レクサスUXが発売となった。プリウスのシャシを使った、トヨタ『C-HR』のレクサスバージョンだと理解すれば間違いない。最近のレクサスの流れで顕著なのは、「日本車として考えると高価。価格的には輸入車と同じ」というもの。UXも日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したボルボの人気車『XC40』や、BMWの新型車『X2』と価格では横並びだ。
エンジンや装備内容は?
となると、輸入車もショッピングリストに入れたくなる。そこで、UXとXC40、X2を比べてみたいと思う。
まず価格。装備を揃えるためUX200「version C」を代表にしたい。ターボなし2000ccの174馬力/209Nmエンジンを搭載。ナビなどを標準装備して414万円。斜め後方の安全を確保できるブラインドスポットセンサーは6万4800円のオプション。
次にスペックを見てみよう。XC40は、そもそもエンジンが2000ccターボで190馬力/300Nmで圧倒的にパワフル。安全装備は後述するけれど、レクサスで最も高価なLSと同等でてんこ盛り。例えると、XC40のハンドルを握っていて事故を起こすのが難しいと思えるほど充実している。価格は2ランクくらい格上のエンジンを搭載しての439万円(T4 Momentum)なので実質的に安い。
X2に搭載されるエンジンは、1500cc3気筒ターボで140馬力/220Nm。UXより馬力低いものの、同等以上のトルク持つため走ってみると大差ないと考えていい。UX200 versionCやXC40モメンタムと同じくナビや自動ブレーキが標準装備されており価格は436万円(X2 sDrive18i)。エンジンや装備内容を考えれば、価格競争力はXC40 > UX > X2になる。
安全機能は?
安全面で比べるとどうか? 圧倒的に機能が充実しているのがXC40だ。クルマや自転車、歩行者を昼夜検知し自動ブレーキする機能は当たり前。さらに障害物を検知した時のバック時の自動ブレーキや、対向車を自動的に避けてくれる機能、さらに正面衝突が避けられない状況でフルブレーキし、生存率を2倍に高めてくれる正面衝突被害低減ブレーキまで付く。
一方、UXも頑張っている。トヨタの最新世代自動ブレーキ(クルマや自転車、歩行者を昼夜検知し自動ブレーキ)の他、車線の中央をキープしてくれるハンドルアシスト、先行車を停止まで追従するクルーズコントロールなどつく。ただ運転アシスト、渋滞時には連続してハンドル制御してくれるXC40よりずっと限定された機能なのが残念だ。
X2は比較した3車種の中で最も安全装備面が貧弱だ。自動ブレーキ性能について詳細なスペックを公表していないため、夜間の歩行者に対応しているか不明。残念ながら車線の中央をキープしてくれる機能や、斜め後方に並走車両がいた時のブラインドスポット警告もつかない。新型車として評価すると、なかなか厳しい内容だと思う。
室内空間は?
室内の広さを比べれば、XC40が圧倒的に広い。UXはキャビンスペースが狭いといわれているC-HRと兄弟車のため、やはりリアシートは大柄な人だと厳しい感じがあり、X2もUXに負けないほどリアシートが狭い。リアシートの使用頻度が多かったり、チャイルドシートを使うような人だと厳しいかもしれない。ぜひ実車でチェックをしていただきたい。インテリアの質感や走りについては、個人の好みの部分が大きいため多くを書かないけれど、搭載されているエンジンだけ見ても絶対的な動力性能をイメージができると思う。XC40は、カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の多くが高い評価をしている。インテリアは写真をご覧頂けば何となくイメージできると思います。
この3モデルを比較すると、XC40の優位が目立つ。実際、カー・オブ・ザ・イヤーの得票数をみるとXC40の363点に対しX2は47点。UXが対象車になったとしても、相当厳しかったろう。いや、X2は「魅力的なクルマ」(エモーショナル賞)を獲得している。UXはそれも難しいと思う。しかし、UXは弱点がないため、レクサス好きなら満足できるだろう。