貯蓄

NISAを使わないといくら損?節税効果を試算した

「NISAでは資産運用の利益を節税できる!」とはいえ、どれだけの節税効果があるのか、なかなかイメージがつきにくいかと思います。そこで、本記事では、NISAでどれくらいの節税効果が見込めるのか、試算してみることにします。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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資産運用で成功するには、「徹底的にコストを削るのがカギ!」であることが、経済学者らの研究(1)によって、分かっています。税金もコストの1つですから、資産運用で成功したい方は、節税制度を利用することが、成功への近道だといえるでしょう。
 
資産形成や資産運用に使える節税制度はいくつかあります。節税効果が大きなものとしては、「じぶん年金」づくりに向いているiDeCoが挙げられます。あるいは、主婦や主夫の方、そして年配の方に有利な「つみたてNISA」などもあります。
 
とはいえ、iDeCoやつみたてNISAは、選べる投資先が制限されているので、「自分の自由に資産を運用したい!」という方にとっては、物足りないかもしれません。そんな方にオススメな節税制度が、2014年1月からスタートしたNISAです。
 

NISAとは? 

NISAは、「Nippon Individual Savings Account」の略で、日本語では「日本版:個人向け貯蓄口座」という意味です。難しい表現が並んでいて理解が大変かもしれませんが、ざっくり「資産形成に使える制度!」と覚えておくとよいでしょう。
 
NISAでは、年120万円の、5年間有効な非課税枠を使って、資産を運用することができます。通常、株式投資などで得られた売買差益は、約20%の課税がなされます。たとえば、10万円の利益が出たら、2万円は税金で取られる計算です。
 
しかし、NISAを使うと、この課税がなくなります。10万円の利益を出したら、そのまま10万円を受け取ることができます。2万円の税金を取られることはありません。(=2万円を得する!)
 
NISA制度の詳細を知りたい!という方は、図説が豊富な良い記事がありますので、本記事と合わせて読んでいただくことをオススメします。
 
 

NISAは年いくら得?試算してみた

「NISAでは資産運用の利益を節税できる!」とはいえ、どれだけの節税効果があるのか、なかなかイメージがつきにくいかと思います。そこで、本記事では、NISAでどれくらいの節税効果が見込めるのか、試算してみることにします。
 
NISAの非課税上限枠は、年120万円までです。そこで、120万円を使って、株式投資(インデックス投資)を行った場合の節税効果を確かめます。2016年の研究(2)によれば、株式投資のインデックス投資で期待できると平均利回りは、「年率5%程度!」ということが分かっています。
 
なお、「科学的に正しい投資信託の選び方」については、過去に記事で取り上げたことをがあります。本記事と併せてお読みいただけると幸いです。
 
ということで、今回は「年120万円の非課税枠を、すべて株式投資(年率5%)に回して、5年間ずっと持ち続けたら、どれほどの節税効果が得られるか?」を試算します。試算の結果は、下記のとおりです。
 
●毎年120万円を、株式投資で運用(年率5%)を続けた場合の節税額
 節税額 =(5年後の資金額/年−積立額/年)×売買差益税率
     ≒(153万円/年−120万円/年)×20%
     ≒6万6000円
 
以上が、NISAで満額を株式投資に回した場合の節税額の試算結果です。年率5%での運用が成功した場合は、「毎年、約6万6000円の節税効果が期待できる!」ことが分かりました。
 
仮にこの節税効果が得られるとすれば、5年間、600万円の節税枠を全て利用した場合、約30万円の節税効果が得られると期待できます。
 
無料で節税できる制度なのですが、あなたはちゃんと利用していますか?
 

まとめ 

試算した結果、「NISAの節税効果は、年間120万円の積み立てで、年あたり約6万6000円!ということが分かりました。10万円ごとに、5000円ぐらいの節税効果が得られると考えてよさそうですね。
 
実際にこのとおりの結果が得られる保証はありませんが、少なくとも、過去と同じ利回りが続けば、節税効果が得られると期待できます。
 
なお、2018年からは、新しいNISA制度である「つみたてNISA」が始まりました。それもあり、最近は「つみたてNISAとNISAは、どっちの方が得なの?」と気になる方も居るでしょう。
 
この議論は難しいところで、運用スタイルの違いによって、適した節税制度は変わってきます。また別の機会に、運用スタイル別の「つみたてNISA」と「NISA」の使い分け方をご紹介しますね。
 
 
●参考文献
 
  1. 論文:Brad M. Barber and Terrance Odean, 2000, "Trading Is Hazardous to Your Wealth: The Common Stock Investment Performance of Individual Investors", The Journal of Finance, 55(2), pp. 773-806
  2. 論文:山口勝業, 2016, "株式リスクプレミアムの時系列変動の推計 --日米市場での62年間の実証分析", 証券経済研究, 93, pp. 103-111
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