米国でも注目度が高いインデックス投資
これまで僕は、「投資を始めるならインデックス投資がオススメ!」という話を繰り返してきました。インデックス投資は、CAPM理論(1)という、ノーベル賞受賞者が考案した理論に基づいて作られた投資法です。インデックス投資が始まったのは1970年代のこと。これまで50年ほどかけて、ゆっくり実績を積み上げてきました。最近のインデックス投資の人気は凄まじく、米国株に連動する低コストなインデックス上場投信(VTI)の純資産総額は、およそ8745億ドルに達します。
1ドル=110円として日本円に換算すると、その規模はおよそ96兆円(2)。日本の国家予算並みの投資資金が、インデックス投資に充てられているといえます。
インデックス投資では、頻繁に株取引する「プロ(アクティブ投資家)にお金を預けるよりも概ね優れている」という実績もあります(3)。ほぼ放ったらかしで資産を運用できるので、手間もかかりません。僕がオススメしている運用術の1つでもあります。
インデックス投資で注意すべきことは!?
インデックス投資にも弱点がある!
こんな話をすると、「インデックス投資は万能!」「何も考えずにお金持ちになれそう!」など、大きすぎる期待を抱く方もいます。とはいえ、万能な投資法などありません。他の投資法と比べて失敗の少ないインデックス投資ですが、それなりのリスクもあります。そこで、インデックス投資の弱点について解説します。
インデックス投資の弱点はズバリ、「バブルに弱い」ことです。1990年の日本株のバブル崩壊、2000年のITバブル崩壊など、世界の株式市場は度々バブルが訪れています。このような時期にインデックス投資をはじめると、概ね悪い結果につながります。
その要因の1つが、多くのインデックス型投資信託では、「時価総額が大きな会社の株を多く買う」という方針を採用している点です。
この方針は、バブルが訪れたときに悲劇につながります。なぜかというと、特定業種でバブルが訪れたとき、「割高な株ほど多く買う」ことにつながる恐れがあるからです(これは、これから積み立てをする人にとっては悲劇です)。
バブルの見極め方を知ろう
「ほぼ放ったらかし」で運用できるインデックス投資ですが、バブルを見逃すと痛い目に遭います。バブルによる被害を最小限に食い止めるためには、自分自身でバブルを見極める洞察力を身につける必要があります。ちなみに僕がバブルを見極めるときには、「Fedモデル」という考え方を好んで使っています。この方法はFRB議長が示したモデルで、今なお有効な判断基準でしょう(4)。
僕なりの「バブルの見極め方」については、別の記事で解説しています。興味のある方は、本記事と併せてご活用ください。
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【参考文献】
- 論文:William F. Sharpe, 1964, “Capital Asset Prices: A Theory of Market Equilibrium under Conditions of Risk”, The Journal of Finance, 19(3), pp. 425-442
- WEBサイト:バンガード, "バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)", 2020年1月16日時点
- 調査:SPIVA U.S. Scorecard(2016)
- 論文:Paulo Maio, 2013, "The Fed Model and the Predictability of Stock Returns", Review of Finance, 17, pp. 1489-1533