アドバイス1 使途不明金を洗い出して5年で教育費を貯める
まずは、お金の必要な時期が決まっている教育費を準備することから考えていきます。そのためには、どうすればいいでしょう。食費や小遣いを減らすのはストレスがたまるから難しいとのこと。だとしても、せめて一度見直せばずっと支出を減らせる保険は再考してください。現在加入している夫の生命保険は払い済みにして、死亡保険(20年定期、1500万円)と医療共済、みけすけさんは病気死亡と入院保障を組み合わせた共済の総合保障2型にすれば、保険料は合わせて8000円程度になるはずです。がん保険は「64歳になったら解約して解約返戻金をもらうつもり」とありますが、この保険料からすると掛け捨てのはずです。これは解約していいでしょう。
残業代がなくなり貯蓄が難しくなったとのことですが、収入は37万5000円に対し支出は33万1000円ですから、その差は4万4000円。貯蓄が1万円として、残りの3万4000円はどこへ行ってしまったのでしょうか。節約が難しいのはわかりますが、使途不明金はいけません。このお金の行き先を見つけて貯蓄に回してください。そうすれば保険の見直しで削減した6000円と合わせて、毎月5万円は貯められることになります。
毎月5万円貯められれば年間で60万円、ボーナスは全額貯蓄しているようですが一部は家族の楽しみとして使い100万円を貯蓄。すると1年間で160万円ですから、5年間貯めれば800万円。とにかく5年間は頑張っていまのペースで貯めていけば、現在の貯蓄と合わせて1450万円になりますから2人分の教育費は準備できる計算になります。
アドバイス2 老後資金は60歳までの16年間で準備する
老後資金の必要額は資産や年金だけでなく寿命や健康状態などにも大きく影響されますから、いくらあれば安心ということは一概にいえません。みけすけさんの場合は教育費の目途が立つ5年後からはじめ、夫が定年を迎える60歳までの16年間で準備することになります。現在のまま貯め続けていければ160万円×16年=2560万円、いろいろ不安があるようなので半分とすると80万円×16年=1280万円。これに退職金や60歳以降も働いて貯められたお金が、特別支出や老後資金になるのです。今後の貯められるお金によって老後資金は差が出ますが、夫婦ともに厚生年金ですからいまと同じようにきちんと管理された家計が維持できれば、年金が支給される65歳以降は貯蓄をほとんど取り崩さなくても生活できるはずです。それならば前述の金額でも、生活に困ることはないでしょう。ただし介護が必要になったときなどの費用を確保しておくためには、今後の車購入などの特別支出は抑えめにすることが安心につながることを覚えておいてください。
アドバイス3 家計の最大のリスクはストレス。夫は転職を検討しては?
みけすけさんの家計にとって最大のリスクは、夫またはみけすけさんが健康を害して働けなくなることです。相談コメントに「ストレス」という単語がたびたび使われていることに、たいへん不安を感じます。家計はきちんと管理されていますから、これ以上貯めるお金を増やすためには収入を増やすしかありません。しかし勤務先は働き方改革で残業がなくなり、副業も禁止では打つ手がありません。そこで提案ですが、夫の転職は考えられないでしょうか。39歳ということは、まだ伸びしろがある年齢です。夫婦が同じ勤務先という人的資本の集中は家計にとってのリスクですから、転職は考えるべき選択肢だと思います。いずれにしても、これ以上ストレスをためることがない生活スタイルを見つけることが、家計安定への一番の近道ではないでしょうか。
相談者「みけすけ」さんから寄せられた感想
使途不明金が3万円もあるなんて指摘されるまで気づきませんでしたが、アドバイスをいただけて、手取りは減りましたが管理してきちんと貯めていけば何とかなるとわかり少し安心いたしました。夫も私も何の資格もないので転職はできませんが、一緒の会社だとリスクがあるというのも指摘されて初めて知りました。言われてみればそうですね。このまま歯を食いしばって爆発寸前まで頑張るしかないです。最低でも教育費が貯まる5年は頑張ります。アドバイスの通り必要な時期が決まっている教育費を先に貯めたいと思います! 生命保険も早速見直してみます。プロに相談してよかったです。ありがとうございました。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/鈴木弥生
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