お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

39歳子ども3人。赤字家計で家族の貯金はゼロ。私の貯蓄もなくなりました(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、ずっと赤字家計のため貯蓄ができず、自分名義の貯蓄も使い切ってしまった39歳の主婦の方。さらに夫はお金について無関心でレジャー好き。子ども3人は今後さらに教育費がかかるため、貯まる要素がない状況。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 支出を確実に減らすことが唯一の解決策

家計の最大の課題は、長年にわたって続いている赤字。当然、毎月の家計からは貯蓄できません(学資保険の保険料は除く)から、残高は0円。結果、たあーたさん名義の貯蓄(家計データには含んでいない)を取り崩し、それが12年間で300万円超。さらに養老保険も解約し、手にした160万円も、すでに残りは30万円程度とのことですから、いち早く着手すべき問題ということになります。

このまま、お子さん3人の5人家族で、何か大きな支出が生じることが起きれば、その時点で借り入れるしかありません。しかし、それを返済する余裕はないと考えられます。
 
では、どうやってこの状況を脱するのか。たあーたさんのパート収入のアップも重要ですが、それだけに頼るのは無理があります。今日から、支出を抑える。それしかありません。待ったなしの状況ですから、優先順位の低い支出から確実に削っていくことになります。これができるかどうかで、今後のマネープランが決まるといっても過言ではありません。
 
現時点で何をどれだけ削るかは、家族、世帯によって異なるでしょう。食費なのか雑費なのか。あるいは小遣いなのか。ともあれ、まずは毎月の赤字をなくすこと。次のステップとして、児童手当分=月3万5000円は貯蓄に回せるようにしたいところです。
 
そして、そのためにたあーたさん1人が頑張っても長続きはしません。家族の協力と理解が不可欠です。つまりは、お子さんも含めた家族全員がときに我慢を強いられるということ。レジャー費も例外ではありません。したがって、ご主人にはこのままでは確実に家計が破綻すると伝えるべきです。もちろん、一年中節約では息が詰まります。楽しむことは大切な要素です。それについては、年間の予算を組み、その範囲内に収める。以前よりお金がかけられない部分は回数を減らしたり、創意工夫でカバーしてください。
 

アドバイス2 保険は必要保障額を割安に確保する

次に保険について。いろいろ見直しをされたようですが、現状を踏まえての加入要件は「最小限必要な保障を割安な保険料で確保する」。これに尽きます。つまり貯蓄性も過度な保障も必要ありません。保険料が割高になるからです。将来のために高い保険料を支払い、2年後、3年後の生活がままならないのであれば、それこそ本末転倒です。
 
見直しですが、まずご主人は終身保険を払済保険に。支払った保険料が無駄にはなりません。ご主人の死亡保障は収入保障保険だけで3500万円近くありますから、持ち家であることも考えれば、これで必要保障額は確保できています。また、老後のために終身保険で250万円を貯めるというのは、金額としても中途半端です。それなら現金で貯めた方が合理的。また、医療保険は解約します。65歳払込終了のため、保険料が割高です。終身保障終身払いなら、入院5000円のシンプルな内容で先進医療特約を付けても、ご主人の年齢なら保険料は3000円台です。
 
たあーたさんについては、ご主人同様、終身保険を払済保険に。医療保険は解約します。そして、共済で最小限の死亡保障と医療保障を確保すればどうでしょう。保険料は月額2000円で済みます。加えて、子ども共済も不要です。解約しましょう。これで保険料は、学資保険を加えても、4万円程度。必要な保障は確保して、月2万円以上節約できます。
 

アドバイス3 ボーナスの半分は貯蓄に回す

家計として、もうひとつ大事なポイントがボーナスの使いみちです。現在、家計赤字もあって、ボーナスからは一切貯蓄に回っていません。できれば半分、25万円は貯蓄できるよう見直してください。赤字補てんがなくなれば、決して不可能な額ではありません。
 
仮に毎月、児童手当分とボーナスから25万円貯蓄できれば、年間67万円。ご主人が60歳となる13年間で871万円。毎月5万円貯蓄できれば、60歳のときに780万円。お子さんの学資保険が、1人あたり満期金200万円。大学を私立文系とすれば、4年間に大学に支払う金額は平均400万円ですから、残り200万円。3人で計600万円を貯蓄から捻出しますので、手元に残るのは1000万円。これに退職金1500万円を加算した額が老後資金ということになります。
 
老後がこの金額で足りるかどうかは何ともいえません。不確定要素がまだまだあります。ただし、60歳以降も夫婦揃って働くということ。元気であれば70歳までは働くという気持ちが大切です。住宅ローンは完済がご主人70歳のとき。定年時に退職金の一部を繰上返済に回して完済するという選択肢もあると思いますが、幸い、毎月の返済額がさほど大きくないので、60歳以降の生活費によってはそのまま返済を続けてもいいでしょう。

ともあれ貯蓄体質になること。それを最優先に家計や生活を見直してください。改善の余地はまだあると考えます。
 

相談者「たあーた」さんから寄せられた感想

相談にのってくださりありがとうございます。一番気がかりな保険のことについてとても参考になりました。これから調べて、保険の解約と新たな保険を契約しようと思います。夫にも相談して、家計の状況やこれからのことをもっと積極的に話し合い、貯められる家計を目指したいと思います。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 
 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武



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