小中学生・初経後の月経トラブルや学校生活での困りごと
小学生・中学生のピル服用は可能? 効果と注意すべきはどのような点でしょうか
初経を迎えてしばらくはホルモンの状態が安定せず、月経量がまちまちだったり月経周期が定まらないことはよくあります。また、子宮も含めて体がまだ発達途中なために、月経痛が極端にひどくなったり、月経量が多いせいで貧血になってしまうこともあります。学校行事と月経が重なることもありえますし、実際にクリニックで受けた相談で、月経期間が長すぎてほとんど止血期間がないためにプールの授業が受けられず、単位がもらえないかもしれない……といったものもありました。
このようにまだ月経の安定しない小中学生の抱える月経トラブルや生理にまつわる困りごとは様々です。
小中学生のピル服用は安全か? 他のホルモン剤が適していることも
日本の小中学生のピル使用率については詳しいデータがありませんが、初経を迎えていればピルの服用は可能です。ピルでなければ改善しない過長月経や過多月経、月経困難症などの症状に対してピルを使ったり、月経のせいで貧血になっている場合に、ピルで月経量や月経回数をコントロールすることは非常に有効です。ただし、初経を迎えたばかりの場合、ピルではなく他のホルモン剤の方が適している場合もあります。ピルは、血栓症リスクがなければ比較的安全に、月経を快適にすることができますが、血栓症リスクが高い人や、まだ今後も身長が伸びうる「骨端線が閉じていない」段階の場合は、他の薬剤を選んだ方がベターです。ピル服用における注意点は成人とほぼ同様ですが、小中学生の場合は身長に対する影響だけは考慮した方がよいでしょう。
ピルは「生活改善薬」……親はメリット・デメリットを考えて判断を
ピルはリスクのない人が上手に使えば、月経にまつわる不快な症状のほとんどを改善でき、月経に振り回されず自分のライフスタイルに合わせて月経をコントロールできる、女性にとっての「生活改善薬」です。もしあなたに小中学生の娘さんがいらっしゃる場合、リスクの有無に関する判断は慎重に行う必要がありますが、多くの場合、副作用などのデメリットよりも、効果・メリットの方が上回ります。また、月経をコントロールする方法としてピルにこだわる必要もありません。月経の重さや月経に関連する悩みのせいで、娘さんが「女であることにうんざりしてしまう」という状態は避けることができます。まずはどのような選択肢があるのか医師に相談するなどして、毎日をより快適に過ごす方法を考えてあげるのがよいと思います。