カラーコーディネート

青・白・黒といえば…?ロングセラーと色の深い関係

高度経済成長期の誕生から現在まで、ロングセラーを続ける商品があります。MONO消しゴムやuni(ユニ)をはじめとするロングセラー商品のパッケージカラーから、時代を超えて愛される秘けつが見えてきます。

松本 英恵

執筆者:松本 英恵

カラーコーディネートガイド

青・白・黒のストライプといえば?

mono
以前、青・白・黒の配色を見せて、「何を連想しますか?」というアンケートを行った際に、大半の人が「消しゴム」と回答しました。トンボ鉛筆の「MONO消しゴム」を連想した人が多く、青・白・黒=消しゴム=MONOというイメージが深く根付いていることがわかりました。

「MONO消しゴム」は、事務用消しゴム市場で5割超という圧倒的なシェアをもつロングセラー商品ですが、そのはじまりは意外にも“鉛筆のオマケ”でした。トンボ鉛筆創立55年を記念して発売された最高級鉛筆「MONO100」1ダースに1個付けられたプラスチック消しゴム、それが「よく消える!」と評判になり、1969年に青・白・黒ストライプのスリーブに入った初代が発売されたのです。 

この3色ストライプは、店頭に陳列した際に、小さな消しゴムの存在感を際立たせるために、国旗に見られる横ストライプから着想を得たそうです。青・白・黒の3色に特別な意味はないようですが、消し心地のよさに定評のある「MONO消しゴム」には、すっきりとした配色が似合います。
 

ユニ色=えび茶色+ワインレッド

鉛筆のシェアナンバーワンは、三菱鉛筆の「uni(ユニ)」。1958年の発売当時は1本50円。当時、一般的な鉛筆1本が5~20円、コーヒー1杯が50円程度だったことを考えれば贅沢品だったようですが、予想を上回るヒット商品となりました。

1966年には、uniの高級ライン「Hi-uni(ハイユニ)」も発売され、スタンダードな「uni(ユニ)」は、1989年に発売された4代目が現在も販売されています。

ユニとハイユニの軸色に採用された通称「ユニ色」は、日本の伝統色えび茶色と高級感をイメージしたワインレッドを掛け合わせたもの。スクールカラーによく見られる重厚なこの色は、人によってはスクールジャージを連想する、どこか懐かしく愛着が感じられる色ではないでしょうか。
 

世界初の缶コーヒーが誕生して50年

世界初の缶コーヒーが日本で誕生したことを、皆さんはご存知でしょうか?

それが1969年に発売された「UCC ミルクコーヒー」です。初代は、専用の穴あけ用オープナーを使って飲み口と空気穴の2つの穴を開けて飲むようになっていたそうです。1981年に発売された3代目からプルタブ式が採用され、その後も改良とリニューアルを重ね、現在は10代目が販売されています。

その一方で、「3色缶」の愛称があるように、パッケージカラーには発売当初から一貫して茶色・白色・赤色の3色を使い続けています。茶色は「焙煎したコーヒー豆」、白色は「コーヒーの花」、赤色は「熟したコーヒーの実」を表現しているそうですが、ミルクがたっぷり入った甘いミルクコーヒーの風味にぴったりの配色ですよね。
 

商標登録が認められたロングセラーの色

数え切れないほどの種類があるアイテムの中で選ばれ続けるためには、よく多くの人にブランドを知ってもらうことが大切です。新奇な色を用いれば、売り場では目立つかもしれませんが、風味や使い心地にマッチした配色にした方が、愛着を感じリピートにつながるのかもしれません。

モノケシ、ユニ、UCCの缶コーヒーもまた、改良を加えながらリニューアルを重ねていますが、半世紀以上に渡ってパッケージの色を守り続けたことでブランドカラーとして定着しています。

2014年には、こうしたロングセラー商品をコピー商品から守ることを目的に、日本でも色を商標として登録する制度がスタート。現在までに6社の製品やサービスの色彩の登録が認められています。今回ご紹介した3商品は、「色彩のみからなる商標」として登録が認められた数少ない事例でもあります。


【ガイドからお知らせ】
色に関するウェブアンケートを行っています。匿名でご回答いただけますので、ぜひ、ご協力をお願いいたします。アンケートの結果は、今後の記事に活用させていただきます。

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