月経不順で受診される様々な患者さん……妊娠されていたケースも
女性の心身の状態が現れる月経。月経周期の乱れは体からのサインかもしれません
「生理不順」でお悩みの患者さんは少なくありません(正確には「生理不順」ではなく「月経不順」ですので、以下では「月経不順」と表記して解説します)。月経不順は10代から40代まで各年代に見られる症状のため、クリニックに受診される患者さんの年齢も様々です。
稀に「いつもはきっちり28日周期なのに1週間も遅れている」と心配されて受診をされたり、逆に「月経周期がやや不規則なので、3~4カ月月経が来ていなかったが放置してしまった」という方がいらっしゃいますが、月経不順ではなく実は妊娠していたというケースもあります。
「月経不順」の定義……月経周期は25~38日であれば正常
「月経周期が25日くらいなので普通より短い気がする」「月経周期が1カ月以上あくので妊娠がしにくいのではないか」といった心配をする方がいるようですが、月経周期は25~38日であれば正常範囲です。また、上記の周期は月経が終わった日からではなく、前の月経が始まった日を「1日目」とカウントし、次の月経が開始するまでの期間を指します。
ですので、月経不順の定義は医学的には、「月経周期が25日未満または39日以上で、一定周期で月経が来ず、正常範囲の月経期間にならないもの」といえるでしょう。月経周期が25日未満で短い場合は「頻発月経」、39日以上開く場合は「稀発月経」といいます。
月経不順の原因として考えられること
月経不順の原因としては、様々なことが考えられます。一例を挙げても、- 卵巣機能低下
- 多のう胞性卵巣症候群
- 無排卵周期
- 早発卵巣機能不全
- 高プロラクチン血症
- 甲状腺機能異常
- 体重の減りすぎまたは増えすぎ
- 薬の副作用
月経不順は放置してはいけない? 病院を受診すべき目安
月経周期は上記のような原因や体調によって前後することがあるので、神経質になりすぎる必要はありませんが、3カ月以上月経が来ない場合や、2週間以上出血し続けている状態を放置するのは危険です。通常とは違うと不安な自覚症状がある場合は、婦人科を受診しましょう。ただし、45歳以上の方の場合は更年期に入るため、3カ月以上月経が来なくても異常ではないこともあります。
月経周期は女性の心身のバロメータ……体からのサインを大切に
月経の状態は女性が自分の心身の状態を把握するのに一番わかりやすいバロメータになります。教科書通りの異常の定義に当てはまらなくても、月経が「いつもと違うな」と感じたら、まずは生活習慣や普段の自分の思考パターンなど、心身に無理がかかっていないかチェックしてみてください。また、ちょっとでも気になったらかかりつけの婦人科で相談する習慣をつけるといいですよ。■参考
・月経不順・無月経(女性の健康推進室 ヘルスケアラボ)