アドバイス1 住宅は5000万円程度なら問題なし
マイホームについては、賃貸と持ち家はどちらがトクかとよく議論されます。一般的に持ち家の価格は、家賃を払い続けた場合のキャッシュフローと大きく違わないように設定されていますから、どちらでも大きな違いはありません。ただし、社宅の場合は別。勤務先から補助が出ているのですから住むのはトクになります。住宅を買いたい時期は5年後ですから、相場に絶対はありませんが、現在の不動産市況を考えると5年後の方が下がっている可能性が高く買いやすくなっているのではないでしょうか。では具体的に、購入できる物件の金額を考えていきましょう。現在の家計を見ると年300万円以上貯められています。ご主人が60歳になるまで20年ありますから、6000万円は貯められることになります。現在すでに貯まっている貯蓄で住宅の頭金と教育費は準備できていますから、この6000万円がひとつの目安。老後資金や教育費の余裕を加味しても4000万円~5000万円程度の物件ならば、無理なく購入できると考えていいでしょう。
アドバイス2 最大のリスクは妻がキャリアを中断すること
アドバイス1では楽観的なお話をしましたが、リスクがないわけではありません。それは、たまこさんの働き方です。子育て期間の10年くらいは仕事を辞めるかもしれないとのことですが、これはマネープランにとって最大のリスクです。現在、貯められているお金のほとんどは、たまこさんの収入です。たまこさんが仕事を辞めるということは貯蓄ができないばかりか、節約をしないと赤字になってしまいます。エンジニアというお仕事は、変化の激しい世界だと推察します。しかも10年間キャリアを中断すると、再就職をするときは40代後半。いま考えている以上に、復帰は厳しいかもしれません。働き方改革で、さまざまな勤務形態が可能になってきています。テレワークなども進んでいる業界でしょうから、働き方を変えれば育児との両立も無理ではないはずです。仕事を辞めるダメージは大きいので、細々とでも構いませんから続けることをお勧めします。
アドバイス3 投資にはリスクがあることを肝に銘じておく
株式投資が順調のようですが、投資額からいうとそろそろ資金を大きくする段階から安定的な運用に移る時期です。いまは儲かっていても、永遠にこれが続くことはありません。個別株への投資はいいときと悪いときがはっきりしますし、必ず不景気はやってきます。信用取引も始められたということですが、多くの方を見てきた経験からいうと自信を持ち過ぎない方がいいと思います。いまは時系列のデータが簡単に入手できますから、リーマン・ショック級の暴落に巻き込まれたとき、自分のお金がどうなるのかを一度シミュレーションしてみてください。このくらいならいいだろうと思えれば問題ありませんが、夜も眠れなくなりそうだったらリスクの取り過ぎです。お子さんも小さく、まだまだイベントの多い世代。国際分散投資で、リスクを軽減した運用方法を考えてはどうでしょう。
相談者「たまこ」さんから寄せられた感想
藤川太先生にアドバイスをいただけるとは、何という幸運に恵まれたのか、本当に嬉しく存じます。自分のキャリアや資産運用につきましても的確にご助言いただき、肝に銘じていこうと決意しております。この度は、このような機会をどうもありがとうございました。
教えてくれたのは……
藤川太さん
All About「資産運用」ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたFP。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに詳しく「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスしています。
取材・文/鈴木弥生
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