男友だちが「男」に変わるとき
友だちだと思っていた男性が急に恋心を露わにしたとき、女性としてはどう対処したらいいのだろうか。このまま友だち関係でいたい気持ちをわかってもらいたい。女性がそういう状況に置かれることは多いようだ。
境遇は異なるが、男友だちから思いを告げられたことがあるという2人の女性に話を聞いてみた。
ケース1. 「今さら好きだと言われても……」
お気に入りのバーの常連仲間から告白されたアミさんの場合
会社帰りに地元のバーに立ち寄っているうちに、すっかり常連となったアミさん(34歳)。マスターや他の常連と、カラオケに行ったり、クリスマスパーティをするなど、すっかり自分の居場所を確保していた。
「常連さんたちもみんな気のいい人たちで。そこへ行けば誰かがいる、世代を超えて、利害関係なくおしゃべりしてストレス発散。そんな場所があることをありがたく思っていました」
日頃、とあるメーカーの営業職として多忙かつ厳しい仕事をしているアミさんだからこそ、そのバーでの常連さんとの関係が貴重だった。
「誰も私に恋人の有無とか、結婚しないのかとか聞いてこないし、仕事のことも詮索してこない。だからこそ素の自分でいられたんですよね」
3年間、そんな生活を続けてきたアミさんだが、数カ月前、突然、常連のひとりである30代後半のトシヤさんが接近してきた。
「たまたま好きな映画の話で盛り上がったこともあって、それ以来、彼、しょっちゅう店に入り浸るようになって。待ち伏せされている感じがしたんです。私が他の常連さんと話していると、横から入ってきてふたりきりになろうとするし……」
困ったアミさんは、マスターに相談、マスターがトシヤさんにそれとなく話してくれた。アミさんが恋愛相手を必要としていないこと、店での人間関係を大事にしていることなどを。
「そうしたらトシヤさんは、好きになったのだからどうしようもないと泣きながらマスターに訴えたそうです。だけど私、あの店の誰かとつきあうなんて考えたこともなかったし、あそこは私の特別な場所だから迷惑なんですよね。ずっと友だち関係でいたのに、なぜ今さら急に恋心を露わにしてくるのか理解できなくて」
トシヤさんはずっと我慢していたが、恋心を抑えきれなくなったそうだ。3年間、じっと恋心をためていたこと自体、「ちょっと気持ちが悪い」とアミさんは言った。
友だちでいたい、恋人にはなりたくない。そんな女性の気持ちを理解できない男性は多いのかもしれない。
ケース2. 「男女の関係にはさまざまな濃淡がある!」
バツイチ独身、マキエさんの場合
10代、20代の若いころならいざ知らず、大人になれば男女の関係は恋愛だけではない、そして友だちだけでもないとわかってくるはずだが、男性は恋かそうでないかの二者択一に陥りがちだ。
「友だち関係でも濃淡があるし、恋愛に近い気持ちをもちながらもあえて友だち関係でいたい場合もある。そういうのって男性にはわかってもらえないんですよね」
マキエさん(35歳)はそう言う。彼女はバツイチ独身。今は仕事に専念したいので、恋愛はしたくないと思っている。その気持ちを覆すほど好みの人に出会えれば別だが、わざわざつきあって関係を育てていこうとは考えていない。
「だけど私が離婚したことを聞きつけた、学生時代の後輩からSNSでメッセージがあって。つきあってくださいって書いてありました。彼とは卒業してから数年後に一度会っただけ。お互いに変わっているだろうし、どういう状況にあるかもわからない。それなのに私が離婚したというだけで、つきあってくださいって、なんだかバカにされているような気がしてなりませんでした」
共通の友人によれば、彼は学生時代からマキエさんのことが好きだったそうだが、10年も会っていない人にいまだ当時からの恋心を抱き続けているのか、あるいは離婚後の女性ならそうやって口説けばいいと思ったのか。いずれにしてもマキエさんにとって、後輩である彼の言葉は不快なものだった。
「彼にとっては絶好のタイミングなのかもしれないけど、どう考えても相手のこと、つまり私の状況を思いやってはいないですよね。そこがダメだということがどうしてわからないんだろうと不思議なんです」
男はこういうものだと断言するつもりはない。ただ、間の悪い告白をしたり、相手のことを熟慮せず急に接近してきたりするのは、どうやら男性が多いよう。関係のあり方、距離のとり方にもう少し慎重になってほしいと願う女性たちの声は少なくない。