便利でお得な決済方法、電子マネーとクレカ
クレジットカードや電子マネーなど、現金を介さず支払いをする方法をキャッシュレス決済といいます。キャッシュレス決済はとても便利です。電子マネーとクレカで支払いをすませば、財布を出して小銭を払い、小銭をもらうという手間が省けます。一度やってみるとその便利さは圧倒的です。また、キャッシュレス決済はお得な会計手段でもあります。ポイント付与です。クレジットカードは標準的に利用額の0.5%を付与しますし、電子マネーも1%程度ポイント還元するのが一般的です。クレカから電子マネーにチャージし、決済すれば二重取りできる場合もあります。キャッシュレス決済促進のために、国がポイント還元するような話もあります。
これはいってみると「現金よりキャッシュレス決済のほうが割安」ということです。現金が割安で最強と思っていたら、むしろ割高になっているのです。
しかし、キャッシュレス決済にも注意点があります。それはムダづかいを促進する仕組みになりうる、ということです。
現金を触らないことの危なさは「減ったという感覚」の喪失
現金を触らないでお金を支払うということは、「財布にお金があることを確認して、お金を支払う」という手順を省略することです。もちろんお金を払わないわけではないので、チャージした金額が予め負担されているか、クレカ支払いした金額が後日請求されます。現金を触らないですむ、ということは便利である一方、危うさもあります。それは「手持ちの現金が減った」という感覚を感じにくいことです。
ポイントを除けば、買う際に使った金額は、電子マネーだろうと現金だろうと同じ金額です。しかし財布が軽くなると私たちは「あー、使ったなー」という感覚を抱きます。財布の現金が減ったので、ATMに行ってお金を引き出せば「今、お金をおろしたな」という感覚があります。
これは「残りの量」としてのお金のボリュームを、「銀行に通う手間暇」と「財布の重さの軽重」で、私たちが感覚的に把握しているからです。
理屈としていえば、現金も電子マネーもクレカも同じ量の買い物ができるはずですが、なぜか私たちは電子マネーやクレカのほうが、財布の紐が軽くなってしまうのです(というか紐がそもそもないし!)。
現金と電子マネー併用時代はさらに難しさがある
もうひとつ難しいのは、現代が電子マネーと現金決済が併用されている時代ということです。もし、すべてが電子マネーやクレカで決済される時代となれば、自ずと(あるはやむを得ず)現金決済に近い感覚が養われることでしょう。しかし、併存している今は「給与振り込み日が近づいてきたけれど、現金も銀行口座残高も足りないなあ」という人が、「じゃあ、あと数日間はクレカやクレカからチャージした電子マネーで支払うようにしよう」とする余地があります。
利息が高いキャッシングや消費者金融にお金を借りるよりはマシとはいえ、未来の自分にお金を借りているようなものですから、数カ月後には家計が行き詰まるリスクがあります。
また、お金の管理としても「今月の出費=今月の支出」となる現金払いと「今月の出費=来月の支出」となるクレカ払いが混在することで、管理が難しくなってしまいます(家計簿を記帳するとこの問題にぶつかります)。
未来を考えればキャッシュレスを使いこなし、電子決済をコントロールしよう
結論としては、キャッシュレス決済は使いこなしていくしかありません。最初に述べたとおり便利さから遡ることはもうできないからです。そしてキャッシュレス決済は、時代の趨勢でもあり避けられないでしょう。だとすると、電子マネーとクレカを通じたキャッシュレス決済が、ムダづかいとならないような「仕掛け」だけは講じておくべきです。
まず、クレジットカードは高額決済に留めておくほうがよいでしょう。「今、○万円を使った! しばらく節約をしなくっちゃ」というような心理的歯止めが残ります。毎日200円単位の決済を何度もやると、利用明細もノーチェックになってしまいがちでよくありません。
電子マネーについては「1週間あたりの利用額」のようなイメージを作っておくことです。ある程度、生活のルーチンを整理し、「毎日700~800円程度なので、毎週8000円チャージして使い切るくらいにする」のように、使いすぎをコントロールしてみてはどうでしょうか。
また、オートチャージはオフにして手動でチャージ(スマホに設定した電子マネーならアプリから簡単にチャージできます)するのもよいでしょう。先ほどの「毎週8000円」を月曜日の出勤途中にチャージするといったようにルール化してしまうのです。
無制限に便利なキャッシュレス決済を利用した結果が、とんでもない金額のクレカの請求書というのでは便利も意味がありません。
ぜひ、キャッシュレス決済を上手に使いこなしてみてください。