アドバイス1 大学費用はできるだけ奨学金の利用は避けたい
高校卒業後の進路は子どもの意思に任せるとのことですが、学資保険の満期金以上の費用は奨学金を考えているとのこと。果たして、それでいいのでしょうか。いろいろ事情はおありでしょうが、ファイナンシャル・プランナーとしてはできれば避ける方向で考えて欲しいと思います。というのは社会人としてスタートする時点から借金を抱えるというのは、その後の人生において大きな負担になるからです。ビッキーさん自身、今も奨学金の返済を続けているようですから、それはよくお分かりのはずです。では本当に、学費を準備することは難しいのでしょうか。毎月の貯蓄が4万円ですから年間48万円。下のお子さんが大学へ入学するまでには11年ありますから48万円×11年で528万円。これに学資保険200万円×2人分の400万円と、現在の貯蓄140万円を合計すると1068万円。大学の学費の目安は文系390万円、理系500万円ですから、お子さん2人の学費が準備できない金額とはいえません。
もちろん、貯蓄全額を教育費に使うのは難しいかもしれません。しかし奨学金を利用する場合も、できるだけ金額を少なくする、貸与型ではなく給付型を探すなど、将来の負担を少なくなる方法をぜひ模索してください。
アドバイス2 老後資金は子どもが大学へ入学してから準備しよう
当面の貯蓄を教育費に充ててしまうと、老後資金が心配になるかと思います。下のお子さんが大学入学以降に貯められるお金を見ていきましょう。下のお子さんが大学へ入学するとき夫は53歳ですから、60歳までと考えると7年あります。貯蓄額は現在と同じ年48万円とすると336万円、65歳から受け取れる個人年金が夫婦合わせて1120万円、合計1456万円が老後資金となります。これで足りるかどうかという問題はありますが、最低でもこれだけは準備できるということです。プラスアルファでビッキーさんの退職金もいくばくかはあるはずです。さらに健康に留意して60歳以降も働けば、それだけ老後資金を増やすことができます。奨学金の返済や教育費といった支出がなくなれば、それも貯蓄を増やすためにはプラスの要素になります。教育費が終わったからと安心せずにしっかり貯めていけば、老後資金を準備する時間は残されているのです。
アドバイス3 支出明細を細かく記録し“ちり積も”で貯めるお金を捻出
貯めるお金を増やす余地がないか、現在の支出をみていきましょう。まず気になるのは車両費です。現時点でのローンの支払いは仕方ありませんが、今後は車をローンで購入するのはやめてください。次の買い替えは予定通り軽自動車にし、購入費用を抑えることも大切です。自動車保険も2台分とはいえ高すぎます。インターネットで複数社の見積りを取って変更を検討しましょう。ガソリン代も高めですから、車の利用方法そのものを少し見直した方がよさそうです。
通信費が高いのは夫の携帯代でしょうか? 格安スマホでもさまざまなプランがありますから、利用方法に合ったものがあるはずです。通信費は一度見直せば削減が継続するので家計への貢献が大きい費目ですから、ぜひ夫にも協力してもらってください。保険は貯蓄型のものがほとんどなので大きな節約にはなりませんが、子どもの保険は解約、ビッキーさんの保険は共済の医療保障または総合保障2型にし、余計なコストはかけないという意識を明確にしましょう。火災保険はボーナスから支払っている掛け捨てタイプを解約検討中とのことですが、解約するならば毎月支払っている満期返戻金ありの火災保険の方です。貯蓄が少ない家計の場合、保険でお金を貯めてもいざというとき役に立ちません。優先すべきことは、貯めるお金は預金などすぐに使える状態で保有しておくことです。
ここから先は、支出を細かくチェックして“ちりつも”で貯めるお金を増やしていくしかありません。まずは2~3カ月、食費や雑費の内容を1品目ずつ細かく記録してください。無駄な買い物をしていないか、節約できる部分はないかを確認するのです。そんな細かいことを……と思うかもしれませんが、1円単位の細かいお金の積み上げがまとまった貯蓄につながり、将来の安心への道を開いてくれるのです。
相談者「ビッキー」さんより寄せられた感想
深野先生からのアドバイスありがとございます。やはり自分でも見直すべきところかな……と思っていたところをすべてご指摘いただき、確信が持てました。これから1つずつ夫と相談し、見直していきたいと思います。家族で協力し、今より少しずつ倹約に努めて、自分たちの力で子どもたちを大学へ行かせてあげられるよう頑張りたいと思います。ありがとうございました。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/鈴木弥生
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