歳を重ねることは面白い
4月になると、会社にフレッシュな新入社員が入ってきますが、30代以上の人のなかには、自分の年齢を実感し、落ち込んでしまう人が少なからずいます。歳を重ねても、精神が成熟していない子供おばさん(子供おじさん)は、若さにばかりこだわる分、無理に若作りをしたり、逆に加齢に落ち込んでしまったりと、精神的に不安定になりがちです。そんな人こそ、歳を重ねることの面白さを理解しませんか?
“若さ以上の武器”を手に入れよう
日本のように「若さこそが魅力だ」という価値観が蔓延していると、自分がどんどん価値を失っているように思える人もいるかもしれません。でも、それは違います。歳を重ねたからこそ、見えてくること、分かることが色々とあるもの。“若さ以上の武器”を手に入れることができたら、それが生きていく上での戦力になるのです。そのためには、精神的に成熟をしていくことが大切です。子供っぽい精神のまま、ただ見た目や体力などが老いてしまったら、それは、辛くて仕方ないでしょう。「若さ」という、生きていくための武器を一つ失ったようなものですしね。
でも、いい歳の重ね方をすることで、“若さ以上の武器”を手に入れることができるようになっていくもの。それによって、生きるのがより面白くなってくるのです。
“若さ以上の武器”とは?
では、“若さ以上の武器”は何でしょうか? 一つは「広い視野が持てるようになること」です。それによって、世の中の見方が変わってきます。今までの経験によって、上っ面の情報ばかりでなく、もっと深く状況を見られるようにもなってきます。そうすると、情報に振り回されにくくなってきます。さらに、成功も失敗も、いいことも悪いことも味わってきたことで、人の痛みも分かるようになり、相手の立場に立って物を見られるようにもなってきます。そうすると、思いやりのある言動ができるようになるので、人々とより調和しやすくなってきます。
また、色々経験してきたことによって、自分にとって好きなもの、嫌いなもの、得意なこと、苦手なことを知り、“自分らしさ”が分かってきます。そうするとだんだん、「みんな同じように生きていたって幸せになれるわけではない」ことにも気づくことができます。
例えば、結婚が向いている人もいれば、向いていない人もいるし、会社員が向いている人もいれば、フリーランスが向いている人もいます。多くの人との触れ合いがある生活を過ごすことを好む人もいれば、自由気ままに1人でいる時間を多く望む人もいます。
若い頃は、みんなと同じことをすることに安心し、「どっちの方がより優れているか」なんて張り合いがちです。でも、歳を重ねていくと、そんなことは意味がないことだと分かってくるものなんですよね。なぜなら、そもそも自分に向いていないもの、必要ないものを手に入れても仕方ないからです。それが、たとえ社会的地位であってもです。例えば、人前に出るのが苦手な人が人気タレントになってしまったら、居心地が悪いでしょうしね。自分らしさを失って幸せでいられる人は、皆無なのです。
また、同じ年齢であっても、老化の度合いは人それぞれです。だから、「自分」をよく知っている人ほど、年齢という数字にこだわらずに、自分に合うものを見つけます。さらに、人の評価ばかり気にしないで、自分の好きなことを選べるようにもなってきます。それによって、より快適に過ごせるようになっていくんですよね。
幸せとは何か?も分かってくる
「自分らしさが分かる」ということは、“自分にとっての幸せ”も見えてくるということです。そもそもお金持ちになろうが、出世しようが、イケメン(美女)と結婚しようが、自分が幸せを感じなければ意味はありません。別に人から、「すごいね」「幸せそうだね」なんて賞賛されなくても、たとえささやかな日々を送っていても、自分が今、幸せを感じていることこそが、大切なんですよね。精神的に成熟してくると、今、目の前にある幸せが当たり前ではないことも、経験から分かってくるようになります。若い頃は、当たり前のようにある幸せを、失ってから初めて気づくことが多いもの。でも、歳を重ねていくと、当たり前の幸せなんて一つもないことを理解していきます。それによって、より幸せに気づきやすくなり、味わうことができ、さらに感謝もすることができるようになるのです。つまり、本物の“幸せ者”になれるのです。
自分らしい幸せを味わっていくと、「足るを知る」ようになります。そうすると、「自分の欲望のコントロール」もできるようになってきます。若い頃は、今、手に入れている幸せを味わわないまま、「もっと!もっと!」と新たな幸せを追い求め、いつまでたっても足りない気持ちを抱きがちです。そして、自分から湧き出る欲望をコントロールできずに、手段を誤ってしまい、人に迷惑をかけたり、自分の立場を悪くしたりしがちです。それでは心の安定はないでしょう。
どんな状況であれ、自分らしく生きていて幸せを感じている人が、本当の意味で人生においては成功者です。たとえ、その人よりもお金持ちであろうが、社会的地位が高かろうが、幸せでなければ、人生というレベルで見た成功からは外れてしまっているのです。
その意味がきちんと理解できるようになるのも、歳を重ねてきてからかもしれません。それもあって、若い頃とは違って物の見方が変わってくるといえるのです。