「1億円を貯める」という数字を聞くと、途方もない数字に思えます。でも、しっかり働き、しっかり節制すれば、可能な目標です。そこで今回、1億円を貯めるには、毎月いくらの貯金が必要か試算してみました。
30歳の夫婦の場合でシミュレーション
試しに30歳の夫婦で考えてみましょう。30歳で貯金ゼロの夫婦がいるとします。彼らが70歳まで40年間働くとすると、金融資産が1億円を超えるのに、毎月いくらずつ貯める必要があるでしょうか。今回は、楽天証券の「積立かんたんシミュレーション」(2)という計算サイトを使って試算しました。
ケース①:低リスクな「個人向け国債」につみたて貯金
僕らは損が嫌いです。だから、手始めに「損をしなさそうな方法」からシミュレーションしてみましょう。損をせず、確実にお金を増やすには、「変動金利型10年満期の個人向け国債」に投資するのが手軽です。今回は、年あたり0.05%ずつお金を増やせるとして試算しました。
シミュレーションの結果、この方法で1億円を貯めるには「毎月約21万円」の貯金が必要だと分かりました。共働き世帯の平均実収入は、「月60万円前後」といわれます(3)。1億円を超えるには、稼ぎの3割以上を貯金する必要があります。うむむ……これは、大変そうですね。
ケース②:高リスクに「つみたて投資」で勝負
「毎月21万円の貯金はちょっと……」という方は、リスクをとって試算を運用する方法もあります。低リスクな国債と違い、株式投資では年5%ほどのリターンが期待できます(4)。そこで、少し極端ですが貯めたお金をすべて資産運用に回し、年あたり5%ずつお金を増やせるとして試算しました。シミュレーションの結果、この方法で1億円を貯めるには「毎月約7万円」の投資が必要だと分かりました。低リスクな場合の21万円と比較すると、必要な貯金額は3分の1となり、グッとラクになります。「これなら貯められそう」と感じませんか?
まとめ
今回は、「1億円貯めるのには、毎月いくら貯金が必要か?」を試算しました。その結果、低リスク運用では月約21万円、高リスク運用では月約7万円が必要と分かりました。リスクを取らないと達成は難しそうですが、リスクを取れば案外いけそうじゃないですか?本記事で紹介した2つのケースは、いずれも極端です。人によって状況や考え方が違うので、あなた自身やパートナーとよく考え、組み合わせてご利用ください。
【参考文献】
- 論文:筒井義郎, 大竹文雄, 池田新介, 2009, "なぜあなたは不幸なのか", Osaka economic papers, 58(4), pp. 20-57
- WEBサイト:楽天証券, 積立かんたんシミュレーション
- 調査:総務省, 2017, "家計調査(家計収支編)"
- 論文:山口勝業, 2016, "株式リスクプレミアムの時系列変動の推計 --日米市場での62年間の実証分析", 証券経済研究, 93, pp. 103-111