「アタックZERO」が大ヒットした理由
洗濯用洗剤のイメージを一新した「アタックZERO」
この数字は花王の前の商品「アタックNeo」シリーズの発売から5カ月間の出荷数量に換算するとおよそ150%増にあたります。
今年、売れに売れたアタックZEROが成功したワケを、主に“パッケージのデザイン”から考えてみます。
日本の洗濯用洗剤のイメージを変えたグラフィックデザイン
アタックの新製品「ZERO」でひときわ目立った変更は、本体ボトルの色づかいや書体などの変更です。前商品の「アタックNEO」は、こんなデザインでした。アタックZEROの2年前に発売された「アタックNeo(ネオ)抗菌EX Wパワー」(2019年3月販売終了)。日本の洗剤らしいパッケージ
花王は、この「アタックNEO」の販売を終了させて「アタックZERO」を発売しました。店頭に並んだのは同年の4月1日です。ドラッグストアやスーパーなどで大々的に特設コーナーが設けられたので、見た人も多いでしょう。
キラキラと派手な配色のものが多い洗濯用洗剤のパッケージたちの中で、シンプルでおしゃれ感のある「アタックZERO」はひときわ存在感を放っていました。
これまでの「アタック」ブランドのイメージを覆した「アタックZERO」のパッケージデザイン
片手で洗剤を投入できる「ワンハンドプッシュ」で洗濯がラクに!
ボトル本体に採用された「ワンハンドプッシュ」の仕組みは画期的です。力を入れなくても片方の親指でラクにプッシュできるデザインで、家事を効率的にすすめることができる、いわゆる「時短」に大きく役立っています。ボトルの形も美しいが機能性も高い。片手でカンタンに操作できる「ワンハンドプッシュ」が便利
まずキャップ7分目に注ぐのが難しいし計量作業は地味にストレスを感じます。両手を使うので、あふれたりこぼしてしまったりした経験がある人もいるのでは?
その点、「アタックZERO」は、水が45Lの場合、洗剤量は「レバーを3回押すだけ」です。これは画期的発明で、片手だけで操作できるので、もう一方の手で子どもを抱っこしながらでも作業できます。
押さえやすさもポイントが高いです。ハンドルを握ると、噴射しやすいようにボディ全体が自然にやや下に傾いてくれます。レバー部分は狭い所の幅が約1.5cmで中心に向かってだんだん広くなっていくつくりで、あまり力を入れなくても洗剤が適量出ます。洗濯をしたことのない家族や高齢の人でもラクに作業できます。
幅広のプッシュ式レバーなのでプッシュもラクラク
洗剤の性能アップも実感
本稿では、アタックZEROの魅力をロゴや色などのグラフィックデザインとボトル形状やプッシュ機能などの工業デザインの側面から見てきましたが、洗剤自体の能力もアップしています。ワンハンドプッシュ以外の売り文句に「抗菌洗剤を超えた消臭力」とありますが、雨が多かった2019年、部屋干しにアタックZEROを使った結果、その消臭の能力の高さを個人的に実感しました。
ボトルの設計や色使いなどのグラフィックデザイン、洗剤の性能アップなどの化学部門、CMキャラクターに、松坂桃李、菅田将暉、賀来賢人、間宮祥太朗、杉野遥亮と人気俳優を起用する宣伝力……。いろいろな人々が専門分野で一生懸命、パワーを注いで作り上げた勢いを感じる逸品「アタックZERO」。これは売れるハズです。