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マセラティ レヴァンテに加わった、2台のV8に試乗

マセラティ初のSUVに、マラネッロのエンジンファクトリーで組み立てられているフェラーリ製ユニット(V8ツインターボ)を搭載したハイパフォーマンスモデルが登場。搭載した550psのGTSと590psのトロフェオの2種類。その乗り心地を紹介する。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

フェラーリ製エンジンを搭載した2つのモデル

マセラティレヴァンテ GTS&トロフェオ

レヴァンテに追加された2つのV8モデル、トロフェオ(写真左)が1990万円、GTS(右)1800万円となる

イタリアの名門高級車ブランド、マセラティが初めてSUVを世に問うたのは2016年のこと。レヴァンテという名の大型SUVは、モダンマセラティのデザイン的な文法に完全にマッチしたエクステリアデザインをまとっていた。V6ツインターボ(ガソリン&ディーゼル)を搭載するレヴァンテは、既存のクワトロポルテやギブリの乗り味を高級SUVとして十二分に発揮。高性能で格好いいSUVの筆頭格として、人気を博している。
 
実はレヴァンテ発表の以前から、マセラティ本社の預かり知らない場所(モデナのどこか)で、ひとつのプロジェクトが進行していた。アルファロメオ・ジュリアを生み出したことで有名となったスカンク・ワークスのひとつで、レヴァンテ用のSUVプラットフォームをベースにその限界パフォーマンスを確かめるべく、V8エンジンを搭載した高性能SUVをひそかに開発していたのだ。
マセラティレヴァンテGTS

3.8Lツインターボを搭載。GTSは最高出力550ps/最大トルク730Nm、トロフェオは590ps/730Nmとされた。ZF製の8ATを組み合わせる

そのエンジンとはF154と呼ばれる3.8L90度V8ツインターボで、フェラーリ用3.9Lエンジンの親戚スジにあたり、マラネッロのエンジンファクトリーで組み立てられているフェラーリ製ユニットである。すでにマセラティ クワトロポルテGTSにも搭載されている。
 

背が高いだけのマセラティスポーツカー

マセラティレヴァンテGTS

ボディサイズは全長5020mm×全幅1981mm×全高1698mm、ホイールベース3004mm(GTS)

レヴァンテが登場したとき、誰もがこのエンジンを搭載したGTS仕様が近い将来登場すると期待したもので、待つこと2年、ようやくその日がやってきた。しかも二重の歓びを伴って。
 
何とマセラティはレヴァンテのV8を市場投入するにあたって、スカンク・ワークスの提案を受け入れ、同時に2種類のエンジンスペックを用意することを決めたのだ。550psのGTSと、590psのトロフェオである。
 
いずれも専用のシャシーチューニングと4WDプログラムを受け入れ、なかでもトロフェオにはSUVながらコルサモードというスパルタンなドライブセッティングも用意された。
マセラティレヴァンテGTS

GTSはプレミアムレザー仕様を標準採用。トロフェオには柔らかな質感をもつ最高級フル・グレイン・レザーを使用する

マセラティレヴァンテGTS

運転席回りはベーシックモデルと基本デザインを同じくするものの、ディスプレイやエアコン操作系などが改良された。トロフェオにはマットカーボントリムを採用する

日本上陸を果たした2台のレヴァンテのV8を、伊豆の雄大なスカイラインで試した。当然ながら、ワインディングロードでも抜群のパフォーマンスをみせたのはトロフェオだった。機敏で正確なステアリングフィールに、怒濤のトルクによる俊敏な立ち上がり、そしてスーパーカー顔負けのサウンド、といった具合に、まったくもって背が高いだけのマセラティスポーツカーだ。
マセラティレヴァンテGTS

車両のコントロールや運転ミスの修正を行う車両統合制御システムのIVCを搭載。Q4インテリジェントAWDシステムを採用し、シャシーは専用チューンを受けている

もっとも、街中を軽く流しているときには、そのフラットで硬質なライドフィールが少しスパルタン過ぎると敬遠する向きもあるだろう。とはいえ、フェラーリ製V8を積んだSUVパフォーマンスは捨て難く……。そういう人はGTSが良い。
 

価値ある二面性をもったGTS。性能的にも十二分

マセラティレヴァンテGTS

フロントフェイス下部とリアバンパーをよりスポーティなデザインに。前後重量配分を50:50とした。GTSの0-100km/h加速は4.2秒、最高速は292km/h

基本的なパフォーマンスは、トロフェオとさほど変わらないのだ。GTSを駆っても十分に速いし、音だって迫力ものだし、車体サイズを感じさせないハンドリングの質もなかなかのものだった。その場で乗り比べて初めてトロフェオとの違いに気づくといったレベルであることも確かなので、見映えの差をまるで気にしないというのであれば、GTSでも性能的には十二分だと思って欲しい。
 
むしろ、普段乗りには少しでも落ち着きがあったほうがいい、と思われる向きにはGTSを勧めたい。毎日、何が何でも戦闘モードになる必要などない。気分がのらないときには大人しく、のったらのったで思う存分、持てるパフォーマンスを解き放つ。価値ある二面性という意味では、スポーツよりのトロフェオよりも、GTSが優っている。
マセラティレヴァンテトロフェオ

トロフェオには22インチアロイホイール、フロントのエアインテークなどを採用。0-100km/h加速は3.9秒となる

いやいや、人生毎日が波乱万丈で、大人しくなんてしてられない、というアグレッシブ&ハートな向きは、ためらうことなくトロフェオを。毎日が刺激的だと思う。
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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