夫も仕事が減り収入減だったため、私の貯蓄を100万円ほど取り崩しています

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、夫婦ともに非正規雇用で働き収入が不安定。住宅ローンの完済も夫79歳の時であり、お金の不安から近場の旅行もできずに悩んでいる40歳の女性からの相談です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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自宅購入後、家庭の貯金がなかなか増えなくなりました

自宅購入後、家庭の貯金がなかなか増えなくなりました



■相談者
珠さん(仮名)
女性/パート・アルバイト/40歳
関東/持ち家(一戸建て)

■家族構成
夫(48歳・フリーランス)、子2人(8歳と4歳)
 
■相談内容(原文まま)  
夫婦ともに非正規で働いています。夫48歳フリーランス、妻40歳、小学3年生と年少児の4人暮らしです。夫は6年前に会社員からフリーランスになりました。この2年ほど仕事が減り、収入の変動が激しいです。私は現在掛け持ちの仕事(雇用保険なし)にて勤務し、月収約20万円です(昨年は雇用保険ありで手取り8万円ほど)。
 
今後、雇用保険に入ることができ、現在の収入も下回らないところに就職しようと思っています。自宅購入後、家庭の貯金がなかなか増えなくなり、また、以前は家庭の事情で私がパートになり収入減、夫も仕事が減り収入減だったため、私の貯蓄を100万円ほど取り崩しています。昨年私は退職、掛け持ちのバイトをしております。これまで家計簿は、毎月の生活費の記録程度しかつけていませんでしたが、現状の不安が強く、はずかしながら今ごろ、家庭の収支表を作成してみました。
 
昨年からは夫の個人年金の掛け口数を1つ減らし、現在は車を売却しようかと検討中です。車は保険料やガソリン、税金と車検積み立てにより、月1万2000円の維持費がかかっております。昨年春までは、私が通勤と保育園の送迎で使用しておりましたが、転職により、現在はたまに外出で使用する程度であり、それは今後も同じだろうと思っています。自宅は駅から徒歩圏で現在の通勤は徒歩+電車です。これまでに見直したのは、上記2点についてのみです。
 
夫の貯金はほぼ0のようです。夫はクレジットカードを複数枚所有しており、その分割払いで20万円ほど借金残高があります。夫は本業の収入が減っているため、日雇いの仕事や物の転売などもしております。その転売にクレジットカードが複数必要だそうですが、私には収支が見えないため、不安材料であります。この借金残高が20万円あることも、つい先日、偶然明細が私の目に入ったため知りました。不安感からこの2年は家族での近場への旅行すらできておりません。そもそもの住宅購入の予算が無謀だったと感じております。幸い、建物の立地が比較的良いので、最悪は老後に売却も可能ではないかと思っております。少しでも長く働けるよう、健康に気を付けて頑張りますが、今後どのようにしていけばよいのか、具体的なアドバイスをお願いいたします。
 
■家計収支データ
相談者「珠」さんの家計収支データ

相談者「珠」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)収支について
記入している収入手取りは、非正規のため年金や健康保険料が差し引かれる前の金額になります。収支にはカードローンの返済は含んでいません。現在、クレジットカード会社へ残金の一括返済にて利息が減るかを問い合わせ中です。利息が減る場合は、一括返済の予定です。
 
(2)住居費について
・購入時の物件の状況:新築 
・借入時期:2015年
・物件価格:4130万円 
・頭金 :160万円 
※その他仲介手数料や団体信用生命保険などの支払いなどで合計330万円ほど
・ローン残高:3520万円 ※当初の住宅借入金額は3970万円
・借入期間:35年
・金利のタイプ:10年間は固定金利0.7% 
・毎月の返済額:10万6602円
・ボーナスの返済額:0万円
・固定資産税:1万1617円
 
(3)加入保険について
夫の生命保険は3つ入っており、そのうち一つが貯蓄型で、払い込み満期は60歳、死亡保障500万ありで月1万3800円です。60歳満期後に年金として受け取ると総額416万円、65歳で受け取ると435万円になる予定です。ただし、年金としてすべて受け取ると、満期後の保障はなしになります。その他は、がん保険(2429円/月)1つ、疾病入院への保険(2757円/月)1つでともに死亡保障なしです。妻の保険はがん保険(2108円/月)1つ、疾病入院保険(1565円/月)1つで、ともに掛け捨てです。子1人のみ共済保険加入しており1000円/月。また子どもたちの大学進学費として学資保険を掛けています。

●第1子1万2630円/月を払込期間18歳まで、受け取り金は300万円のコースです。
●第2子1万7020円/月を払込期間12歳までで、保険期間は18歳です。保険期間満了時の受取金は260万円。
 
(4)教育費について
児童手当は、毎月の貯金とは別に貯めていません。家計費が引き落とされる通帳に入金され、家計費として組み込んできました。教育費は習い事を1つしており、その額が2500円/月になります。子どもの進路については、高校までは公立予定、大学は未定です。幼稚園費6650円は、無償化後の月平均額になります。
 
(5)貯蓄について
私が別途貯めている貯金は、貯蓄額の中に含まれています。貯蓄内訳は以下になります。
・私の貯蓄:220万円
・家庭の貯蓄:94万円
 
私が別途貯めてきた上記貯蓄は、家庭の貯蓄として家の通帳に入金してしまうと、これまでの経験からして夫は通帳残高を見てその額に甘んじてしまい、飲酒が増えたり、その他散財傾向が強くなったりし、また、仕事が減っても危機感が薄くなってしまいます。そのため、私個人の通帳に残しています。夫は私の月収や、そこから家庭費へ10万円プラス私の保険料を支払っていることは知っていますが、私の通帳残高は知りません。しかし、今回のマネープランクリニックへの相談後は、アドバイスを受けてお互いに協力して家庭の貯蓄をしていきたいと思っております。
 
(6)年金について
夫は国民年金を毎月払いです。その他、小規模共済に月1万円、国民年金基金を去年は1万円程度に減額し、今年より一旦停止します。私は個人年金をかけておらず、国民年金を今年は毎月払い、その後半年払いや年払いにしていく予定です。
 
(7)今後について
第2子が小学校高学年まではパートタイム継続を考えています(パートタイムでも雇用保険への加入ができる雇用形態にしたい)。その後はフルタイムも検討しています。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 現在の収入が維持できれば、子どもの教育費はなんとかなる
アドバイス2 ご主人が79歳まで続く住宅ローンは厳しいが、生涯現役で頑張るしかない
アドバイス3 保険の見直し、車の売却なども視野に入れ、借金にだけは気を付けて
 

アドバイス1 現在の収入が維持できれば、子どもの教育費はなんとかなる

家計収支を付け始めたのは、よかったです。しかしながら、まだ、整理しきれていない部分も多くあります。まず、ご主人がフリーランスであり、珠さんも非正規雇用ということですから、国民年金保険料、国民健康保険料、住民税、所得税といった、税金や社会保険料が家計から出ていくものを、もう一度確認されてください。
 
いただいたデータでは、「保険料」ということで、生命保険料や医療保険料と一緒に計算されていますが、社会保険料にいくら払っているのかが、明確になっていません。税金や社会保険料を除いた収入で、生活費を配分するようにしましょう。確定申告によって所得税、住民税、社会保険料が決まります。あらかじめ想定していなければ、予定外の出費ともなりますので、その点は、ご主人にも確認しておくようにしてください。
 
ただ、それ以外の支出に関しては、大きく無駄使いしている項目はありませんので、ご主人の仕事にかかわる支出と家計支出を分けて、しっかり管理することを続けるようにしてください。
 
また、今後、珠さんは、20万円の収入が維持できる職場に転職することを視野に入れているということですので、現在の収入と支出の状況が続くとして、この先、どうなるか考えてみましょう。
 
一番、心配なのは、お子さんの教育費です。今、毎月の貯蓄は家庭の貯蓄と、珠さん個人の貯蓄で、8万6500円できています。これがこの先も継続できれば、ご主人が60歳になる12年後までに、約1240万円貯蓄できることになります。これに学資保険の560万円、現在の貯蓄314万円も加えれば、2000万円程度、貯められることになります。2人のお子さんが高校まで公立、大学は私立に行かれても、自宅から通えばぎりぎり対応できることになります。
 
ただ、心配なのは、やはり収入の維持ができるかどうかです。ご主人が副業されているということですが、それが本業の収入減をカバーできているのか、収入増とまではいかなくても、現在の収入をキープできるのかは大変重要なポイントです。その点も、改めて、ご主人の考えを確認されてください。
 

アドバイス2 ご主人が79歳まで続く住宅ローンは厳しいが、生涯現役で頑張るしかない

60歳までに2000万円貯められたとし、お子さんの教育費をまかなえた場合、残りは0円~良くて数百万円と思われます。珠さんはできるだけ長く働きたいということですが、ご主人もフリーランスであれば、定年退職はありません。きつい言い方になりますが、生涯現役で働き続けなければなりません。
 
何より住宅ローンが完済するのは、ご主人が79歳のとき。厚生年金への加入期間もあったと思いますが、お二人の公的年金で、住宅ローンも払い続けなければならず、かなり厳しい家計になると推測されます。返済を続けることさえできるのかと心配になります。
 
そのためには、今、できうる限り、収入を増やし、貯蓄を残すしか方法はありません。通帳の残高を見て、安心して飲酒が増えたり、散財するなんて、もってのほかです。珠さんが通帳を分けて管理するのは、余程のことでしょう。どうか、ご夫婦で現状を認識し、これからの生活プランを真剣に考えてください。アドバイス1で出した金額も、現状の家計、毎月の貯蓄が維持できる前提であり、突発的に何かあれば、最悪ローン破たんすることもありうる、という危機感を持って頑張ってほしいと思います。
 

アドバイス3 保険の見直し、車の売却なども視野に入れ、借金にだけは気を付けて

最後に、気になることを3つ。
 
まず、保険ですが、まだお子さんが小さいことを考えると、保障が不足しています。夫1500万円、妻1000万円で、保険期間10年の定期保険で、万一に備えてください。掛け捨ての通販型の保険であれば、割安に加入することができます。また子どもの共済は必要ありません。
 
車の売却は、珠さんが不要と思った時点で売却を。下の子が小学校に上がったらなど、乗る機会が減ったタイミングでもいいでしょう。それだけも車にかかる維持費が節約できます。
 
そして、ご主人のクレジットカードです。副業で必要とのことですが、リボ払いの20万円も気になります。できればいったん清算して、クレジットカードの使い方を再度検討してはいかがでしょうか? リボ払いから多額の借金に膨れ上がるケースは多くあります。くれぐれも借金だけはしないように気をつけてください。
 
自宅売却は、そのお金で住宅ローンを相殺、あわよくばあまりが出るというような思い通りになるものではありません。そうならないためにも、収入の確保、貯蓄を残す。このことを忘れないでくださいね。
 

相談者「珠」さんから寄せられた感想

先生からのアドバイスを、夫婦で見て話し合いました。夫は最初、現状を維持できた場合の貯蓄額の推移に「こんなに貯まるのか」と驚いていましたが、今一度先生の言葉を読み返してもらい、説明し、危機感を感じてくれた様子でした。生涯現役で頑張らなければいけないが、はたして本当にそれができるのかどうか。このままでは命綱のない綱渡りをしているような状況であることを、お互いに実感いたしました。
 
保険の保証額が不足している点や見直し等の具体的なアドバイスもいただけて、とても助かりました。保険の見直しと新たな加入、すぐに取り掛かります。悩みと不安の種であった夫の複数のクレジットカードについても、副業は上手くいっていないこと、今後の仕事の在り方を話し合いました。その結果、今後幾つかを解約し、残したカードについては内容と使用明細を提示してくれることになりました。そして、最悪は自宅の売却ができると思っていた私の考えが甘かったことも、痛感いたしました。今後は収入の確保と貯蓄を残すことに対し、きちんと夫婦で力を合わせて頑張ってゆきたいと思います。本当に、どうもありがとうございました。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



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