初めて観たときは「若いころから自分らしく生きてきて、90代になってもこんなに自由なファッションでイキイキとしている方がいるなんて!」と衝撃でした。ファッション面でも生き方でも、ポジティブなヒントをもらえる映画です。
90代でも自分らしくおしゃれに生きるロールモデル
ニューヨーク在住のインテリアデザイナー、実業家、ファッションアイコンとして有名なアイリス・アプフェルは夫とテキスタイル会社を興して成功をおさめ、ホワイトハウスのインテリアを担当したり、自分のブランドのプロデュースなど、常に前進してきた女性です。驚くべきはその年齢。彼女は1921年生まれなので、2019年の今年はなんと98歳なんです!旦那さんともずっと仲睦まじく仕事もバリバリ。ファッションもいつも楽しくユニークなコーデで、「こんな生き方があるのか」と衝撃でした。さらにこれが作り話ではなく、実話なのが心を動かされるポイントです。
日本では常に高齢化社会が叫ばれています。特に女性が年を重ねることに対するマイナスイメージがまだ強いのが現状です。しかし、この映画で彼女の存在を知り、「年齢を重ねるのも楽しそう!」という新しい価値観を教わったような気がします。
見ていて楽しいアクセサリーの重ねづけが印象的
彼女のコーデは盛りまくるスタイル。さりげない抜け感が良しとされる今では「真似しにくい」と言われるかもしれません。しかし、人に左右されず、自分のスタイルを貫くところが刺激をもらえるポイントです。アラフォー世代になると「これでおかしくないかな」とか好みが保守的になったり、体型カバーや流行、値段に目が行きがちですよね。でも、ファッションはやっぱり楽しいものであるべき。映画におさめられた彼女のカラフルな色や素材の組み合わせが、目を楽しませてくれます。
90代のアイリスから学ぶファッションと人生を楽しむヒント
私も昔から「好きなことを仕事にしたい!」という想いが人一倍強く、ファッション誌、アパレルの勤務を経て、今ファッションライターとして記事を書いています。それ自体はとっても嬉しいことなのに「どんな記事が多くの人に読まれそう?」「今、旬なものは?」「流行問わずベーシックに使えるものは?」など、結果や効率を求めるあまり、視点が狭まったり、少し守りに入っているな、とふと感じることも……。
加えて、アラフォー女性の毎日はただでさえ慌ただしい!
でも、映画に登場する「素敵に楽しく生きるのが人生の極意」というメッセージを思いっきり体現してきたアイリスは大先輩の90代! 生き方も装いもすごく彼女らしくポジティブで、目先のことに捕らわれているとつい忘れがちなファッションの楽しさを思い出させてくれます。
「私も彼女のように、おばあちゃんになるまで現役でファッションを楽しみながら、楽しく生きたい!」と、良いロールモデルにさせていただきながら、大切に見返している映画です。
DATA
アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー
監督:アルバート・メイズルス
時間:80分