教育費などの家計支出の振り分けで悩んでいます

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、教育資金と老後資が心配という34歳の主婦の方。最近、教育費が増え始め、パートを2件かけ持ちで働いているが、それでも家計管理、支出の振り分けで悩んでいるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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教育費も増え始めてお金が足りるか心配に

教育費も増え始めてお金が足りるか心配に



■相談者
さとけんさん(仮名)
女性/パート・アルバイト/34歳
持ち家・一戸建て
 
■家族構成
夫(33歳/会社員)、子ども2人(10歳・8歳)
 
■相談内容
教育資金と貯蓄ができているのか心配です。昨年までは、パート収入が5万円でした。子どもの習い事も新しく始めたので、今年から事務員パートも増やしての10万円です。夫の仕事に昇給はなく、ただ自宅を自転車圏内にしたので、車は1台で済んでいます。私の実家が近くにあり、お米を定期的に支援してもらっているので、食費はあまり高くならずに済んでいますが、子どもが育ち盛りでこれから食費が上がっていくことが予想されます。また、子どもが友達と同じ習い事がしたいと強く思っているようで、あと1つくらいはさせても大丈夫でしょうか? もしくは、学生時代に親の付き合いで入った私名義の保険があるのですが、その保険料はいまだに親が支払っています。6000円ほどですが、そろそろ自分で払えるようにした方がいいとも思っています。どの選択をしていくか、とても悩んでいます。

新築時に貯蓄をほぼ使ってしまったので、それからはボーナスに手はつけないよう、やりくりしてきたつもりではありますが、この先もこのままでいいのか心配ではあります。
今後の適正な費用分け、アドバイスをよろしくお願いいたします。
 
■家計収支データ
相談者「さとけん」さんの家計収支データ

相談者「さとけん」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)住宅費について
・2014年購入・新築(物件価格1500万円、頭金400万円)
・借入額ローン1100万円、25年払い
・金利 1.37%  固定5年
・・・・・・・
・固定資産税  年払い  9万6000円
 
(2)自動車ローンについて
70万円を5年ローン、月返済 1万2000円。
 
(3)加入保険について
・夫/終身保険(死亡保障 3000万円、医療特約あり、80歳まで更新)=保険料1万2000円 
※がん家系であり、最近は肝数値も上がり始めたので外したくない。
・子ども/共済=保険料1000円×2人
・・・・・
 
・妻/終身保険(死亡保障1500万円)=保険料 6000円(支払いは親)
 
(4)教育費の内訳
・学校費  6000円×2人=1万2000円
・習い事/外国語  8000円×2人=1万6000円、音楽 1000円×2人=2000円
その他
 
(5)子どもの進路
基本的に高校までは公立を予定。両親とも専門学校と短大には進学したので、子ども1人くらいは大学に行かせてあげたいと考えている。
 
(6)勤務先について
夫は60歳定年で、再雇用は特になし。退職金は不明。一度、同業種で転職歴あり。妻はパートを2つかけ持ち。勤め先のひとつは実家なので、子どもを連れてセーブしながら働かせてもらっている。もうひとつは事務職で、仕事量としてはフルタイムに近い勤務状況。
 
(7)ボーナスの主な使いみち
全額貯蓄(昨年例)、年によって異なる。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 60歳以降も働くことで資金的リスクは大きく軽減
アドバイス2 今の家計管理を続ければ大学進学も可能になる
アドバイス3 親に甘えられる部分は甘えていい
 

アドバイス1 60歳以降も働くことで資金的リスクは大きく軽減

貯蓄から見ていきます。毎月7万円のうち、2万円は児童手当を貯めているとのことですから、今後の支給分をすべて貯蓄に回してざっと140万円。残り5万円は年間で60万円。ボーナスは基本貯蓄としても、何かと支出が発生することもあるでしょう。したがって、半分の20万円は必ず貯蓄に回るとして、合計で年間80万円が貯まります。

ご主人定年までの27年間で2160万円。これに先の児童手当を貯めた分と、今ある貯蓄250万円、それと住宅ローンがあと20年で完済となりますので、それ以降、支払っていた分も貯蓄に回すとすれば約350万円。結果、ご主人が定年時には2900万円が貯まっている計算になります。
 
そこから、その間に想定される、まとまった額の支出を差し引きます。まず、教育費ですが、2人のお子さんともに高校までは公立、大学は私立文系に進学したとします。高校は3年間で100万~150万円(進学塾など学校外教育費も含む)。多めに見て2人で300万円とします。大学は400万円×2人分で800万円。中学までは、今家計に計上している教育費4万円でカバーするとすれば、それ以降、家計支出に加えている4万円は差し引かなくではなりませんので、それが約400万円。結果、先の2900万円からは別途700万円を差し引くことになります。
 
教育費以外にはクルマの買い替えが3回はあるでしょうか。予算は300万~400万円にはなりそうですが、現在のローンの支払いを家計に加算していますから、27年間ずっとこれを計上することで、家計上は相殺できたとします。

ただし、住宅の外壁や屋根などの修繕が発生しそうですが、これは貯蓄から新たに捻出しないといけません。これを300万円とすれば、定年時の手持ち資金は1900万円(それまでの昇給、退職金は考慮せず)。そして、あくまで概算ではありますが、これがすなわち老後資金ということになるわけです。
 

アドバイス2 今の家計管理を続ければ大学進学も可能になる

問題は、これが老後資金として実際に足りるかどうか。しかし、それは何ともいえません。30年近く先の話です。金額的にもっと貯まっているか、逆に減っているかもしれません。お子さんの進路もご夫婦の収入も、確定しているわけではありません。
 
ただいえることは、30年先も公的年金の支給開始が65歳からだとしたら、定年と同時にリタイアすれば、5年間は無収入となります。今の生活費から、定年後になくなる費目を除けば、月の生活費は社会保険料も入れると13万~15万円でしょうか。つまり、5年間で1000万円前後が、生活費としてかかる計算になります。結果、老後資金はたった5年で半分以下になります。これは、65歳以降に公的年金を受け取るとしても、資金的リスクとして無視はできません。
 
したがって、ご夫婦とも60歳以降も働く。これがもっとも効果的なリスク回避の方法であり、老後対策です。アルバイトで構いません。仮に、夫婦で月10万円収入があれば、60歳から5年間で減る老後資金は300万円ほど。65歳でまだ1600万円が手元に残ります。

公的年金の支給水準が今と同程度に保たれているのなら、さとけんさん世帯の毎月の生活費は年金だけで足りるか、不足しても1万~3万円ほどでしょう。平均2万円なら年間24万円。30年間(ご主人95歳)で720万円。それでもまだ900万円近く残ります。その間、住宅のリフォームや病気や介護でまとまった資金が発生するかもしれませんが、一般的な金額なら予備費としては十分でしょう。
 

アドバイス3 親に甘えられる部分は甘えていい

結論として、60歳以降も働く。少なくとも65歳まで。元気ならそれ以降も。それができれば、今の貯蓄ペースを維持することで、お子さん2人とも大学に進学させることは資金的に可能です(ただし、仕送り費用は想定していない)。その要因は、まず家計に無駄がなく、家計管理がしっかりされている点。もうひとつは住宅ローンの借れ額が大きくないため、住宅ローンの家計負担が小さいことでしょう。
 
また、ご相談にある習い事の追加については、一般的費用(月1万円前後)なら増えても問題ないと思います。3年間続けても40万~50万円のコスト増に過ぎません。

結果、先の貯蓄ペースが一定期間落ちますが、気にするほどの額ではありません。食費のアップも心配されていますが、お子さん2人社会人になるまで平均月2万円上がったとして、トータルで300万円ほど。先の習い事と合わせて350万円を先の試算に計上すれば、老後資金は1550万円。老後近くになって、これで足りないと思えば、60歳以降より長く働けばいいのです。今の家計管理には問題はありません。無理に節約して貯蓄ペースを上げることはしなくていいでしょう。
 
それと、親御さんが支払っているさとけんさんの保険料ですが、どうしても自分で支払いたいという希望なら、切り替えても構いません。ただし、食料同様、親御さんに甘えられる部分は、甘えてもいいと私は考えます。さとけんさんの家族それぞれに何かしら還元されれば、それは親御さんにとっても意味のある支出だと思います。
 

相談者「さとけん」さんより寄せられた感想

何度も読み返しました。何となく無駄遣いしないようにしてきたつもりではいたのですが、改めて確認できてよかったです。
 

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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