人生も資産運用も、考え方ひとつで変わる
僕らはみんな歳をとります。例外はありません。とはいえ、歳のとり方は人それぞれです。「歳を取ったせいで、できないことが増えた」と考えるか、「歳を取ったおかげで、できることが増えた」と考えるか。些細な解釈の違いが、人生に大きな影響をもたらします。これは資産運用でも同じです。「歳を取ったから資産を運用してはいけない」という法律はありません。資産運用は万人が選べる権利です。
歳を重ねることをプラスに考える? それともマイナスに考える?
老いを意識し過ぎると、お金持ちになれない?
2018年に日本証券業協会が5000名を対象に調査した、「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(1)によると、「年配な人ほど短絡的な判断が増える」と確認されました。この調査では、被験者に「今10万円をもらうか」「1年後に11万円をもらうか」という質問を投げかけました。すると、年配者ほど「今10万円をもらう」と回答しました。つまり、年配者ほど「目先の利益に振り回され、未来の利益を犠牲にしやすい」ことが確認されたのです。
この傾向は、男性も女性も「40代以降」から如実に高まりました。また、男性と比べて女性のほうが変化の度合いが強いことが確認できました。つまり、女性のほうが「年齢を重ねるにつれ、近視眼的な行動がどんどん強まる」ということです。
この理由として、もっとも大きな原因は「老い」に対する意識でしょう。「自分は年配だから、いつ死ぬかわからない」という意識が、「自分は年配だから、1年も待っている余裕はない」
「自分は年配だから、未来よりも今を大切にすべきだ」という思考につながるのでしょう。
特に女性の場合は、男性よりも「老い」に対する意識が強いと考えられます。理由は定かではありませんが、感覚的には納得の内容かと思います。
この「近視眼的な行動」は、投資判断においては最悪の障害です。実際、経済学者コンビのブラッド・バーバーとテランス・オディーンの研究で「近視眼的な人ほど資産運用が下手になる」ことが確認されました。
一方、「老い」の感覚を薄れさせることで、資産運用が上手になるともいえます。その最たる例が、投資の神様ウォーレン・バフェットです。彼は80歳を超えても現役バリバリで働いています。そして、年老いてもなお、「超長期投資」をモットーにしています。ちなみに彼は、一代で9兆円もの財を築きました。
年齢を気にするメリットは?
年齢を気にするメリットが1つだけあります。それは、資産運用で年齢を気にかけることで、無茶をしなくなるという点です。若いうちであれば、資産運用で大きなリスクを取ることができます。仮に生活資金を失っても、働いて取り返せばよいです。だから、資産管理がずさんでも、どうにかなる場合が多いです。
一方、定年退職後は、だいたいの方の所得が減ります。だから、「生活資金を失う」ことは致命傷になりえます。資産管理がずさんだと、たちまち生活水準が下がってしまいます。
とはいえ、年齢を気にするメリットはこれくらいのものです。近視眼的な行動そのものはデメリットが多いので、止めておいた方がよいでしょう。
若さをキープし、短絡的な思考を回避!
僕はこれまで、「健康維持こそ最強の投資だ!」と言っています。自分の心と体を、若々しく保つこと。これは幸せにつながるだけでなく、正しい意思決定を促し、成功にもつながります。「近視眼的行動」を正当化する理由はありません。若い人も年配者も、長い目で見た合理的行動をとるべきです。経済評論家である山崎元氏の言葉を借りるのであれば、「運用に歳を取らせる必要はない」(2)のです。
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【参考文献】
- 調査:日本証券業協会、2018、『個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書』
- 記事:山崎元、2019、『運用に年を取らせるな!「60歳から、つみたてNISA』、楽天証券