亀山早苗の恋愛コラム

生涯未婚率の上昇は「結婚できないから」だけではなくて……

生涯未婚率は、男性が23.4%、女性が14.1%。この数字はこれからも増えると推察されている。結婚しない、だから少子化だと決めつける前に、結婚という形をとる必要がない人が増えているという考え方もあるのではないだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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生涯未婚率が上がっていく時代に

結婚しない

2019年6月に内閣府から発表された「少子化社会対策白書」によれば、いわゆる生涯未婚率は、男性が23.4%、女性が14.1%。これは50歳時の未婚率を算出したものであって、彼らが今後も結婚しないとは限らないのが大前提。

ただ、この数字はこれからも増えると推察されている。結婚しない、だから少子化だと決めつける前に、結婚という形をとる必要がない人が増えているという考え方もあるのではないだろうか。

 

ケース1. 「彼とは10年、一緒に住んではいるけれど」マイコさんの場合

学生時代からつきあっている同い年の彼と、10年一緒に暮らしているというのはマイコさん(36歳)だ。大学を卒業してそれぞれ別の会社に就職、仕事が一通りわかるようになったころから同棲を始めた。

「そのまま今に至るという感じです(笑)。彼は一度、転職しましたね。今も仲良しですよ。お互いに仕事重視、自分の趣味優先という感じですが、週に一度はデートしますし、週末は一緒に料理をすることもあります」

子どもをもとうとは最初から思っていなかったという。

「私は自分がやりたい仕事をすることができるようになったし、もともと自分の家族が機能不全、しかも崩壊状態なので、家族というものに期待を抱いてないんですよね。彼とそういう話もして、もし子どもがほしいのであれば私ではない女性を選んだほうがいいと言ったんです。すると彼は、自分も実は子どもをもちたいとは思わない、と。どちらかが子どもがほしいと思うようになったら、またそのとき話し合おうねということになっています」

家事はできるほうがやる。大人ふたりだからそれほど部屋も汚れない。最近は彼がお弁当作りにはまっており、マイコさんの分も作ってくれるのだという。

「私は外回りもけっこうあるので、お弁当がいらない日はスマホのスケジュール管理で明日はいらないと伝えます。私が帰ると彼は寝ていることもけっこうあるので、スケジュールはスマホで連絡しあうことが多いですね」

周りからは結婚しないのかと聞かれるが、「わからない」と答えて早10年、今は誰も聞かなくなったと笑った。

「それでも彼がいてよかったと思うことばかりです。婚姻届というものを出す必要性を感じない。姓が変わるのもめんどうだし。極端な話、嫌いになったら簡単に別れられる状態にしておいたほうが、お互いに気楽でいいと思うんですよね」

マイコさんが彼の親やきょうだいに会ったことはない。会ってもいいと思っているが、彼が「めんどうだからいいよ」と言うらしい。

「それも実は私にとってはありがたいんですけどね」

“家庭らしさ”がわからないから、なまじ相手の家族に会ったらどう対処していいかわからないのだという。

 

ケース2. 20年、近所に住んでいる恋人がいる……ノリコさんの場合

さらに、一緒に住んではいないが20年に及ぶ恋人がいるというのは、ノリコさん(42歳)だ。相手は新卒で就職した会社の同期。ノリコさんはその後、転職しているが、彼は新卒で入った会社に今もいる。

「新入社員だけの飲み会があったときに隣にいて話したのがきっかけ。その後、なんとなくつきあい始めて。お互いにひとり暮らしだったから、引っ越しのたびにだんだん住む場所が近くなっていった。彼は結婚したくないとずっと言っていて、私も結婚は別にしてもしなくてもいいと思っていたのでこうなってしまったんですよね。今は隣のマンションに住んでいます」

お互いに早く帰れるときは、どちらかの家で食事をすることもある。外で一緒に食べることも。隣のマンションの部屋に泊まったりもするらしい。

「会えないときは1週間くらい会わないときもあるし、どちらかが出張だのなんだので数週間、顔を合わせないなんていうこともありましたね。でも大まかにどういう仕事をしていて、いつからいつは出張だということはなんとなく把握しています。恋人だからこうしなくてはいけないという縛りはいっさいないんだけど、お互いに申告はしますね」

夏休みはなるべく合わせて旅行に行く。正月はそれぞれの実家に1泊してくることが多い。お互いの実家では、つきあっていることは知っているが結婚を強要されたことはないという。

「ふたりともいい年の大人なので、親や親戚に何を言われても受け流しています。自分たちがいちばんいいと思うライフスタイルを実践しているだけだから、誰かにこういうスタイルがいいよとも言わないし」

ただ、40歳を目前にしたとき、ほんの少しノリコさんの気持ちが揺れたという。子どもをもつならラストチャンスだと思ったから。

「彼にもそんな話をしたんですが、彼は『ノリコが本気で子どもがほしいなら、オレも覚悟を決めるよ』と。でもねえ、その後、仕事で大きなプロジェクトが入って、その話は立ち消えになりました。私が本当に子どもがほしければ、そんなプロジェクトは断っていたでしょうね。年齢的に揺れただけだと思います。今は後悔していないし」

ノリコさんの夢は、ふたりとも定年になったあとの生活だ。おそらくふたりとも何か仕事をしているだろうけれど、少し仕事のペースを落として、犬か猫を飼ってみるのも楽しいかもしれないと想像している。

「まあ、彼はワーカホリックだからなかなか落ち着かないでしょうけど。今は周りの友人たちが子育てで忙しい派と独身派に分かれていますね。でもあと10数年もすれば、みんなまた集まれるようになるんじゃないかな。いろいろな人生を送っているから、友人と思う存分、会えるのもこれからの楽しみのひとつかもしれません」

独身であってもパートナーがいる人のことは、なかなか政府関係の調査には上がってこない。だが実際、こういう女性たちは少なくない。婚姻届だけが幸せの形ではないのだ。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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