貯金に才能は関係なし! では必要なことって?
僕は社会人になるまでロクに貯金をせず、また何度も貯金に挫折してきました。貯金を強く意識するようになったのは、結婚してからです。独身のときも貯金していましたが、今ほど積極的ではありませんでした。「今年こそは貯金するぞ!」そう意気込んでから数カ月。気づけば、今までどおり無駄遣いしている自分……。貯金が大切なことはわかっていても、なかなか実践できませんでした。何度も挫折すると、「貯金できないのは、自分に才能がないからでは?」と思えてきます。きっと、あなたにも似たような経験があるのではないでしょうか。
貯金に才能は不要ですがその代わり、スキルが必要です。スキルさえあれば、誰でもお金を貯められます。特に重要なのが、指針となる「貯金目標」です。そこで今回は、成功する貯金目標の立て方を紹介します。
1.貯金目標を自分で立てない!
1つ目のポイントは、「貯金目標を自分で立てない!」ことです。行動経済学者のダン・アリエリーが興味深い研究(1)をしました。その結果によると、「他人に目標を立ててもらったほうが、〆切が守られやすい!」ことがわかりました。自分で設定した目標は、「ちょっと破ってもいいか……」という気になるものです。目標は、他人に強制されるくらいでちょうどいいです。
2.貯金目標を公開する!
2つ目のポイントは、「貯金目標を公開する!」ことです。学者フェリペ・キャストらの研究(2)では、「貯金目標を周りに打ち明けることで、貯金の成功率が上がる!」ことがわかりました。貯金目標を公表したグループは、しなかったグループと比べて65%も貯金額が多かったのだそう。たしかに、目標を自分の心に秘めているだけだと、ふとした拍子に軽んじてしまいます。僕もこの研究を知ってからは、妻と貯金目標を共有するようになりました(笑)。
3.貯金の動機は一点集中させる!
3つ目のポイントは、「貯金の動機をハッキリさせる!」ことです。お金はいろんなものと交換できます。「家」を買うもよし、「自動車」を買うもよし、「スナック菓子」を買うもよし。多くのものと交換できるので、とても便利です。しかし、いろんなものに使えるせいで、「貯金目標がぼやけてしまう」のも事実。2011年に、面白い研究(3)が行われました。「教育も医療も退職後の備えも大切だよ! だからお金を貯めよう!」と言われた人と、「教育は大事だ! だからお金を貯めよう!」と言われた人の家計を追跡しました。
すると、「目標を一点集中させたグループの方が貯金比率が高かった」ことが確認できました。つまり、「いろんな動機づけ」よりも「一点集中型の強烈な動機」のほうが、行動につながったということです。
漠然と「お金は何にでも使える!」と考えてもモチベーションは上がりません。一点集中型で、自分の切迫感を高める動機を考えましょう。ちなみに、僕にとっての最大のモチベーションは、「お金がないと早死にする!」です。
まとめ
せっかく貯金目標を立てても、実現できなければ意味が薄れます。どうせ目標を立てるなら、「実現できる」ものを立てたいですよね。今回ご紹介した3つのポイントは、どれも科学的に効果実証済みで、僕も取り入れているテクニックです。気に入ったものがあれば、使ってみてくださいね。
【参考文献】
- 論文:Dan Ariely and Klaus Wertenbroch, 2002, "Procrastination, Deadlines, and Performance: Self-Control by Precommitment", Psychological Science, 13(3), pp. 219-224
- ディスカッションペーパー:Felipe Kast, Stephan Meier, and Dina Pomeranz, 2012, “Under-Savers Anonymous: Evidence on Self-Help Groups and Peer Pressure as a Savings Commitment Device" , IZA Discussion Paper No. 6311
- 論文:Dilip Soman and Min Zhao, 2011, "The Fewer the Better: Number of Goals and Savings Behavior", Journal of Marketing Research, 48(6), pp. 944-957