若く見せたい、小顔になりたい、ニキビをなくしたい。コンプレックスを隠すために、スキンケアやメイクを頑張りすぎて、疲れている女性は多いのではないでしょうか。
美容ライターとして活動する私自身も、「老けて見えるNGメイク○選」「目を大きく見せるアイメイクのポイント○つ」……そんなテーマで執筆する機会が多くありました。そして、そういった記事は必ずといっていいほどヒットしてきたのです。
しかし、個人的には「美容はもっと人に優しくていい」「コンプレックスを受け入れて、自分らしい綺麗を手に入れるための手段であっていい」と日頃から感じていました。そんな思いを抱える中で出会ったのが、長田杏奈さんが書かれた美容本『美容は自尊心の筋トレ』です。
美容とはコンプレックスをいたずらに刺激するものでも、モテるためのものでもなく、自尊心を高めたり、自分を優しく扱ったりする練習だという新しい見解を示しています。厳しい美容道の中で迷子になりかけている人に、ぜひイチオシしたい書籍です。
「美」の呪縛から解き放たれ、肩の力を抜いた美容が楽しめる
『美容は自尊心の筋トレ』の著者で、美容ライターの長田杏奈さんを知ったきっかけは、あるインタビュー記事。飾り気のない率直で独特な語り口に惹かれ、オンラインの記事はもちろん、雑誌も拝読するように。
そうした中で、長田さんがSNS上を中心に提唱していた「美容は自尊心の筋トレ」という言葉に出会いました。
美容に努力はつきものというイメージが強いように思います。例えば、コンプレックスをメイクでカバーするには知識やテクニックが必要です。モテを意識するなら、痩せたり、かわいく見せるためのヘアメイクが必要になります。若返りたいなら毎日のスキンケアやインナービューティに励まなければいけません。
しかし、頑張るばかりの美容に楽しさを見出せる人はほんのひと握りなのではないでしょうか。逆に、モテや若返りといった呪縛から解放されたら、美容はどのようなものになるのでしょう?
コンプレックスを自分の個性として受け入れることができれば、隠す必要がなくなります。自分を唯一無二の存在として認め、愛しく感じられる……。
これまでの美容本では得ることができなかった読後感を与えてくれ、美容に対するハードルさえも下げてくれます。
私自身も『美容は自尊心の筋トレ』に触れることでもっと肩の力が抜けた美容を楽しめるようになりました。美肌のためにはあれをしてこれをして、と“しがらみ”だらけだったのが、今では自分のよさを活かした薄めのメイクをしたり、疲れた日はシンプルなステップでスキンケアをしたり、頑張りすぎない等身大の美容を楽しんでいます。
また、価値観にも変化が生まれ、以前よりもっと人の外見より内面に興味を抱くようになりました。
心無い一言に傷ついたときにも読み返したい
生きていれば楽しいことばかりではありません。理不尽な思いをすることも、他人の何気ない一言に傷つくことも、自分の無力さに押しつぶされそうになることも。かなりポジティブ思考な私でさえ、数年に一度は、柄になくクヨクヨして、暗いトンネルを抜け出せなくなる時期があります。
今後そんなときは『美容は自尊心の筋トレ』を読み返そうと思っています。それくらい、自分との向き合い方や他者との関わり方など、生きる上でのヒントがたくさん散りばめられているからです。
だから読み終えた時は不思議と幸福感に包まれ、清々しい気持ちになります。そして、自分のことがまた好きになれるのです。
コンプレックスばかりが目について押しつぶされそうな人や、生き方に迷いがある人に、ぜひおすすめしたい一冊です!
DATA
Pヴァイン|美容は自尊心の筋トレ
著者:長田杏奈
単行本ページ数:144ページ
発売日:2019/6/19