000円を投資に回すのとでは、運用成績は10倍変わります。そして、この差を小手先のテクニックで埋めることは不可能に近いです。
裏を返すと、資産配分さえ押さえていけば、多少ミスをしても何とかなります。ゆっくり時間をとって、「自分はどれだけリスクを取る余裕があるだろうか?」「財産のうち、いくらまでだったら資産運用に回せるだろうか?」と考えるとよいでしょう。
資産配分が決まったら、次は低コストで資産運用する方法を学びましょう。僕のおすすめはインデックス投資という投資手法です。この投資法は投資の神様ウォーレン・バフェットも推奨している手法で、だいたいのプロよりも優れている実績があります。
この2点さえ押さえておけば、ほどほどにお金を増やすことができるでしょう。僕自身、資産の多くをこの方法で運用しています。最近は月々100円あれば投資を始められるので、ぜひこの機会に運用をスタートさせてみてはいかがでしょうか。
●参考文献
- 記事:Burton G. Malkiel, 2004, "Can Predictable Patterns in Market Returns be Exploited Using Real Money?", The Journal of Portfolio Management 30th Anniversary Issure, 30(5), pp. 131-141
- 論文:Gary P. Brinson, L. Randolph Hood, and Gilbert L. Beebower, 1986, "Determinants of Portfolio Performance", Financial Analysts Journal, 42(4), pp. 39-44