“軽くなる”ヒントは段ボールにあった?

毎日のことだけに、重たいバッグは悩みのたね

毎日のことだけに、重たいバッグは悩みのたね

段ボールは、段ボール原紙と接着用の糊で作られています。古紙とパルプを原料とし、通称「クラフト色」と呼ばれる薄い茶色が定番色となっています。クラフト色の段ボールは、漂白や着色を行わないので価格を抑えることができますし、汚れが付着しても目立ちにくいというメリットもあります。

また、古紙回収リサイクルシステムが根付いている日本では、段ボールの回収率は95%以上を誇ります。段ボールはエコロジーの優等生なのです。
 

引越しの段ボールに「白」が多い理由

ところで、引越しの段ボール箱に白が増えているのをご存知でしょうか? 段ボール原紙は何層もの紙からできており、白い段ボールはその一番上に白い紙を貼り合わせています。「クラフト色」より割高感がある上に運搬中に汚れが目立ちやすいデメリットもありそうですが、なぜ、引越し業界では白い段ボールを使うようになったのでしょうか?

これには、色彩と人が感じる“重さの印象”が関係しています。カラーコンサルタントの草分けといわれるルイス・チェスキンは、著書『役立つ色彩』(1954年)の中で、黒い箱を薄い緑色に変更したところ、箱を運ぶ人の疲労が軽減されたという事例を紹介しています。色彩学の権威として知られるフェイバー・ビレンもまた、日常の運搬に使われる箱やコンテナは寒色系の明るい色がよいと著書『色彩心理と色彩療法』(1984年)の中で述べています。

ある実験によると、同じ大きさ、同じ重さの場合、白よりも黒はおよそ1.9倍の重さに感じられると報告されています。黒に比べるとクラフト色は明るいですが、白と比較すると1.3倍くらいの重さに感じられるのです。

引越しでは、単身者であれば10~15箱くらい、4人家族の場合は50~80箱くらい……たくさんの段ボールを運搬します。多くの引越し会社が白い段ボールを使うようになったのは、色の効果で作業効率が上がり、スタッフの疲労軽減にもつながるからなのです。

宅配便の段ボールにも白が増えてきました。白い段ボールが普及するにつれて製造コストが下がり、いつの日か、白い段ボールが当たり前になる日がやってくるのかもしれません。
 

旅慣れた人が選ぶスーツケースの色

この“重さの印象”は、引越し以外のシーンでも活用することができます。たとえば、旅行や出張に出かける際に利用するキャリーケースやスーツケース。以前は、汚れが目立ちにくい黒や青が人気でしたが、同様の理由で、最近は白の人気が高まってきています。旅慣れた人ほど、大型のスーツケースは白など明るい色を選ぶ傾向があるというのも興味深いエピソードです。

スーツケースほど顕著な違いは感じられないかもしれませんが、日頃バッグが重いと感じている人は、明るい色のバッグにするだけで重さの印象や疲労感が変わってきます。バッグを新調する予定がある人は、ぜひ、参考にしてみてください。

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