2018年12月末の家計の金融資産額は1830兆円
日本銀行が四半期ごとに発表している「資金循環統計」によれば、家計が保有する2018年12月末の金融資産残高は1830兆円でした。 2017年12月末と比較して1.3%減少となりました。前年の水準を下回るのは、リーマンショックがあった2008年末以来10年ぶりです。四半期ベースでみても、前年を下回ったのは10四半期ぶりです。10年ぶりに家計の金融資産残高が減少した背景は、2018年末に進んだ世界的な株安が、家計が保有する株式や投資信託の評価額を目減りさせたことによるものです。日経平均株価は2018年、年間を通じて12%下落、アベノミクスが始まって初の下落ということを考えると、金融資産残高が減少したのもうなずけるところです。
株価の下落により株式や投資信託の購入が低迷している一方、現金・預金の残高は過去最高を更新しています。政府が旗振る「貯蓄から投資(資産形成)へ」という流れは、遅々として進まない状況が続いています。
現金・預貯金の残高は増加が10年以上続く
保有する金融資産の内訳を見ていきましょう。「株式等」は株価急落の影響をうけ、2017年12月末と比べて15.3%減少して175兆円でした。金融資産残高全体に占める割合も9.5%となり、10%を下回ってしまいました。10%を超える大幅な減少となったのは、2009年6月末の16.95%減少以来でした。
「投資信託」も世界同時株安、円高の影響により、2017年12月末と比べて12.4%減少して67兆円になりました。金融資産残高全体に占める割合は3.7%でした。株式と投資信託を合わせても金融資産残高全体に占める割合は13.2%に過ぎません。
一方、過去最高を更新したのは「現金・預金」です。2017年12月末と比べて1.6%増加の984兆円になりました。長引く低金利、収入もなかなか増えない中で10年以上も現金・預金の残高は増加しています。家計は将来の不安が拭えないことから、守りの姿勢を貫いているようです。
減少が止まらないのが「債務証券(債券)」です。2017年12月末と比べて1.3%の減少となり、その残高は24兆円、金融資産残高全体に占める割合は1.3%まで減少しています。個人にも国債保有を促す目的で募集されている「個人向け国債」の金利が、最低保証水準まで低下して、魅力が高まらないことが残高が増えない要因と思われます。
保険・年金はジワジワと人気が継続している
長引く低金利をものともしないのが「現金・預金」ですが、同様に残高をジワジワと増やし続けているのが「保険・年金・定型保証」です。増加幅は2017年12月末と比べて0.1%に甘んじていますが、その残高は523兆円、金融資産残高全体の28.6%を占めています。保険だけに絞ると、2017年12月末と比べて0.5%の増加、その残高は371兆円、金融資産残高全体の20.3%を占めています。保険加入率は減少傾向といわれていますが、残高を見る限り根強い人気があることをうかがわせます。企業が保有する金融資産残高も家計と同じく減少しています。2017年12月末と比べると4.5%の減少、残高は1142兆円です。企業の金融資産残高も10四半期ぶりに減少しました。株式の残高は個人よりも減少率が大きく、2017年12月末と比べて19.1%減少の330兆円となりました。現金・預金は2017年12月末と比べて3.8%増加の262兆円となっています。
家計(個人)、企業等も株価が金融資産残高に与える影響は大きいと言えるでしょう。
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