先日、YouTubeで生放送をしていた時、リスナーの方からこんな質問を頂きました。その質問がコチラです。
 
質問内容:
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中原さんのススメで、インデックス投資を始めます。これから投資信託(ETF)を売買しようと思うのですが、いつ売買すればよいのか、具体的なタイミングに迷っています。中原さんだったら、いつ売買するのがベストだと考えますか?
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今回は、このご質問に回答していきましょう。
 

投資信託(ETF)の売買はいつがベスト? 

投資信託(ETF)の価格は毎日のように変わります。だから、売買のタイミングを1日変えるだけで、数万円~数十万円の利益が損失につながることもザラにあります。それもあり、僕ら投資家は「できるだけお得なタイミングに売買したい!」と考えがちです。
 
そして、こんなことも考えます……
 
「もしお得に売買できるタイミングが分かったら、上手に買ったり売ったりするだけで大金持ちになれるのでは?」
 
 

売買タイミングをあれこれ考えるのはムダ

世界的な投資アドバイザーのチャールズ・エリスは、著書(1)の中で、売買のタイミングに関する意見を下記のように述べています。
 
"同じように、市場タイミングで繰り返し成功を味わった投資家もいない。(中略)よく考えてみれば、市場動向を予測し、安く買って高く売ることで、競争に勝つことが不可能なのは明らかだろう。"
 
つまり、世界的な投資アドバイザーも、【売買のタイミングを見極めるのはプロでも難しい(≒不可能)】という話をしています。
 
僕自身、チャールズ・エリスの言葉には一理あると考えています。仮にタイミングを上手に見極める方法があるとしたら、どうして誰も知らないのでしょうか。世界には何億人もの投資家がいるのに、タイミングに関するもっともらしい理論を発表してきた投資家は居ません。(仮に居たとしても、その理論は今後も使い続けられる理由はあるのでしょうか?)
 
以上の話を基に考えると、「相場の動きを見る」「ニュースを読む」といった方法で、投資信託を売買するタイミングを考えるのは、ナンセンスです。
 

科学的に正しい「売買タイミング」の決め方とは? 

こんな話をされると、あなたは「じゃあ、どうやって売買のタイミングを決めればよいの?」と疑問を抱くことでしょう。この疑問に対して、これから回答していきます。
 
投資でお金を増やす方法は3つあります。それは、「運」と「リスク・プレミアム」と「ミスプライス」の3つです。(詳しくは過去に解説をまとめた記事を参照ください)
 
このうち、インデックス投資(投資信託を買ってお金を増やす方法)では、「リスク・プレミアム」という方法でお金を増やすことを目指します。
 
「リスク・プレミアム」なんて難しい用語を聞くと面食らってしまうかもしれません。とはいえ、難しく考える必要はありません。要は「リスクを取る見返りとして、リターンを得る」ことだとご理解ください。
 
ちなみに、経済学者らの研究(2)によると、リスク・プレミアムの年率は、およそ「金利+4%~5%」と言われています。日本株の場合は、金利がほぼゼロなので、日本株投資の利回りは年率4%~5%と考えるのが妥当です。
 
リスク・プレミアムをたくさん得る方法は2つしかありません。それは、「多額のリスクを取る」か、「長い期間リスクを取る」かの2つです。
 
だから、なるべくたくさんお金を増やしたい人にとって、科学的に正しい「売買タイミングの決め方」は、「なるべく長く投資信託を持つ」ように売買タイミングを決めることと言えます。つまり、「早く買う」「遅く売る」のがベストということです。
 

まとめ 

筆者自身、インデックス投資で資産を運用してますが、細かなタイミングは気にしていません。何より重視しているのは、「できるだけ早く、多くの金額を積み立てる」「お金を下ろさず、できるだけ長い間、保有するようにする」という2点だけです。
 
第一、売買タイミングが分かったら、僕に限らず、世界的な億万長者になって有名人になるハズです。しかし、誰も有名人がいないのは、「誰も良い売買タイミングなど分からないから」に他なりません。
 
小手先のテクニックを弄するよりも、本記事でご紹介した、科学的に正しいアプローチに従った方が、実りある結果が得られると思いますよ。
 
●参考文献
  1. 書籍:チャールズ・エリス, 2015, "敗者のゲーム 原著第6版", 日本経済新聞社
  2. 論文:山口勝業, 2016, "株式リスクプレミアムの時系列変動の推計 --日米市場での62年間の実証分析", 証券経済研究, 93, pp. 103-111
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