お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

35歳会社員、第2子希望と6000万円のマンション購入は可能ですか?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、マンションの購入額で悩む35歳の会社員女性。加えて、第2子も希望していて、現状考えている6000万円の物件を購入することに無理はないか……。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 現状での住宅購入プランは無理のない範囲

先に結論から申し上げます。現状での住宅購入プランは、マネープラン全体を考えても、十分に無理なく返済できると考えます。
 
まずは現在予定されている住宅ローンを組んだ場合の、その後のキャッシュフローを試算してみましょう。最初に住宅コストから。仮に購入物件を都内の新築マンション、物件価格は6000万円、入居は来年1月とします。諸費用に300万円、ローンの頭金に1000万円とのことですから、借入額は5000万円。金利の種類は不明ですが、金利上昇リスクを考慮して、全期間固定を選択、金利は1.5%。勤務先の定年が65歳ですので、やや長いですが返済期間は30年。完済はご主人67歳のときとなります。これで毎月の返済額は17万2500円ほど(ボーナス月加算なし)。
 
これだけを比較すると、現在の家賃より2万6500円のアップですが、持ち家になることで、その他にランニングコストが発生します。毎月の管理費・修繕積立金は不明ですが、物件価格から考えて安くても3万~4万円。他に5年後にクルマを購入し、駐車場を借りるとすると、やはり都内では3万円は見ておく必要があるでしょう。固定資産税は平均して年額10万円とします。これで、ランニングコストは月割りにして7万~8万円。結果、住宅コストは少なくとも最初の5年間は月7万円、それ以降は10万円程度のアップが想定されます。
 

アドバイス2 第2子を出産しても老後資金は十分作れる

次に家計支出ですが、まず家族構成として、年内が希望という第2子を、便宜上マンション入居と同じ時期(来年1月)に出産したとし、その1年後に職場復帰するとしましょう。その時点での貯蓄ですが、前年のマンション購入資金の捻出と産休の減収も考慮して、100万~200万円程度に減っているはずです。
 
マンション購入後の家計支出は、住宅コスト以外は生活費が今と変わらないとします。ただ、教育費はあとでまとめて差し引きますので、ここでは家計支出に加えません。クルマ購入までの5年間で貯蓄できる額は1400万円ほど。

クルマ購入後は、マンションでの駐車場代金、ガソリン代、その他維持コスト(税金、保険、車検、その他整備)が新たに発生します。購入するクルマによってそれら金額には幅がありますが、一般的な額として月割りで5万~6万円。それらを加算すると、ご主人が定年となる65歳までの23年間で貯蓄できる額6500万円ほど。したがって、ざっとですが、65歳の定年時点で手持資金は8000万円。さらに、その他の収入として、第2子が受給する児童手当と、第1子の学資保険の満期金200万円がありますから、トータルで8400万円となります。
 
ここから2人分の教育費を差し引きます。高校まで公立を希望しているが、中学から私立の可能性もあるとのこと。後者で、大学を私立文系とすれば、1500万円ほど(塾や習い事などの平均的な学校外教育費を含む)。大学が私立理系なら1600万円となります。進路は未定ですが、2人分3000万円を考えれば、残りは5400万円。

この他、クルマの購入費が発生します。65歳までに買い替えも含め計3台購入するとすれば、これも車種によって金額は大きく変わりますが、600万円は見ておきたいところ。これをコストとして差し引くと、途中、第1子の児童手当がなくなったり、支払い保険料が減ったりするといった変動はありますが、あくまで目安として4800万円が定年時に手元に残ることになるわけです。
 

アドバイス3 夫婦とも定年まで収入を維持することが大前提

老後資金としてこの4800万円で足りるかどうかですが、この他に退職金もしくは確定拠出年金があります。終身保険の解約返戻金もあります。また、公的年金が夫婦とも厚生年金であることを考えれば、介護費や医療費、住宅リフォームを考慮しても、それらが平均的な額であれば、老後は資金的に十分余裕があると言えるでしょう。住宅ローンは67歳まで続きますが、繰上返済も可能ですから、返済期間を短縮すれば問題はありません。
 
マンションの営業担当者に「7000万円を借り入れても大丈夫」と言われたそうですが、計算上は確かに返済可能です。そこまで借りなくても、物件価格7000万円(借入額で6000万円)のマンションも十分手が届くと思います。世帯収入が高い一方、支出は抑え気味で、家計管理がしっかりしている点も、安心材料となっています。
 
ただ、ここまでの試算には大前提があります。夫婦とも今の収入を維持して定年まで勤務するということです。もちろん、ローンはそれを前提に組むわけですが、「夫婦とも」という点でリスクは倍になります。例えば、病気やその他の理由で、どちらかが年間100万円減収したとします。30年間で3000万円の減収になりますから、購入が6000万円のマンションでも、定年時の手持資金は1800万円。老後を考えると、それでも不安視するほどではありませんが、余裕はかなり減ります。
 
一方で、コストとしては教育費など高めに見ていますし、ボーナスもアップにともないもっと貯蓄に回せることも十分考えられます。それらを考え合わせれば、マネープランに余裕のある6000万円の物件をあえて「上限」と考えることが、将来へのリスクヘッジという意味でも適正ではないでしょうか。
 

相談者「ミッフィー」さんから寄せられた感想

6000万円までであれば問題なさそうとのこと、具体的な数字で示していただき安心しました。第2子を授かることができても、無理のない範囲で共働きを続けられるようにがんばります。ありがとうございました。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
   
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武


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