亀山早苗の恋愛コラム

どうしても子供が諦められず39歳で離婚した彼女の後悔

人生も折り返し地点にくると、人間誰しもひとつやふたつ、後悔は抱いているものかもしれない。それでも乗り越えて生きていくしかないのだが。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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黙って耐えていても報われない……40代女性の後悔

40代女性の後悔

人生も折り返し地点に来ると、人間誰しもひとつやふたつ、後悔は抱いているものかもしれない。それでも乗り越えて生きていくしかないのだが。

 

 

子どもがほしいとわかっていたはずなのに

30歳のとき、2歳年下の男性と結婚したリカさん(45歳)。結婚当初から夫に子どもがほしいと言っていたから、夫もわかってくれていると信じていた。

「ところが結婚と同時に、夫は彼の父親がやっていた飲食店を継ぐことになったんです。それまでは別の店で修業していたのですが、父親の店で仕込みから夜の営業まで働きづめ。私は会社員として働いていたので、夫とはすれ違いの日々でした」

夫が帰宅するのは午前2時頃。リカさんが出かける朝7時半頃はまだ寝ている。夫は平日が休みだが彼女は週末休み。夫にとって週末はかき入れ時だから、土曜日はもっと帰宅が遅くなる。

「結婚してからほとんどセックスレス。これじゃ子どもができるはずもない。半年ほどたった頃、夫にどうにかしてと訴えたんですが、夫は夫で昔気質の父親にしごかれて疲弊していたので、あまりしつこく言うのもためらわれました」

店が繁華街にあったため、正月も元旦から夫は仕事だった。義父母と夫が働く店に、リカさんも手伝おうかと行ってみたことはあるが居場所はなかった。それ以来、近寄らないようにしていたという。

「そのまま3年ほどたったけど、夫とはせわしないセックスが片手の回数くらいあったかな、という程度。その後、義父母が相次いで病気をしたりしたので、私は仕事の合間に見舞いに行ったり入院後の自宅療養時に手伝いにいったりして、こっちも疲労困憊していました。それでも私が仕事を手放さなかったのは、いつか来る別れに備えていたのかもしれない」

 

 

我慢の限界が来たときは遅かった

それでもリカさんが離婚を切り出さなかったのは、やはり夫のことが好きだったからだ。忙しくてめったにふたりでいる時間がとれなくても、彼ががんばっているのだから支えたいと思っていた。

「夫は私が限界を感じ始めていることを察して、店で作った料理を持ち帰ってくれたり、ときには花を抱えて帰ってきたりした。彼なりに気を遣ってくれているとわかっていたから、私が怒るのはわがままだと思っていたんです」

だが39歳になったとき、さすがにリカさんも焦った。排卵日に夫に迫ることも多くなった。その頃にはほぼひとりで店を切り盛りして疲れている夫はその気になれないらしい。迫ろうとしたら、すでに寝息をたててしまうこともよくあった。

「そんな日々が虚しくてたまりませんでした。それまではどこか余裕があったけど、今妊娠しても産むのは40歳を過ぎてしまうと思ったら、現実的に焦燥感がひどくなって」

とうとうリカさんは夫に離婚したいと告げた。子どもがほしかったのに、この状況では無理、せめて可能性があるうちに別れてほしい、と。

「私の30代の10年間はムダだったとまで言ってしまいました。夫にとっても激動の10年だったとは思うけど、あのときは私が被害者だという意識が強くて」

夫は「僕は子どもがいなくてもいいと思っていた。リカがそう言うならしかたがない」と離婚に応じた。

あれから5年、彼女は必死に婚活をしたが結局、結婚相手には巡り会えないままだ。そして彼は再婚し、子どもができていた。このニュースを最近聞いた彼女は衝撃を受けたという。

「共通の知り合いによれば、彼は離婚後、ひどく荒れていたらしいんです。それを慰めてくれたのがバツイチ子持ちの昔の同級生。彼女はすぐに妊娠したそうです。再婚後は彼女も一緒に店で働いているとか。本当は私も一緒に店をやればよかったんでしょうか。我慢した私は何も報われなかった。私を傷つけた彼が幸せになって、私は何も変わってない」

人生は理不尽なことだらけだ。もっと早く離婚していればよかったと彼女は悔いているが、そうすればしたでもう少し我慢すればよかったと後悔するかもしれない。

「なんとも言えない気持ちです。自分を悲劇のヒロインにするつもりはないけど、ときどき生きる気力を失いそうになることがあるんです」

彼女の目から大粒の涙がころがり落ちた。
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