アドバイス1 60歳までに、できるだけ貯蓄し、投資は控える
2年前からでも貯蓄を始められたのは、本当によかったです。60歳までが最後の貯めどきになりますから、気を緩めず、しっかりと貯蓄していきましょう。ととにゃんさんは、毎月3万1000円を貯蓄できていますので、年間で37万2000円。これにボーナス48万円を加えると、1年で85万2000円貯められます。60歳までの7年間で、約600万円。これに現在の貯蓄と投資額を加えると720万円残すことができます。これが、ととにゃんさんの老後を支える資金になりますので、途中、不測の事態での支出があるかもしれませんが、くれぐれも無駄使いは控えてください。
そのうえで、現在の投資の中身ですが、つみたてNISAとiDeCoはこのまま継続していいでしょう。しかし、投資信託の中身が不明ですが、これはタイミングを見て、いずれ売却することにして、買い増しはしないようにしてください。今は、定期預金などで確実に貯蓄を増やすことが優先です。
アドバイス2 年金受給までの期間は、年30万円程度を取り崩し
60歳以降は再雇用で収入が減ってしまいますが、現在の支出をキープできれば、資産を取り崩さなくてすみます。再雇用での収入が支出と同じぐらいなら問題ありませんが、もし、収入が支出以下だった場合や、ボーナスがなくなる分として、年30万円は予備費として考えると、64歳までの4年間で120万円は資産から取り崩さないといけないかもしれません。でも、ととにゃんさんは、64歳から月5万3000円、65歳から月11万8600円、66歳から月12万4200円の年金が受け取れますから、退職後も、ご本人が書かれているように、月4万~5万円の収入を得られるようにすればいいでしょう。無理をすることはありませんが、働けるうちはできるだけ長く働いて、貯蓄からの取り崩しを抑えるように頑張ってください。
アドバイス3 65歳からは年金+バイトでOK。生活の楽しみも見つけて
ととにゃんさんの家計を拝見すると、支出で無駄はなく、しっかりされていると思います。ただ、これからは収入が減ることなども含めて、収支の管理、貯蓄の管理は、目に見える形で行っていくようにしてください。試算では、老後資金として余裕がある金額ではありませんが、65歳時点で600万円は残せるわけですから、これは大事にしてほしいと思います。ただ、お金のあるなしだけでは、老後を一人で生き抜くことはできません。ご本人も書かれているように、65歳以降も働く意向のようなので、それは大変良いことです。収入を得る以上に、働くことで生活のリズムを作り、健康を維持していくことも大事です。バイトなどで社会とのつながりを持ち続けることも大事です。
今は、猫ちゃんとの暮らしが、最大の趣味・娯楽、癒しだと思いますが、その後のことも考えると、猫ちゃん以外の楽しみも見つけてくださいね。府営市営住宅への住み替えは考えず、今のままで経済的には大丈夫ですから、猫ちゃんとの生活を楽しみつつ、老後の生活もイメージしておかれるといいでしょう。
相談者「ととにゃん」さんから寄せられた感想
気持ちに寄り添った心に沁みる深野先生のアドバイスありがとうございます! 遅い老後資金貯蓄を始めたものの適切なのか?と疑問でした。今回のアドバイスで納得。すっきりし、貯蓄に対するやる気がさらにUPしました。アドバイスを心に刻み豊かな老後を目指し頑張ります。★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
★「お金のことで悩む人に、貯金のコツを伝授!貯蓄達人の貯めワザ」はコチラ
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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