大学院進学も考えています。教育資金と老後資金が心配です

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、お子さんの大学院進学が予想されるため、教育資金がかかると老後資金が足りなくなるのではと心配する57歳の主婦の方。自身の仕事を今後も続けることに不安がある上、最近、住宅をリフォームし、貯蓄も大きく減ったとのこと。ファイナンシャル・プランナーの平野泰嗣さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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子どもの教育費にお金がかかります

子どもの教育費にお金がかかります




■相談者
みるきーさん(仮名)
女性/パート・アルバイト/57歳
持ち家(一戸建て)
 
■家族構成
夫(46歳)、子ども(18歳)
 
■相談内容  
子どもの大学の教育費や老後の生活費が心配です。一応、住宅ローンは完済していますが、消費税が上がる前にリフォームをしました。金額については、月に1万円の住宅財形をしていたため、その範囲内でできました。しかし、今回で住宅財形は、全額おろしてしまい、今後は続けないことにしました。なお、貯蓄に今回の財形は入れていません。
 
私は夫より年上で、パートをしていますが、仕事が介護職できついので、細々とできるだけ長く勤めたいと思いますが、いつ体調不良になるかわかりません。夫は、真面目な人ですが、あまり出世するタイプではありませんので、給与はこれからあまり上がらないと考えられます。子どもは、親に似ずに、勉強がそれなりに好きなようですので、大学進学、もしくは大学院進学も考えています。私も夫も、浪費癖はありません。アドバイスをお願いします。
 
■家計収支データ
相談者「みるきー」さんの家計収支データ

相談者「みるきー」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)車両費について
車両費(2台分)4万円の内訳は下記のとおり。
・保険料:5000円
・車検積立:1万5000円(月割り)
・ガソリン代:2万円
ちなみにうち1台、来年に買い替え予定。予算200万円。
 
(2)教育費について
子どもは寮生活。6万円の内訳は、3食の食費約3万円、寮費1万円、学費2万円。再来年、国立大学3年生に編入予定。教育資金として、別途250万円を用意している。
 
(3)光熱費について
太陽光売電収入が、年間で約16万円。したがって、その収入で現在は水道光熱費がほぼカバーできている。ただし、数年後には、売電価格が下がるため実質コストが増える。
 
(4)ボーナスの主な使い道について
旅行10万円、電化製品等の予算20万円、他に生活費の補填。残りは貯蓄(50万~100万円)。
 
(5)加入保険について
 
■夫
・収入保障保険(65歳まで)=4万6780円/年  
・収入保障保険(60歳まで)=2万4890円/年   
・個人年金保険(60歳まで)=1万円/月
・積立終身保険(65歳まで)=2万円/月
・医療保険(60歳まで)=9330円/月  
・ガン保険(終身)=2万6160円/年

■妻
・終身保険(死亡1000万円)=払込終了
・医療保険(入院費1万円、65歳まで)=6570円/月
・ガン保険(終身)=2万3200円/年
 
相談者コメント「保険の加入が少し多いと思いますが、主人は子どもの頃、父をガンで失っており、保険金で学校にいったようです。また、私の払い済みの死亡保険は、本当にお金が必要になったときは、解約して現金化を考えております」
 
(6)勤務先について
退職金制度はあるが、詳細は不明。定年は60歳、65歳までは再雇用可能と想定される。ただし、実際に再雇用で勤務するかは不明。
 
(7)年金について
夫は65歳から、妻は70歳から(繰り下げ受給)予定。受給額は不明。
 
■FP平野泰嗣の3つのアドバイス
アドバイス1 老後全体を考えて、資金的な心配はほぼ不要
アドバイス2 保険も保障的に見直す必要はない
アドバイス3 具体的に試算して漠然とした不安を解消する
 

アドバイス1 老後全体を考えて、資金的な心配はほぼ不要

まずはシミュレーションをしてみましょう。
 
世帯収入については、ご主人は60歳で定年、退職金は1500万円。その後、再雇用で65歳まで勤務。その間の収入は定年前の60%とします。みるきーさんは現在のパートを65歳まで継続するとしました。また、ご主人60歳まではボーナスから100万円貯蓄と設定しています。
 
次に今後、予定されている大きな支出として、まず教育費ですが、2021年、お子さんの大学編入時に入学金30万円、授業料は年間60万円、仕送り費用は年間120万円を計上。大学院進学後は研究費分として年間20万円を加算します。クルマの買い替え費用は、来年2020年とその10年後の2030年にそれぞれ200万円。その後、ご主人65歳(みるきーさん76歳)でクルマ1台を手放すとしています。
 
基本生活費は物価上率1%を加味。光熱費は売電収入の減額を考慮して、2022年以降、月1万円増額しました。
 
公的年金については、税、社会保険料天引き後の受給額として、ご主人は年間152万円、みるきーさんは100万円と試算。また、個人年金保険は年金受給額が不明とのことですので、便宜上、65歳から10年間、年間45万円としています。

 
相談者「みるきー」さんの貯蓄残高の推移

相談者「みるきー」さんの貯蓄残高の推移



その結果ですが、図表でも示したとおり、30年後(夫76歳、妻87歳)で金融資産は5700万円残ります。老後全体を考えて、ほぼ心配ない金額です。仮に、体調が不安というみるきーさんのパート期間を5年短縮して60歳までとしても、480万円減額になるだけですから、それが老後の不安要素とはなりません。また、旅行などの生活を楽しむ費用として年間50万円、現在よりも生活費をアップしても30年間で1500万円。それを差し引いても、まだ余裕があるといえるでしょう。
 

アドバイス2 保険も保障的に見直す必要はない

将来的にマネープランに不安がないのは、高い貯蓄率にあります。個人年金保険、積立終身保険は実質貯蓄に相当しますので、実際は貯蓄にまわっているということになります。住宅ローンを完済している点もすばらしく、ご本人も「浪費癖は夫婦ともありません」と言われているとおり、無駄な支出もほとんど見られません。お子さんが社会人になってからご主人が実際に老後に入るまで10年以上ありますから、それに向けて貯蓄できる期間が十分あるのも大きなメリットです。

加入されている保険も、死亡保障は収入保障保険によって必要額が確保されていると思われますし、みるきーさんの生活保障にもなります。入り過ぎを心配されていますが、資金的にも余裕がありますので、あえて見直す必要はないでしょう。
 
老後生活ですが、想定した年金額であれば、現在の生活水準から判断して、老後資金(貯蓄)を大きく取り崩すことは考えにくい。年金の支給開始を70歳からに繰り下げる判断もいいと思います。みるきーさんが66歳のときにご主人はまだ55歳ですから、あえて年金を受け取らなくても、家計収支は200万円近い黒字です。繰り下げ受給による増額の必要性は高くはないですが、より効果的な受け取り方が無理なくできるということになります。
 

アドバイス3 具体的に試算して漠然とした不安を解消する

では、みるきーさんが、将来に向けて不安に思うのはなぜか。要因としては、老後生活そのものが実感できない、どうなるのか実態がつかめないということが大きいと考えます。したがって、将来の収支でおおよそのことをイメージしておく。そのためには、ご夫婦の年金の受給額は、自宅に届く「ねんきん定期便」で確認できます。退職金も、一部上場企業ということですから、それなりの額が支給されると思いますが、できればしっかり確認したいところ。もちろん、想定したとおりになるとは限りませんが、具体的な数字を積み上げていくことで、漠然とした不安は解消されるのではないでしょうか。
 

相談者「みるきー」さんから寄せられた感想

貴重なアドバイスをありがとうございました。とても丁寧でわかりやすいアドバイス内容で安心することができました。私は心配性なこともあり、本当に相談して良かったと思っております。あまり心配せず、健康も財産であると思いますので、健康に気をつけて、日々を過ごしていきたいと思います。

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教えてくれたのは……
平野 泰嗣(ひらの やすし)さん
 
 

 

ファイナンシャル・プランナー、キャリアコンサルタントとして活躍。FPの妻と2人でFPオフィス Life & Financial Clinicを創立し、「自分らしく生きること」をモットーにライフ・ファイナンス・キャリアの3つの視点でのアドバイスをする。中小企業診断士として経営者・従業員のライフプラン支援も行っている。著書に『30代夫婦が働きながら4000万円の資産をつくる 考え方・投資のしかた』(明日香出版社)。All Aboutマネーの連載『ふたりで学ぶマネー術』も人気


取材・文/清水京武


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