最近では、キーボード部分が分離でき、タブレットとしても利用出来る2-in-1製品も増えています。今回紹介するのは、従来同様の通常のクラムシェル型モバイルノートパソコンの最新モデルVAIO SX14です。VAIO SX14(法人向けはVAIO Pro PK)はVAIO S13(法人向けモデルならVAIO Pro PG)の後継モデルで、画面サイズを13.3型から14.0型に大型化しながら、筐体サイズはほぼそのままで、性能と使い勝手を向上させた最新モデルです。
基本的な使い勝手が向上
画面サイズが14.0型に大型化したことで、13.3型よりも画面サイズが11%増加。それでいて本体サイズは従来モデルとほとんど変わっていません。液晶画面周辺のスペースを減らした狭額縁で大画面化を実現しており、従来と同等のサイズに大きな液晶パネルを搭載しています。旧モデルのVAIO S13比で、幅は320.4mm、厚み15.0-17.9mmで同じ。奥行きは216.6mmから222.7mmと10mmほど大きくなっただけです。それでいて、重量は最軽量モデルで1060gから999gへと軽量化しています。もちろん筐体の剛性は維持しており、画面端をひねるようなことをやっても簡単にたわむことはありません。
本体サイズはA4のクリアファイルと同程度で、一般的なビジネスバッグにそのまま入るサイズとなっています。
画面サイズが大型化したことで使い勝手が向上しながら、本体サイズはほぼ変わらず、重量を軽量化したことで、基本的な使い勝手が向上しました。画面サイズが大きくなったことで、画面の見やすさが向上していますが、高解像度の4K対応モデルも用意されています。フルHDでもある程度高品質な表示は可能ですが、4K画面での文字表示はギザギザが一切みえない非常に綺麗な表示です。
スマートフォンではこのような美しい文字表示が当たり前ですが、画面サイズが大きいパソコンではまだコストや消費電力などの問題があり、フルHDまでの製品が多いです。最新モデルで4Kモデルも選択できるのは、画質面を重視する方には嬉しいところでしょう。
最大限に引き出す性能
CPUは最新のインテルCoreを採用しています。これだけなら他の機種と同じですが、最近のVAIOに採用されているVAIO TruePerformanceにも対応しています。VAIO TruePerformanceは放熱能力をVAIO独自にチューニングすることで、CPUのパフォーマンスを最大限引き出すものです。同一世代に発売された製品は、同じCPUを搭載することがほとんどで各機種を比べてもスペック上の違いはありません。この技術を採用している製品ではスペック上の数字では現れない高速な動作が期待できます。VAIOによればCore i7モデルで約25%、Core i5モデルで約15%性能向上が期待できるそうです。実際にベンチマークテストをするとこの効果はよくわかります。Core i7-8565Uを搭載したモデルをCINEBENCH R15のCPUでテストした場合、しばらくCPUの負荷が低い状態から計測すると730程の結果が出ますが、その直後にまたテストをするとCPUの発熱の影響で670程度と、1割ほど低い結果になります。つまり、CPUにそれほど負荷をかけていない状態から、瞬間的に能力が必要になるような状況では、同じCPUを採用した機種との性能差が生じることになります。
例えば、普段はExcelで数値入力などをし、入力が終わったところでマクロを使うような環境。画像を編集後、レンダリングで出力するような、一時的に処理性能が必要になる用途で効果を出すでしょう。文字入力や編集中はCPUの負荷が低く、マクロや画像処理時時にはCPUの負荷が高まりますが、VAIO TruePerformanceに対応していれば、通常に比べて1割から2割程度の処理速度の向上が期待できます。
このような処理はパソコンを使う中でよくあり、細かな部分でのパフォーマンス向上が期待できます。同じような仕様の製品と比べても体感で処理が早く終わり、使い勝手の向上にもつながります。
キーボード面は液晶を開くと傾く仕様になっており、机と本体手前の段差も少なく、入力のしやすさにつながっています。キーボードのストロークやタッチ感も薄型製品ながら、ある程度確保され、薄すぎて違和感のある物ではないです。最近の薄型のキーボードに慣れていれば、すんなりと移行できるでしょう。ただ、タッチパッド部分は小さく、ボタンが独立したタイプなのは好みが分かれるかも知れません。特にタッチパッドが小さめなことは、二本指でのジェスチャー操作などに無理はないですが、他の製品に比べると使い勝手は劣ります。
バッテリー駆動時間は長くはないが充電環境が充実
バッテリー駆動時間はスペック上、8から11時間です。カスタムメイド可能のため仕様により異なりますが、4KパネルのCore i7モデルでは約8.2時間。フルHDのCore i5モデルでは10.6時間です。
バッテリー駆動時間重視の機種に比べると駆動時間は短いです。それをカバーするのが、充電環境の充実です。同梱の急速充電対応の小型軽量のACアダプターでの充電はもちろん、USB Type-CでのPower Deliveryでの充電、モバイルバッテリーや一般的なスマートフォン充電器での充電にも対応しています。様々な状況での充電に対応できるので、バッテリー駆動時間の短さをカバーすることが出来ます。
薄型で軽量な機種の中にはインターフェースを省いた物が多いですが、通常タイプのUSB端子に加えて、USB Type-C、HDMI端子、有線LAN、VGA端子、フルサイズのSDカード端子までも搭載しています。最新の端子も、現在一般的に使うインターフェースはそのまま利用出来、古い環境にもそのまま対応できます。ハイスペック寄りの製品として対応していないので残念なのはThunderbolt 3です。
この分野の製品はビジネス利用が多いと思いますが、ちょっとしたゲームなら問題なく楽しむことが出来ます。例えば、フォートナイトのバトルロワイヤルモードは、720pの設定にするとカジュアルに楽しむには十分な品質で動作します。
ゲームのような常にパフォーマンスが必要になるような状況では、CPUの冷却ファンのノイズも気になります。ゲームや動画の編集のエンコードような長時間負荷をかける状況で使うと、ファンは常に回転しますが、この機種でゲームをしばらく遊んでも、それほど気になるほどのノイズにはなりません。図書館で動画編集をするような特殊なことをしなければ、様々な環境音がある一般的な事務スペースでは問題になる事は無いでしょう。
ハイスペックで使い勝手の高いモバイルパソコンを求める方におすすめ
A4サイズ程度で1kg程度の重量のモバイルパソコンは、より薄型軽量を重視した物、バッテリー駆動時間を重視した物など機種により特徴が異なりますが、このVAIO SX14はパフォーマンスと使い勝手を重視した製品です。VAIO TruePerformanceでの、同じCPUを搭載した機種と比べた場合のパフォーマンスの違いはもちろんですが、14型液晶や4K液晶搭載モデルでの画面の見やすさは13.3型やフルHDモデルと大幅に上回ります。一般的に必要になるインターフェースは全て本体にあり、LTEにも対応し常時本体のみでのインターネットへの接続も可能。
バッテリー駆動時間は他の製品に比べると長くはないですが、様々な充電オプションがありそれをカバー出来るようになっています。キーボード面が斜めになるなど、利用時の使い勝手の良さもあり、筐体剛性も高いため持ち歩きで不安になることもなく、操作性の面での問題ありません。
CPUはCore i7やCore i5など、液晶画面は4KやフルHD、メモリは16GBや8GBなど、ストレージも1TBや512GB、256GBなどからカスタムメイドモデルも用意されており、自分に必要な仕様を予算の中から選ぶ事も可能です。本体の重量やバッテリー駆動時間よりも、性能や使い勝手の良さを重視し、いつでもどこでも快適に使えるモバイルパソコンを求めている方におすすめの製品です。
https://vaio.com/products/sx141