貯蓄

つみたてNISA使わないといくら損?試算した結果…

つみたてNISAは、iDeCoの弱点を解消できる面もあるので、「いや、iDeCoはちょっとなぁ…」と思う方にオススメの節税制度です。そこで今回は、「つみたてNISAの節税効果って、どれだけ得なの?」か、試算してみました。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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以前、「iDeCoの節税効果ってどれぐらいなのか、試算してみよう!」という企画をやりました。結果として、「うまくいけば100万円以上の節税効果が期待できるのでは?」なんて内容になりましたので、やはりiDeCoは最強の貯蓄制度かもしれません。
 
記事の内容が気になる方は、以下にリンクを貼っておきます。ぜひご参照ください。
 
【会社員向け】iDeCoは何百万円得?試算してみた
【自営業向け】iDeCoは何百万円得?試算してみた
 
とはいえ、優れたiDeCoにも弱点はあります。それこそ、「iDeCoは始めたらお金がしばらく引き出せない!」「年を取ってから加入すると旨みが減ってしまう!」「60歳を過ぎると加入できない!」といった不利な点にも注意が必要です。
 
そこで、iDeCoとは別に、新しくできた「つみたてNISA」も知っておくとよいでしょう。つみたてNISAは、iDeCoの弱点を解消できる面もあるので、「いや、iDeCoはちょっとなぁ…」と思う方にオススメの節税制度です。
 
そこで今回は、「つみたてNISAの節税効果って、どれだけ得なの?」か、試算してみました。
 
 

そもそも「つみたてNISA」って何?

つみたてNISAを知らない方がいるかもしれません。簡潔にご説明しましょう。つみたてNISAとは、NISAから派生した新しい節税制度です。
 
つみたてNISAでは、年40万円の非課税枠を使って、資産を運用することができます。通常、株式投資などで得られた売買差益は、約20%の課税がなされます。たとえば、100万円の利益が出たら、20万円は税金で取られる計算です。
 
しかし、つみたてNISAを使うと、この課税がなくなります。100万円の利益を出したら、そのまま100万円を受け取ることができます。20万円の税金を取られることはありません。(=20万円を得する!)
 
つみたてNISAに関する制度の説明としては、図説が豊富なこのページが参考になるかと思います。本記事と併せてご活用下さい。
 
 

つみたてNISAは月いくら得?試算してみた

早速、つみたてNISAの節税効果を試算してみます。つみたてNISAの非課税上限枠は年間40万円までです。そこで、40万円を12カ月で割って、「毎月3万3000円」の積立投資を行った場合の節税効果を確かめます。
 
なお、つみたてNISAのように、売買益が節税できる制度では、「全額を株式の投資信託に回すのがお得!」というのが筆者の見解です。日本国債の金利は年率0.10%ほど(1)ですから、そんな微々たるお金を節税しても…ねぇ?というのが正直なところ。
 
2016年に公開された論文(2)によると、「日本株の平均利回りは年率5%!」なんて結果も得られていますから、損をする可能性があったとしても、株式投資に回した方が、(節税効果を最大化するという点では)ベストだと思います。
 
もっと言うと、投資信託を買う時には、「経費率の安いインデックス投資が有利!」なんて話が有名です。手数料率の高いところを買っても儲かる可能性は下がるだけでしょうから、基本は経費の安い投資信託を選ぶとよいでしょう。
 
ということで、今回は「月額3万3000円を、すべて株式投資(年率5%)に回して、20年間ずっと持ち続けたら、どれほど節税効果が受け取れるか?」を試算してみることにします。試算の結果は、下記のとおりです。
 
●毎月3万3000円を、株式投資で運用(年率5%)を続けた場合の節税額
 節税額 = (20年後の資金額/月 − 積立額/月) × 売買差益税率
     ≒ (8万5474円/月 − 3万3000円/月) × 20%
     ≒ 1万500円/月
 
※初年のみ、利回りは半分(年率2.5%)として算出
 
以上が、つみたてNISAで満額を投資した場合の節税効果です。年率5%での運用が成功した場合は、「毎月、約1万円の節税効果が期待できる!」ことが分かりました。
 
仮にこの節税効果が得られるとすれば、1年続けると12万円、10年続けると120万円、20年続けると、240万円の節税効果が得られると期待できます。
 
 

まとめ

試算した結果、「つみたてNISAの節税効果は、月3万3000円の積み立てで、月あたり約1万円!」ということが分かりました。実際にこのとおりの結果が得られる保証はありませんが、すくなくとも、過去と同じ利回りが続けば、これだけの節税効果が期待できるでしょう。
 
「つみたてNISAとiDeCoは、どっちの方が得なの?」みたいな話もありますが、使い分けの目安としては、自分の年齢を目安にするとよいでしょう。定年が近づくと、iDeCoでは所得控除の節税は大きいのですが、複利効果が薄れる分、売買差益による節税効果は小さくなると考えられます。
 
よって、「1円でも税金を少なく済ませたい!」「節税効果を最大化したい!」という方は、「若いうちはiDeCo!」「定年が近づいてきたら(または定年後は)つみたてNISA!」と覚えておくのが、よいかもしれません。
 
 
●参考文献
 
  1. ウェブサイト:楽天証券, "債券・国債利回り | マーケット情報 | 楽天証券", 2018年11月22日時点
  2. 論文:山口勝業, 2016, "株式リスクプレミアムの時系列変動の推計 --日米市場での62年間の実証分析", 証券経済研究, 93, pp. 103-111
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