お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

37歳共働き貯金740万。もっと貯蓄できるはずなのにできません(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、もっと貯蓄ペースが上がっていいと考える37歳の会社員女性。貯められない理由や、住宅ローンの繰上返済について悩んでいるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 無駄さえ削れば年間200万円の貯蓄は十分可能

まずは家計から見ていきます。

一般には、年間150万円超の貯蓄ペースでも優秀だと言えるでしょう。しかし、みやまさんご本人が感じられているように、もっと貯蓄できると私も思います。その気になれば、年間200万円も無理なくできるのではないでしょうか。
 
家計を見直す方法はいたって簡単です。まず、毎月の収支を見ると、毎月4万5000円貯蓄をしていますが、それでも4万円の行方がわかりません。それについては「冠婚葬祭費か交際費、あるいは使途不明金」とのことですが、そのうち使途不明金を確実になくして、同時に食費、雑費等から月2万円節約できれば、すぐに貯蓄を月4万円ほど上積みできます。結果、それで年間200万円の貯蓄が達成されます。
 
貯蓄法としては、月8万5000円を先に引いてしまい、残りでやりくりする先取り貯蓄がおススメです。

しかも預けたら引き出しにくいものが、より効果的。例えば、iDeCo (個人型の確定拠出年金)ならば、実際の引き出しは60歳以降。したがって、確実に老後資金が作れます。また、その掛金は全額所得控除の対象となりますから、確実に節税につながります。iDeCoの口座開設や維持のコストが年間数千円程度発生しますが、上限の2万3000円(企業年金などが勤務先にない会社員の場合)を積み立てれば、所得税と住民税、合わせて年間に4万円ほど還付されます。また、みやまさんは公務員なので上限は月1万2000円。ご夫婦ともやられてもいいでしょう。
 
世帯収入が高い分、それなりに家計には余裕があります。それだけに今以上に貯蓄するモチベーションは高くないかもしれません。みやまさんの「もっと貯蓄できるはず」という思いが大事になってきます。

とは言え、何でもかんでも節約となれば、ストレスがたまり、気持ちが空回りする恐れも。エステもやめてしまえば月2万円がすぐに節約できますが、みやまさんにとって必要なものであれば削るべきではないと考えます。まずは普段の生活の無駄(あえて支出する必要がないもの)をみつけ、それをなくしていきましょう。
 

アドバイス2 繰上返済は貯蓄ペースができてから

住宅ローンについては、変動金利になることもあり、繰上返済は積極的にはしたいところ。ただし、完済がご主人63歳のとき。定年を3年超えますが、まだ焦って行うほどの長さではありません。まずは先の貯蓄ペースをしっかり維持していくことが重要ですから、できれば3年くらい続けることができてから、そこで繰上返済をしても決して遅くはありません。
 
年間200万円貯められるとして3年で600万円。それを全額繰上返済に充てれば、返済期間は5年1カ月短縮でき、支払い利息は約108万円軽減されます。半分の300万円でも、2年7カ月短縮され、支払利息の軽減額は約58万円。十分効果は得られます。また、手数料がかからないようであれば、何回かに分けて実施してもいいでしょう。
 

アドバイス3 保険を見直すことで固定支出を下げる

教育資金はお子さん2人で1000万円くらいは別途用意したいところ。学資保険で112万円準備できますから、残りは貯蓄で備えることになります。

その貯蓄ですが、年間200万円のペースならご主人定年までの22年間で4400万円。今ある貯蓄と合わせて、5100万円ほど。教育資金の不足分=900万円は十分余裕をもって用意できますし、さらに住宅ローンの繰上返済に600万円を使っても、まだご主人60歳の時点で3600万円が残る計算になります。
 
これに退職金を加算すれば老後資金になりますが、その金額は6000万円近く。途中、クルマの買い替えや住宅の修繕等のまとまった支出は予想されますが、それを考慮しても、老後で資金的におおきく困ることは考えにくいと言えます。
 
最後に保険について。気になるのが、ご主人加入のアカウント型の終身保険。いろいろと特約が付いているため、保険料がかなり割高となっています。死亡保障は1000万円で十分。新たに掛け捨ての定期保険で確保すれば、保険期間10年で保険料は1500円ほど。これに入院5000円の医療保険(終身保障・終身払い)を加えても、保険料は合計で3500円前後でしょう。

また、みやまさんの団体保険も同様に割高に思えます。こちらは、勤務先で加入している共済を2口に増やせばいいのでは。夫婦とも今加入の保険の払済保険にして、示したような見直しを実施すれば、それだけで固定支出の保険料が月に1万6000円程度下がります。

また、どうしても医療保障とは別にがんの保障も必要と考えれば、別途がん保険に入っても構いません。あるいは医療保険は入らず、がん保険だけにするのもある意味、備えとしては合理的でしょう。医療保険などは短期より長期に備えるものですから、検討してみてください。
 

相談者「みやま」さんから寄せられた感想

アドバイス頂いて、やはりまだまだ貯められる余地はあるのだなと再確認出来ました。年間200万円貯金はなかなか難しいかと思いますが、相談したお陰で、削れる部分が明確になりました。
iDeCoや、保険の固定費の減額などやれる事は行いたいと思います。ありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武

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